大阪都構想の是非を問う住民投票が27日、告示される。5月17日に行われる投票の結果は大阪の将来を大きく左右する。
橋下徹大阪市長が掲げる都構想は大阪市を5つの特別区に分割し、都市開発や大規模なインフラ整備などの権限を大阪府に集中させる構想だ。実現すれば2017年4月に大阪市は廃止され、東京の自治制度とほぼ同じ形になる。
最大の利点は大阪という地域の司令塔を府に一本化して二重行政をなくし、政策を迅速に進める体制をつくれるということだろう。一方、新たな区庁舎の建設やシステム改修などにかなりの費用がかかるのがマイナス点だ。
東京23区をみてもわかるとおり、新たにできる5つの特別区の行政サービスの水準はいずれ確実に違いが出てくる。これを地域住民の声を反映した各区の個性ととらえるか、格差とみるかで都構想に対する評価は分かれるだろう。
これまでも全国各地で様々な住民投票が実施されてきたが、大阪市民を対象とする今回の投票は格段に重い。法律に基づく住民投票なので、市長や市議会はその結果に従うよう義務付けられている。大阪市民の選択がそのまま結論になるということだ。
大阪では賛成派、反対派双方の活動が活発化している。自らの主張を訴えるだけでなく、市民の疑問に丁寧に答えてほしい。
自治制度や政策を巡って、大都市で住民投票が実施されるケースも極めてまれだ。26日まで続いた統一地方選では各地で投票率が低下した。住民に直接的に政策を問う今回の試みは、自治のあり方を考えるきっかけにもなる。
政令指定都市は1956年の制度創設時には大阪や横浜など5市だけだった。その後、人口基準が緩和され、現在では20市に上る。浜松市など過疎地域を抱える政令市も少なくない。
もはや政令市は大都市だけに適用する制度とは言いがたい。今回の投票結果は他の大都市のあり方にも一石を投じるだろう。