【コラム】ベトナムから韓国に来た2人(2)

【コラム】ベトナムから韓国に来た2人(2)

2015年04月26日12時34分
[ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]
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  大学1年生としては耐えがたかった。40年近く過去の彼の声はまだ生々しい。彼の推測通りその村にベトコンがいたかもしれない。だが、高齢者と婦女子に子どもたちもいたのではないのか。偵察兵が襲われた報復を関係ない民間人にしたわけだ。最も驚いたのはそれを武勇談でも話すように若い大学生に話したという事実だ。誇らしい大韓民国陸軍の大佐の階級章を付けて。若い大学生が「勇敢な国軍」と尊敬することを期待したのだろうか。軍人は恐いのでふざけるなと脅しをかけたのか。その将校の精神は完全だったのかいまでも疑わしい。

  その前にもベトナムの残忍な戦争話を聞いたことはある。しかし「ベトナム帰りの勇敢なキム兵長」のほら話程度として聞いた。エリート将校が大学生に自慢するとは本当に想像もできなかった。その衝撃はいまだに岩のように胸を押さえ付ける。その後韓国軍のベトナム民間人虐殺に関する報道がたくさん出てきた。個人的な証言や本も出された。しかし政府レベルの公式な調査や発表はない。米国と違いまだけりがついていないのだ。

  98年に当時の金大中(キム・デジュン)大統領がベトナムを訪問し韓国の大統領としては初めて過去史に言及した。しかし表現は不明瞭だった。「冷戦という世界史の流れの中で両国が不幸を体験した時期があったことを遺憾に思う」。だれがなにを誤ったという話なのかあいまいだ。これに対しベトナムのチャン・ドク・ルオン主席は「過去は後回しにしよう」と述べた。理解したりなかったことにしようとは話さなかった謝罪は真心と誠意を込めてこそ意味がある。日本を相手にする私たちが最もよく知らないのか。

  今月初めにベトナム戦韓国軍の民間人虐殺現場で生き残ったベトナム人2人が訪韓した。彼らは「民間人虐殺の過ちを認め多くの人たちに真実を知らせる努力をしてほしい」と求めた。しかし一部参戦軍人は名誉を傷つけると憤慨した。派兵された多くの軍人はこうした戦争犯罪と関係がないと信じる。一部の逸脱だとして隠し埋没させておくべきか。軍での暴力事件や防衛産業不正のようにむしろ明らかにして正していくことが軍の名誉を守る道だ。過去に対して正直でなくてはベトナムの人たちとも心から友人になることはできない。(中央SUNDAY第424号)

  金鎮国(キム・ジングク)中央日報論説委員

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