外務省:新潟の男性に限定旅券を検討…紛争地渡航は認めず
毎日新聞 2015年04月06日 21時05分(最終更新 04月06日 21時08分)
外務省は、シリアへの渡航を計画し、同省から旅券返納命令を受けた新潟市在住のフリーカメラマン、杉本祐一さんに対し、渡航先を限定した旅券を発給する検討を始めた。杉本さんが旅券発給を申請したためで、返納させた旅券は返還せず、シリアなど紛争地には渡航できないよう渡航先を限定した旅券を新たに発給する方針だ。
杉本さんはイスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)による日本人人質殺害事件の発生後、シリア渡航を計画。このため外務省は旅券法に基づいて旅券を返納させた。杉本さんは3月20日付で、今後の海外取材を目的に、外務省に対して旅券の発給を申請した。
旅券法には、外相らが渡航などの便宜をはかる場合に限り、旅券の二重発給を認める規定があり、渡航先を個別に特定して記載することも認めている。杉本さんに旅券を返還した場合、再びシリアなどへの渡航をするとの懸念があるため、旅券は返還しないまま、渡航先を限定した新たな旅券を二重発給する。
外務省によると、イスラエルに入国した商用での渡航者が、アラブ諸国への入国を拒否される可能性を防ぐため旅券を二重発給するケースや、執行猶予中の元被告らの商用のため、渡航先を限定した旅券を発給する場合がある。【高橋恵子】