STAP細胞論文の共著者である山梨大の若山照彦教授が16日記者会見し、自らの研究室に保管しておいた細胞に関する第三者機関の分析結果を公表した。STAP細胞があることを示す証拠は得られず「すべて存在を否定する結果だった」と述べた。今後は理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが再現実験で有無を示さなければならないと求めた。
実験に使ったとされる細胞や試料といった「生データ」で、STAP細胞の存在が否定されたのは今回が初めて。ただ、若山氏はこの分析結果だけで「(STAP細胞が)絶対にない、ということにはならない」とも語った。
小保方氏から受け取ったSTAP細胞を培養して無限に増殖するようにしたとされる「STAP幹細胞」の遺伝子を放射線医学総合研究所(放医研)に依頼して調べた。
STAP細胞は生後間もないマウスから作るとされる。作製時に若山氏が小保方氏に渡したマウスは、緑色に光るたんぱく質を作り出す遺伝子が「18番染色体」に組み込んであったが、そのマウスから作ったはずのSTAP幹細胞では遺伝子が「15番染色体」にあるなど一致しなかった。
若山氏は2012年まで理研のチームリーダーを務め、小保方氏を客員研究員として受け入れた。STAP細胞から幹細胞を作ったとされたが、3月に論文で画像の使い回し問題が発覚。共著者に論文撤回を呼びかけるとともに、保管していた細胞などの分析を第三者機関に委託していた。
STAP細胞を巡っては、万能細胞であるES細胞が混じっているのではないかとの指摘が出ている。ES細胞混入説について、若山氏は「(ES細胞だと)現象をうまく説明できる」と指摘。STAP細胞の存在を示すには「世界でただ一人作れるという小保方氏が作ってみせるしかない」と主張。今後、STAP研究を続ける意志がないことも明らかにした。
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