教員免許:国家資格に 自民提言へ、資質向上図る

毎日新聞 2015年04月26日 07時30分

 「教員制度改革」を検討している自民党の教育再生実行本部(本部長・遠藤利明衆院議員)は、学校の教員免許の「国家資格化」を提言する方針を固めた。大学で教員養成課程を履修した後に国家試験と一定の研修期間を経て免許を取得する内容で、現在の医師免許のような位置付けが想定される。教員の資質向上を図るのが狙いで、提言を5月中旬にもまとめ、安倍晋三首相に提出する方針。

 教員免許は、現行制度では大学で教員養成課程を修了すれば卒業時に大学が所在する都道府県教委から教員免許が与えられ、都道府県・政令市教委が実施する採用試験に合格すればその自治体の学校で勤務する。

 自民党案は、大学での課程を修了後、共通の国家試験を受験。さらに1〜2年程度の学校でのインターン(研修期間)を経て免許を与えることを想定している。国家資格にすることで教員の資質向上と待遇改善を図るのが狙いだが、免許取得までの期間が延びることなどから「逆に優秀な人材が集まりにくくなるのではないか」との懸念もあり、曲折も予想される。

 これとは別に、教員採用試験の問題を国と都道府県教委などが共同で作る共通化を政府の教育再生実行会議が近く提言する方針であることから、文部科学省は中央教育審議会(中教審)などでこれらの制度の導入の可否などを検討する。

 提言ではこのほか、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーを、教員と同様に学校に置くべき「基幹職員」として法的に位置づけることを盛り込む方針。多様な授業方法の習得やいじめ、不登校などの課題への対応が求められる中、教員の資質向上と学校のサポート体制を構築するのが狙い。学校教育法など関連法を改正し、将来的には教員と同様に給与の一部を国庫負担の対象とすることも想定している。【三木陽介】

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