およそ70人が暮らす集落です。
山の斜面に広がる美しい田んぼや畑。
ここで暮らしてきた人々が何代にもわたって守り続けてきた景色です。
しかしこの地区も急速に高齢化が進んでいます。
およそ7割が65歳以上。
担い手を失った田んぼや畑が年々増えてきています。
(女性)よ〜っ!
(拍手)去年ふだんは静かなこの地区に久しぶりに明るい話題が飛び込んできました。
二人は結婚を機にこの地区に移住してきました。
実に27年ぶりの結婚披露宴です。
お祝いにもらったのはなんと草刈り機。
二人はここで農業を始めます。
しかし山での暮らしも農業も全く初めての経験です。
限界集落に飛び込んだ新婚夫婦。
奮闘の日々を追いました。
大豊町怒田地区。
田畑さん夫婦は空き家を借りて暮らし始めました。
いってきます。
田畑勇太さんが向かったのは町内のトマト農家。
ここで週6日農業研修を受けています。
この日はトマトの苗の植え方を習いました。
苗と苗の間隔をどれぐらい空けるのか土の硬さはどれくらいか学びました。
(勇太)硬いですね。
勇太さんは新規就農者を支援するための給付金で生活しながら農業を勉強しています。
1年間勉強し次の春からの本格就農を目指しています。
妻の恵莉さんです。
専業主婦として農業の勉強に忙しい勇太さんをサポートしています。
1人家で時間を持て余す事が多い恵莉さん。
この日は大好きなパン作りを始めました。
この地区で取れる紫豆を使ったパン。
(恵莉)大きいハハハ。
この前のあんパンはうまくいったんですけどね。
ちょっとうまくいったからって調子に乗りすぎたかもしれない。
・
(恵莉)えっ?あっは〜い。
ああありがとうございます。
近くに住む農家のおばあさんが訪ねてきました。
ああありがとうございます。
ジャガイモこれ。
野菜を収穫する度にお裾分けをしてくれます。
こんばんは。
・は〜い。
夕方二人はある人を訪ねました。
(恵莉)お邪魔しま〜す。
地区の区長を務めています。
二人が移住するにあたり住む家や農業をする畑の手配などさまざまな支援をしてくれました。
若い二人に地域を支えてほしいと願っています。
(笑い声)愛知県出身の勇太さん。
高知の大学へ進学し中山間地域の現状を学ぶ授業で度々怒田地区に足を運びました。
代々受け継がれてきた棚田。
その美しさに心を奪われました。
しかし厳しい現実も突きつけられました。
後継者がなく荒れた田畑。
勇太さんの心は痛みました。
大学の同級生で結婚も考えていた恵莉さんに思いを何度も伝えました。
熱意に動かされた恵莉さん。
共に移住する事を決めました。
こうして二人は限界集落に飛び込んだのです。
春から農業を始めるために冬は大切な準備の時期です。
この日勇太さんは倉庫の大掃除に取りかかりました。
農機具の準備や収穫した野菜を置くスペースの確保。
野菜を育て始めてからでは間に合いません。
この冬勇太さんにとって最も重要な作業がありました。
山から自宅へ水を引くのです。
野菜や農機具を洗うためには大量の水が必要です。
水道水だけではとても賄えません。
作業の日の朝。
ふだんこうした作業には関わらない恵莉さんが姿を見せました。
(取材者)恵莉さんも今日水行くんですか?
(取材者)行く気じゃなかったんですか?勇太さんは当然恵莉さんもついてくると決め込んでいました。
(恵莉)「えっ!?」ってついさっき。
作業に協力してくれる近所の人と水源に向かいました。
ここから水が引かれていましたが土砂崩れでホースが傷んでいました。
現場まで120mのホースを運び取り替え作業を行います。
しかし恵莉さん何を手伝えばいいのか全く分かりません。
一方の勇太さんは作業に没頭。
すると…。
気が付くと二人だけが取り残されていました。
早く追いつきたいと一人先を急ぐ勇太さん。
恵莉さんはついて行けません。
やっとの事で合流しましたが…。
既に取り替え作業は終わっていました。
さんざん振り回されただけの恵莉さんでした。
自宅まで水を引くにはもう一つ大事な作業があります。
きれいな水を家に送るため泥やゴミを沈殿させる貯水タンクを取り付けます。
ホースを固定する器具がぴたりとはまるよう慎重に調整します。
ところがここで問題が発生。
あまりに低い位置に穴を開けたため金具を取り付けたくても届きません。
急遽家にいた恵莉さんが駆り出されました。
えっ?どうしたらいい?ちょっと持っとってよ。
よっしゃ大丈夫!
(勇太)はいご苦労さまです。
何とか作業は終わりました。
しかし夫婦の間に微妙な空気が流れていました。
大きな目標に向かって一心不乱にひた走る勇太さん。
しかし恵莉さんの不満は日に日に高まっていました。
急に作業に駆り出されたかと思えばあとは独りぼっちで過ごす毎日。
恵莉さんはここで暮らす意味を見失いかけていました。
恵莉さんはある人のもとへ相談に行きました。
・
(川)いらっしゃい。
(恵莉)こんばんは。
寒いねどうぞどうぞ。
夫の実家がある怒田地区に月に数回通っています。
恵莉さんが悩みを打ち明けられる数少ない存在です。
「自分から行動しなければ何も変わらない」。
川さんからのアドバイスでした。
クリスマスイブ。
恵莉さんは夫婦の溝を埋めるための行動に出ました。
晩ご飯のメニューに選んだのはスパゲティ・カルボナーラ。
勇太さんに手伝ってもらおうとあえて苦手なメニューを選びました。
二人で作るクリスマスディナー。
少しだけ2人の距離が縮まりました。
翌朝。
恵莉さんが作業を手伝いたいと倉庫の掃除に加わりました。
二人で協力して農業の準備をしていく。
思いが一つになりました。
二人は4月から借りる予定の畑へやって来ました。
就農まであと3か月。
それぞれが決意を新たにしていました。
この美しい風景を次の世代に残していきたい。
さまざまな試練を乗り越えながら大きな夢へと進んでいきます。
2015/04/20(月) 15:15〜15:41
NHK総合1・神戸
ろーかる直送便 ドキュメントしこく「“限界集落”に飛び込んだ新婚夫婦」[字]
過疎・高齢化の深刻な高知県大豊町に、「美しい風景を残したい」と農家として移住した若き夫婦がいる。しかし農業経験はゼロ。春からの本格就農に向け奮闘する姿を追う。
詳細情報
出演者
【語り】黒岩泰子
ジャンル :
ニュース/報道 – ローカル・地域
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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