明るい朝の日ざしがうれしい早春の京都・大原。
大地に鮮やかな緑が広がって自然の恵みを求める命の営みが一気に動き出す。
100年の歴史を刻む古民家。
ベニシアさんの庭でも待ちに待った花の季節がやって来た。
庭に育つ150種類のハーブと共に手作りの生活を楽しむベニシアさん。
大原で16回目の春を迎えた。
この季節庭の植物には朝水をたっぷり与える。
(ベニシア)昨日植えたの。
イタリアンパセリ。
水あげ過ぎたらもう倒れるからね。
大体葉っぱじゃないのね。
根っこにあげないとアカン。
根っこから飲みますから。
これ植えてないんだけどチューリップあるのねここは。
だから幽霊出るんかなとかまだ分からないからね。
多分堆肥の中に球根が入ってしまったからそれがこっちに来たと思う。
朝偶然芽吹いた植物を発見する。
春の庭はうれしい驚きの連続。
ベニシアさんの庭へやって来たのは友人で造園家の椿野晋平さん。
通称バッキー。
忙しい?
(椿野)忙しいですおかげさまで。
見つけました?はいなかなかいいのがありましたよ。
椿野さんが持ってきてくれたのは…この実から油出来るのかな?そうですね。
ヤブツバキを使ってるみたいですね。
あそこかな?どう思う?入れるかな?ツバキが居心地よく過ごせる場所をバッキーと相談する。
これバッキーにあげる。
ラベンダー。
ありがとうございます。
うれしい。
これはスイセンかな?これスイセンね。
椿野さんのガーデニングの師匠はベニシアさん。
あうんの呼吸で植物を移し替えていく。
ムチャクチャいい土ですね。
堆肥が…。
すごい軟らかい土。
だから死んだあとに「ベニシアの土はよかったね」って言われたらすごいうれしいです。
フワフワ。
ホントに。
堆肥を入れたあとたっぷり水やり。
軽く木を揺すると根っこが庭になじんでいく。
どの国でもハーブあるから。
日本のハーブあるのね。
だから日本のハーブの一つはツバキなの。
髪の毛も守ってくれるし木も守ってる。
昔はお寺の柱ツバキ油で塗ったしね。
だからその国に必要なものがあるんですよ。
それを発見しないから。
発見したらすごく…何か私はうれしいです。
今日友達に会いに行って。
その人すごい野草の名人でいろいろ教えてもらいたいと思っています。
行きます。
待ちに待った春。
それはベニシアさんが毎年楽しみにしている摘み草の季節。
おはようございます。
(中東)おはようございます。
ベニシアさんの10年来の友人…春はもう来てますから。
日本のハーブの先生。
ベニシアさんがそう呼び尊敬する中東さん。
京都市内で珍しい野草料理の店を営んでいる。
いっぱい生えてますんでだいぶん3日4日前ぐらいからカンゾウが伸びてきましたね。
今年まだカンゾウ見てない。
そうですか。
何でもない原っぱ。
でも中東さんの目を通すとそこは食材の宝庫。
いっぱい食べる物あるでしょ。
これヨモギでしょ?何かヨモギパンケーキを作るのが好き。
ああそうですか。
芽吹いたばかりの野草と出会えるのがだいご味春の摘み草。
座から取るんですよね。
天ぷらやったらきれいなる。
あ〜カンゾウ!カンゾウいます。
これは一番教えてもらったと思う。
これみそあえ…。
みそと酢?そうそう。
こうしてね一斉に出てくるんですよ。
私これ1月から使ってるんですよ。
土の中にあるのを…。
もう春の準備をしてるんですよ。
子どものようにしゃがんで夢中になる2人。
中東さんは大原から更に北へ30km花脊の出身。
これ西洋の…。
紫の色。
これ西洋の帰化したスイバですよね。
へえ〜ホンマに?日本のスイバは…。
そうそう。
これ日本でしょ?これ日本のスイバでしょ?ピンクになるよ。
酸っぱい葉だからスイバと名付けられたこの野草。
西洋のものと日本のもの味見をしてみる。
これも酸っぱいでしょ?日本の方が酸っぱい。
どっちがいいのかな?分からない。
全然違うもんね。
うちはお魚につけたり…。
魚料理と一緒に?地元の人より大原を知り尽くしている中東さん。
この辺にあるんですか?ベニシアさんに取って置きのものを見せたいと言う。
ここここ。
これこれ。
ここ。
土に覆われてほら。
あ〜!いるやん。
いるやん。
いますやん。
ツクシ。
枯れ葉の下から春の使者が現れた。
取りましょ取りましょ。
ここいっぱいある。
中東さん有名でしょ?大原で。
皆さんとそうして…。
だから毎日来ないと。
ああ…。
駄目なんですよ。
恐らくツクシも私が来る事を楽しみにしてくれてると私は信じてるんですよ。
やっぱりいいものはいい土から出てるもの?ここはほったらかされてますからツクシも安心して生えてると思いますよ。
こういうのはやっぱり根っこは絶やさない。
そしたらまた来年出てくれますから。
少なくなったら2〜3年置いてやるとか。
そうですね。
そしたらまた増えてきますから。
そうして守ってやらないと。
いとおしいでしょう?これかわいいねえ。
地面から寒いのに。
来年のために根っこは土の中に残して…。
春の恵みに感謝。
必要な分だけ頂いた。
おはようございます。
おはようございます。
すんません。
これうちのために取ってくれてはんのや。
(中東)ありますやんまだ。
(のぶ子)ないと思ってたのに。
(中東)いやいやツルツルしてるやん。
きれいやなあ。
冬中寒さに耐え忍んでねえ。
大原で有機野菜を作る坂田さん夫婦。
中東さんが店を始めた15年前からずっと野菜を仕入れている。
(中東)もうほとんど毎日やね。
(耕次郎)そうですわ。
毎日…。
会わへんかったらどうしてた言うて。
そんな感じになる?
(中東)言うたら草ボウボウでね。
でも草の中にいいもの生えてますよね。
これが自然なんですよ。
この草にだって命がある訳で。
共存共栄してる訳ですよね。
この人たちが一生懸命育ってきたのをずっと見守って。
坂田さんたちの気持ちがねこういう味につながってるんですね。
ホントありがたい。
(中東)だからこういうのを無にしないで食べてもらうようにするのが我々の役目で。
小さくて形がよくなくても自然に育ったものが中東さんには宝物。
市内の店に戻るとまずは大原で摘んだ花を生ける。
野の景色をここに。
帰ってきて一番最初に表現させて頂いてそれでお客さんが入られてここでご覧になられて今日の私のこの気持ちをここで悟って頂くという。
中東さんいわく店の入り口に飾られた生け花は今日のお品書き。
大原の香りが漂う中で調理が始まる。
使う食材は今年最後の冬野菜と春の野草。
99%大原ですね野菜に関しては。
中東さんの料理は草が主役。
そのルーツは実家の料理旅館で学んだ摘み草料理。
これを自分のテーマにしていこう。
15年前に独立し自ら草喰料理と名付け店を出した。
これはワタナベ君ちの最後のかぶらで。
赤かぶらも信頼おける大原の農家で集めたもの。
最後の冬野菜は熟成されて特に甘みが深い。
…で3日ほどしたらこうなりましたと。
これ何も入ってないんです。
甘と酢だけですね。
甘酢に漬ける事3日全体が朱色に染まる。
これ…柿ね。
干し柿。
ユズの炊いたものです。
冬の味覚の干し柿とユズ。
これをかぶらで巻き上げれば…早春の花が咲く。
ヤブツバキです。
今ポツポツと咲きだしてきました。
ヤマダさんちのいり卵です。
大原産。
仕上げの花粉はいり卵で。
フキノトウはお湯に全部…。
アクがきついですからこうして交ぜて。
フキノトウはまだ雪が残る大原の山で見つけた。
これが土。
これが氷。
お豆腐。
これが残雪ね。
これをあえる事によってフキノトウがその中から芽吹いているというその景色。
山行ってそういう景色に出会ったらああこれやなという。
料理人というプロが山里を描く。
ため息が出る美しさ。
冬の名残と春の息吹が一皿に載る。
そのお味は?中東さんベニシアさんを店へ招待してくれた。
こんにちは。
(中東)どうもようこそ。
久しぶりこの店。
ホントに久しぶりに来て頂いてありがとうございます。
相変わらずきれいですね。
お掛け下さい。
ようこそありがとうございます。
中東さんのお店面白いのは何か舞台みたい。
舞台?いやいや。
パフォーマンスをする人は中東さん。
楽しみ。
わあ〜すごい。
どうもようこそありがとうございます。
いや〜すごい。
食べたらもったいない感じがする。
何か一つの絵になってる。
もちろん。
これが私が今朝行って見てきた季節に景色になってます。
すごい。
すばらしい。
日本料理はやっぱり季節を食べる料理ですから。
頂きます。
おいしい。
ちょっと苦い。
「春は苦みを食え」って言います。
日本ではね。
その苦みを食べる事によって春の…わっと暖かくなって活動するその起爆剤になる訳ですよね。
これ食べてみたい。
それ一口で一口で。
全部?はい!頬ばるおいしさっていうのがある訳ですよ。
いろんな味がある。
口の中でミックスされてる。
何か酸っぱいのと…甘さもあるね。
冬から春がぐ〜っと訪れません?感じるね。
柿の甘さから。
ユズの皮の味もあったよね。
大原の坂田さんが大切に育てたかぶらは白みそのわんにあしらわれた。
うわ〜かわいい。
紅白のかぶらはおひなさま。
おいしい。
そのままの味よね。
これ大根とかぶらの野菜のだしだけです。
カツオも昆布も入ってない。
だからス〜っと入ってくるでしょ。
抵抗なく。
染み込んでいくでしょ。
うん。
小さい時からお料理してたんですか?好きでしたね。
料理を手伝う事が。
うちの母親も料理がとても上手だったんですよ。
母から教わりましたね。
昔の人ってみんなそうじゃないですか。
家のお母さんが一番プロの料理人で。
やっぱり料理は愛ですよ。
毎日同じ人が食べると毎日何か違ったものにしないと。
それを食べて子どもは大きくなる訳ですから。
自分の味覚感覚っていうのは母親の影響が大きいでしょうね。
これヤマダ農園で飼ってもらってる鶏ですわ。
中東さん大原の地鶏を炒め始めた。
摘んできたこれがカンゾウ。
これクレソンタンポポツクシ。
これ皆ここへ入れてねニワトリが喜ぶんです。
ニワトリが皆ついばんでる部分でしょ?幼い頃から慣れ親しんだ京都の自然が生み出す味。
香りがいいね。
どうぞ。
ありがとう。
おいしそう。
大原地鶏と野草を炒めただけの素朴な料理。
鶏と一緒に召し上がって下さい。
これでここに野原が存在してる。
ニワトリが草をついばんでるという。
おいしい。
一緒に食べるのいいね。
塩も入れてない?塩も何も。
すごいね。
大原の恵みね。
大原の恵みね。
地球の恵みですよ。
やっぱり食べるという事は生きる事であって生きるために食べる事であって。
でも私ホントに近くのもの食べたら間違いないと思うのね。
自分の国のどこでも近くにあるものを食べたら多分すごくバランスがあるから。
ごちそう食べようかと言う前にまず「あなたはちゃんと生きてますか?」という。
「体のために食べてますか?」という事ですよね。
それは思いますね。
だからそこに季節感を取り入れたりとかそういう事をすると心が頭が体が全部が喜びますから。
それが一番幸せ。
それが一番幸せですね。
大地の恵みがもたらす味わい。
四季を持つ日本に生まれた幸せ。
中東さんと一緒にいろいろ教えてもらって…。
フキノトウとツクシとセリとカンゾウを天ぷらにしたいと思って。
どれも日本のハーブで今の時期ですごく体にいいんです。
今日は特別に食べる用のツバキ油。
すごく軽くておいしい天ぷらになると思う。
最初これを…。
まずは衣作り。
小麦粉をふるいにかけてダマになるのを防ぐ。
この中にベーキングパウダーをちょっと。
卵。
大原産の卵を加える。
色が鮮やかな感じ。
冷たい水をちょっと入れます。
まずツクシを天ぷらします。
ツクシはすごく体にいいのね。
イギリスではお茶で飲みます。
ツクシは利尿作用がありお茶にも使えるハーブ。
今度セリ。
春の七草の一つセリは独特の香りが持ち味。
カンゾウは夏になるとすごいきれいなユリが咲くのね。
新芽のカンゾウは癖がなくほのかな甘みと歯応えがある。
最後はフキノトウ。
庭で取れたフキノトウ。
苦みの中に広がる土の香り。
じゃあ日本の野草天ぷら出来ました。
次はイギリスのフリッターを作りたいと思ってます。
多分アメリカとかヨーロッパの国で作ってる天ぷらは大体フルーツで作るから…。
これは子どもの時よくおやつで食べたのね。
簡単に出来るから私でも作ってたのね。
天ぷらで余った衣に牛乳とメープルシロップベーキングパウダーを加える。
180度の油でおよそ7分。
これバナナもできるのね。
オレンジはちょっとおいしくない。
大体リンゴかバナナどっちか。
だから日本来た時びっくりした。
野菜でやってるから。
きつね色になったら油から上げる。
う〜ん匂いがいい。
これ懐かしの匂い。
粉砂糖をまぶしたら出来上がり。
リンゴのフリッターは生クリームをつけて。
野草の天ぷらは塩こしょうで。
どちらもツバキ油でカラッと揚がった。
ベニシアさんこれから咲く花の苗を植える。
キンセンカ。
化粧水とかクリームに入れてる。
あとはパスタできるように。
キンセンカのパスタ。
冬はちょっと休みがあるけどまた春…今年はどうなのかそれがまた面白いのね。
これハコベ。
これ食べられるよ。
ハコベ。
この白い花。
これ今日サラダに入れて。
結構栄養がある。
ビタミンがいっぱい入ってる。
今年も春は巡ってきた。
その当たり前の事に幸せを感じて手作りの日々は続く。
2015/04/22(水) 12:25〜12:55
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「芽吹きの季節」[字][再]
芽吹きの季節を迎えた京都・大原。ベニシアさん、友人たちと家の庭や大原の野に出かけて、春の訪れを楽しむ。友人の一人、料理人の中東さんが大原の野草料理でおもてなし。
詳細情報
番組内容
芽吹きの季節を迎えた京都・大原。ベニシアさん、家の庭や大原の野で春の訪れを楽しむ。造園家の椿野さんは、ツバキの木を持ちより庭に植えてくれる。料理人の中東さんは、大原の野草を摘みに連れていってくれる。途中、農家の坂田さん夫婦と出会い、話に花が咲く。ベニシアさん、京都市内の中東さんの店に出かける。一緒に摘んだ大原の野草で作った料理のもてなしを受ける。家に帰って、ベニシアさんも野草で天ぷらを作ってみる。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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