(福原)近頃眠れなくて仕事にも集中できません。
(日野倫太郎)眠れなくなったのはいつ頃からですか?
(福原)ある女性のことを強く意識するようになってからです。
(薫)あぁ水島先生。
(水島百合子)何やってんの?どうぞ。
見てくださいよ。
えっ?福原先生が日野先生に対話精神療法のロールプレーイングをお願いしたんです。
でも途中からただの恋愛相談になってるんです。
え〜。
(福原)彼女に一日でも早く告白しなければと思いながら勇気が出ません。
告白…しなければならないんでしょうか?
(福原)いいえそんなことはないんですけど。
彼女はよくAKBの歌を口ずさんでるんです。
(葉子)♪〜「あなたが好きです」と伝えられただけで♪〜返事なくても困った顔でも♪〜Happyになれる
(福原の声)その歌詞を聞いてると告白至上主義っていうんですか好きなのに気持ちを伝えないのは後ろ向きなダメ人間のように思えて来て。
そうですか。
しかし…。
しかし?しかし告白してもいい返事が貰えるとは限らない!そうなんです告白してフラれたら…。
これまで築いて来た関係がぎくしゃくしますます不安定な精神状態に陥ってしまう危険性がある。
そう感じてるんですね?だから困ってるんですよ。
落ち着きましょう。
息をゆっくり吐きましょう。
(息を吐く音)福原君いいですか?講義でも言った通り恋愛とは一過性の精神疾患のような状態です。
(夢乃)先生…私と一緒に落ちてえっ?先生?ヒ…ヒノリンでいいですまた会ってくれますか?夢乃さんどうして…。
(福原)先生?どうしたんですか?何でもありません。
ですからつまり理性を失う非常に危険なものが恋愛というわけです。
さらにホルモンバランスの話をします。
恋愛中男性は男性ホルモンが女性は女性ホルモンがそれぞれ増大します。
男性の場合アグレッシブになり仕事もできるようになりますが優しさが減り僕達の仕事でいえば患者さんの話を聞けなくなってしまう。
共感的に接することが難しくなってしまう。
そういうことも起こり得るのです。
そうなんですか。
福原君はどんな医師になりたいですか?それは…。
日野先生のように一人一人の心に寄り添いどんな患者でも救える精神科医になりたいです。
ならば恋愛は控えるべきです。
精神科医にとって恋愛は百害あって一利なしです。
僕の大好きなコメディアンもこう言っています。
コメディアン?「恋愛とは変態への第一歩である」。
はぁ…。
お茶でも飲みましょう。
(福原)はい。
これだから日野先生はこの年まで独身なんですね。
精神科医としては素晴らしいけど男としては…。
問題ありですね。
はぁ…あり過ぎよ。
さぁ共に恐れず前へ進もう!私はお前達の味方だ。
これは現代の迷える子羊達を救うある医師の話である
申し遅れました精神科医の日野倫太郎です
(宮川)芸術会員作家の風間信之介先生ですか?
(宮川)存じておりますとも主治医にご指名いただき光栄です。
(円能寺)最新作の評判が悪くてスランプに陥り気分がかなりふさいでるそうだ。
お任せください。
じゃあ日野君にも連絡して。
はい。
なぜ日野を?私1人で十分です。
精神科医は患者との相性が特に大事だから。
候補は多いほうがいいだろ。
(秘書)日野先生お出になりました。
もしもし。
はい日野です。
(円能寺)今日病院が終わってからぜひ日野君に診てほしい患者がいるんだ。
分かりました。
じゃあ7時に喜乃下に来てくれ。
あのそれってこの間の料亭でしょうか?
(円能寺)そうだよ何かまずいことでも?いえ。
君写真家になれるんじゃない?
(街子)ネットにばらまきます?いやここぞという時まで待ちましょう。
(円能寺)うちで最も優秀な精神科のドクターです。
精神科主任教授の宮川です。
日野と申しますよろしくお願いします。
君達風間先生の小説は読んだことあるだろ?もちろんですお書きになる本が次々とベストセラーですからね。
うちの家内もご愛読させていただいてるのでサインお願いできますか?
(風間)それは失敗作だ。
(宮川)いえ家内はとても面白いと申しておりました。
(内藤)風間先生評論家どもの言うことなどほっときましょう。
彼らには生みの苦しみ分かんないんだから。
そうですよさぁ楽しくやりましょう。
(手を叩く音)
(伊久美)こんばんは。
風間先生内藤社長ようこそいらっしゃいました。
こんばんは夢乃です。
小夢です。
さぁお酌して。
(伊久美)今夜は円能寺理事長のおごりですからパ〜っと行きましょう。
いやいや内藤社長のおごりでしょ。
ハハハ!お任せくださいハハっ。
ヒノリンまた会いましたね。
ヒノリン?えっ?何?
(伊久美)お1つどうぞ。
(風間)酒はいらん!
(むつみ)遅くなりました。
お前は誰だ?
(むつみ)はっ?
(内藤)風間先生ご冗談を。
秘書の保坂君じゃないですか。
違う偽者だ!むつみじゃない!先生何をおっしゃってるんですか?
(風間)そっくりだが別人だ!誰の差し金だ何でこんな偽者を連れて来たんだ!
(内藤)先生…。
(風間)そうかお前が勝手に俺の名前を使ってこんなつまらない本を書いたんだな!?だから俺は評論家連中にクソミソに言われたんだ!!・キャ〜!・誰に頼まれた?え〜内藤か?
(内藤)風間先生私も保坂君もそんなことするわけない…。
お前達の陰謀だ!俺はお前達のせいで文壇から抹殺されるんだ!風間先生落ち着きましょう。
触るな〜!
(宮川)私が医師として相談に乗りますから。
触るな!
(円能寺)大変だ救急車呼んでくれ。
(伊久美)ただ今。
先生大丈夫ですか?
(風間)触るな〜!痛い!大丈夫ですか?
(むつみ)先生。
(円能寺)先生大丈夫ですか?あ〜やめろ〜!!離せ!何をするつもりだ!
(蓮見)理事長の特患だって?しっかり体押さえて。
(医師)はい。
ジアゼパム1アンプル静注します。
(風間)その注射器毒が入ってるんだろう。
(蓮見)ハロペリドール打ておとなしくなったら頭部CTMRI。
(風間)注射はやめろ〜!あ〜おい!ケガしてよかった。
えっ?ヒノリンが手当てしてくれるんでしょ?外科の先生にやってもらいましょう。
水島水島。
えっ?何?ごめんちょっとさ指をケガした人がいるんだけど…。
うん分かった。
後で後で。
後で?日野先生とお親しいんですね。
えっ?あっまぁ家は近いですけど。
日野先生ってどこに住んでるんですか?はい?お誕生日いつだか分かります?あなたはどうしてそんなに日野先生のこと知りたいの?もしかして日野先生の彼女ですか?違います。
じゃあどうしてそんな怖い顔するんですか?蓮見先生。
風間さんのことなんですが…。
検査してみなきゃ分かんないよ。
うおっ!
(着信音)これで…つながりましたね。
(着信音)
(着信音)はい。
ごめんねもうちょっとでできるから。
風間信之介先生はメタファーの天才つまり比喩の天才ね。
その作風の超越性は俗人の想像をはるかに超えるの。
ふ〜ん。
大ファンなの。
ねぇ日本文学界の至宝といわれてるのは倫太郎も知ってるでしょ?うん。
主人公の周りには常にとっぴなキャラクターが登場するんだけど中でも特徴的なのはこれムササビ。
ムササビ!うん。
でも最近発表された作品は評論家達から酷評されちゃって。
でもそんなことぐらいであんな大作家がおかしくなるかしら?人は壊れやすい。
強いと思われている人ほど壊れやすい。
ふ〜ん。
さぁ食べよういただきま〜す。
いただきま〜す。
うんうんうん。
何?これ。
おいしい。
僕の大好きなコメディアンのレシピで作ったカレーともやし炒め。
もやし炒め…えっ?サラダじゃないの?サラダの70%は空気だから空気を食べてるようなものなんだって。
ふ〜ん。
それも大好きなコメディアンが言ってるわけ?あっマッシュポテト忘れた。
うん?
(メールの受信音)誰からだろう。
患者さんから?うん。
(夢乃の声)「今度のお休み会ってください夢乃」。
(蓮見)患者は突発的な興奮状態にて転倒しその際の頭部打撲により右側頭葉に軽い脳挫傷を生じております。
興奮状態はハロペリドールで鎮静されており脳挫傷以外の器質的な異常所見は見られません。
今のところ外科的に対処すべき点はありません。
(宮川)転倒する直前の言動や状況補助診断的に追加したSPECT検査の画像から判断すると妄想型統合失調症だと思われます。
まずはリスペリドンを処方し症状の改善を待つのが定石でしょう。
そうか…やっぱり妄想型統合失調症なの?そう判断するのは早過ぎるんじゃないでしょうか。
(円能寺)そうなの?日野君。
(宮川)いいえこのSPECTの画像からも頭頂葉の血流低下が認められ統合失調症でしばしば見られる所見です。
宮川先生は患者さんとお話はされましたか?患者とは直接接している。
何度言ったら分かるんだ。
患者の話に惑わされるから誤診が生まれるんだ。
では人物誤認についてはどう判断されますか?お前は誰だ?
(内藤)風間先生ご冗談を秘書の保坂君じゃないですか違う偽者だ!あれはカプグラ症候群だ。
カプグラ症候群?分かるように説明していただけますか?
(街子)カプグラ妄想カプグラ症状ソジーの錯覚とも呼ばれる人物誤認症状で身近な人物がそっくりの替え玉に入れ替わってしまった…と確信する妄想のことです。
やはり妄想型統合失調症で間違いないでしょう。
あの…とにかく一度面接だけでもさせてもらえないでしょうか?日野君がそこまで言う根拠は?先生ガツンと言ってやってください。
根拠は…ただ何となく。
患者さんの話をじっくり聞きたいなぁと思って。
何言ってんだ?君は。
妄想型統合失調症は精神療法だけでは押さえ込めません。
つまり日野君はこの患者には役立たずということです。
(円能寺)どうなの?蓮見君。
柔道と空手が闘ってるようなものです。
着ているものは似ているが戦い方が全く違う。
まぁそういったところでしょうか。
なるほどね。
分かりました。
では主治医は…宮川先生にお願いしましょう。
ありがとうございます。
先生「ただ何となく」じゃ弱いですよ。
(風間)・出て行け!お前はむつみじゃない!・
(むつみ)先生のお好きなお花です。
出て行けったら出て行け!お前の顔なんか見たくない!出て行け〜!出て行け〜!
(むつみ)先生…。
風間さん。
(風間)出て行け。
大丈夫ですか?
(むつみ)大丈夫です。
医者はいらん!出てけ!あの実は…僕の友達が風間さんのファンなんです。
よろしければサインをお願いできませんか?ダメだ!そうですか。
その友達に薦められて僕も読ませていただきました。
なかなか興味深かったです。
なかなか興味深いだと?何にも分からんくせに!これだから医者は嫌いなんだ!どうもすいません。
分かったら出て行け!風間さん。
読者として1つ質問してもいいでしょうか?何だ?この小説の主人公はムササビに恋をします。
先生のそばにムササビは今もいますか?
(風間)いい質問だ。
しかし…今はもう見えない。
それはどうしてですか?もう消えてしまった。
いつ消えてしまったんでしょう。
それくらい自分で考えろ。
すいません。
あれの飛ぶ姿は美しい。
日野…何やってるんだ?いえあの…診察です。
風間先生は私の患者だ。
出て行け。
失礼します。
申し訳ありません先生。
お薬をお持ちしました。
(風間)はぁ…。
はぁ…先生の秘書になって15年です。
そうですか。
あっじゃあ秘書になって最初の作品がこの『幻影』?そうです。
そうですか。
執筆はこれどちらで?軽井沢のホテルに缶詰めになって。
へぇ〜。
あの…その頃先生の言動に何か変わったことは?いいえ。
先生はすごい集中力で2週間でそれをお書きになったんです。
そうですか!あのこの『幻影』から風間作品の中に奇妙というかちょっと面白いキャラクターが登場するようになりますよね。
先生はそこから新たな作風を生み出し高い評価を得た。
随分お詳しいんですね。
いやあの実は昨夜読んだばかりで。
あぁ…フフっ。
初めは勉強のつもりで読み始めたんですが出て来るムササビがかわいくて…はい。
つい読みふけってしまいました。
そうですか。
はい!あぁどうぞ。
あっすいません。
あの背中に張り付いて自分を若返らせてくれるところとか。
あとひどいイタズラをして仕事の邪魔をするところとか。
私もあのくだり好きです。
アハハ。
柿ピーナッツのピーナッツが嫌いで柿の種ばかり食べてしまうムササビなんてホントにいるんでしょうか?さぁ?どうでしょう。
先生はいつ頃からああいった言動を?3か月ほど前からです。
(風間)鬼は外!福は内!鬼は外!先生やめてください!貴様は鬼かえ〜?福の神か?どっちだ?答えろ!どうしたんですか?俺は原稿の締め切りなんて聞いてない!先生私ちゃんとお伝えしました
(平野)僕もその時同席していました貴様らグルになって俺に原稿を落とさせようとしてるな!鬼だ!やっぱり鬼だ〜!鬼は外…ですか?はぁ〜。
日野先生宮川教授が至急理事長室へ来るようにと。
後で伺いますその3か月前というのは…。
(街子)至急です!すみません。
(宮川)日野君に治療の妨害をされています。
どういうこと?風間さんにカプグラ症候群の妄想がなかったとしたら妄想を抑える薬を投与しても良くはなりません。
私の患者の治療に首を突っ込むのはやめろ!病名を決める前にもっと患者さんの話を聞いたほうがいいんじゃないでしょうか?
(宮川)時間のロスだ。
ロスって…。
患者さんと向き合うのは一番大切な時間ではありませんか?日野君の治療法だと一体何十時間話し合えばいいんですかね。
出版社の社長から泣き付かれてんだ。
本が売れないこの時代に彼の本だけは出せば売れる。
早く次の作品を書いてもらわないと会社がつぶれるそうだ。
私はすぐ結果を出します。
理事長風間先生は私にお任せください。
日野君。
はい。
今後は一切の接触を禁じる。
患者の関係者とも会うな。
いいね?何が「いいね?」だよ!宮川ふざけるな!お前みたいな精神科医がいるから患者は迷惑するんだ!薬だけに頼るんじゃねえ〜!
(荒木)何だもういいのか?もっとたまってんだろ。
円能寺も円能寺だ。
そうだもっと行け〜!何が「今後は一切の接触を禁じる」だよ!ふざけるな!上品ぶってるけど腹ん中じゃ悪いこと考えてんだろ!真っ黒だろ〜〜!!ハハハっ確かにな。
あの人腹黒そうだもんなフフっ。
すっきりしたか?はい。
ほら糖分取ると頭の疲れ取れるぞ。
じゃあ1つだけ。
うん。
いただきます。
う〜ん…。
人生って何なんでしょうね。
(荒木)人生?そうだなまぁ人生ってのは後悔だなフフっ。
甘いですねちょっとお茶入れて来ます。
悪いねやらせて。
(メールの受信音)んっ?
(メールの受信音)「お忙しいヒノリンにこんなメールなどしたらご迷惑ですか?」夢乃って?患者です。
(荒木)へぇ〜あっそう。
「今度のお休み会ってください夢乃」フフフ。
お前にもとうとう春来たか。
そんなんじゃありません。
ハハハ…。
(荒木)ハハハ…こぼれてるぞ。
迷惑なんてとんでもない。
一日中あなたの…。
ちょっと!何をやってんですかちょっと!考えています。
やめてやめてちょっと。
はい送信送信。
送信した〜!
(メールの受信音)
(メールの受信音)来た来た…返って来た!えっ?「嬉しい!じゃ明日の午後一時置屋に迎えに来てください!」だってよ。
置屋?おい置屋ってお前…。
芸者?ハハハ…。
(口笛)約束をすっぽかすのが失礼だから行くわけでこれはデートじゃない。
いい精神科医でいたければ恋愛は控えるべきだからね。
それじゃあ弥助さんいってきま〜す!ごめんください。
(伊久美)は〜い。
まぁ〜!日野先生ようこそ。
先日はどうも。
先生も隅に置けませんねぇ。
どうぞお上がりになって。
(伊久美)今日は夢乃と遠出ですってね。
すいません遠出というのは何のことですか?あらご存じない?今日みたいにお座敷以外で芸者と遊ぶことですよ。
そうなんですか。
(伊久美)花代でございます。
はっはぁ〜…。
ヒノリ〜ン!行きましょ。
お菓子たくさん持って来てくれたんですね。
お好きなのどうぞ。
3か月前か…。
えっ?いえいえ!今患者さんのこと考えてたでしょ。
すみません。
風間先生?はい。
風間先生はお座敷に来るといつも泥酔してあの女性の秘書の方を困らせてましたけどあんなことになったのは初めてですよ。
そうなんですか。
ヒノリン。
デートの時ぐらい患者さんのことは忘れてください。
ちゃ〜んと私だけを見て?はい。
じゃあ1つ質問をします。
この間桜並木で擦れ違った時夢乃さんはなぜ僕に気が付かなかったんでしょうか。
声を掛けようと思ったんですけどどんどん先に行ってしまって。
どうしちゃったのかな〜って。
あっそれ双子の姉です。
えっ?私にそっくりな姉がいてよく間違われるんです。
双子だったんですか。
はぁ〜…。
(着信音)
(加山)いいよ!行け行け!
(るり子)いつまで待たせんのよ明良さん。
(るり子)あと2日週明けまでに用意できなかったらお座敷まで取りに行くけどいいの?
(るり子)あんた新橋にいられなくなるよ。
どうぞ取りにいらしてくださいお待ちしています。
(加山)あ〜もう!お〜し調子出て来た〜!
(加山)えっ?取ったの?ハァハァハァ…。
夢乃さんどうぞ。
ハァ…どうしました?ごめんなさい私さっきウソつきました。
双子の姉がいるなんてウソです。
ウソでしたか。
ヒノリンに気が付かなかったのはあの日すごく気が動転していたから。
(るり子)やっと来たやっぱり1000万なんて無理無理って何よ!FXって何?明良さんじゃなくて…夢乃さんでしたっけ?フフフ…何日かのうちに3分の1だけでも払ってもらえません?あんたの大事な身内がどうなってもいいんすか?
(るり子)よくないわよね〜実はあの夜父の病院から電話があって。
おとうさんお加減悪いんですか?
(泣き声)夢乃さん僕で力になれることがあったら言ってください。
父は肺がんに気管支炎を合併していてもう手術はできないと言われていたんですけどやっと引き受けてくれる先生が見つかって。
でもその先生にお願いしたら最新の治療で300万掛かるって言われて。
300万…。
ごめんなさい。
楽しいデートの最中にこんなお話してしまって。
(泣き声)夢乃さん大丈夫ですからもう泣かないでください。
お金は僕が何とかします。
じゃあ…ここに振り込んでください。
「アイザワアキラ」。
私の口座です。
分かりましたその代わり一度僕の診察室に来てくれませんか?診察?あぁこんなこと言われたら驚きますよねごめんなさい。
でもどうぞ軽い気持ちでいらしてください。
お昼休み一緒にお茶でも飲みましょ。
これあっちで食べませんか?ねっ。
おはようございます。
・おはようございます・相沢様こちら金額のご確認お願いいたします。
こちら現金ですのでご確認お願いいたします。
ありがとうございました。
何してんの!早く!もう…。
次は来週だからね明良…さんじゃなかった夢乃さん。
あっもしもし円能寺理事長をお願いします。
夢乃です。
もしもし円様〜?うん。
何してるの?うん。
特別室の風間さん強い腹痛を訴えてらっしゃるんです。
宮川先生は何て?教授は週明けは会議で忙しいので代わりに診ていただけますか?レントゲン撮ったら胃の中に異物が見つかったんだけど。
何だと思う?ムササビ。
(福原)先生何言ってるんですか?風間先生の小説読み過ぎたのね?よく見てここ。
何だろう?これ。
こっちだとよく分かるわ。
(葉子)指輪じゃないですか?指輪か!
(福原)誤って飲み込んだんでしょうか。
胃壁に食い込んでてオペしないと取れないかもね。
(風間)鬼は外!福は内!鬼は外!先生やめてください!「柿ピーナッツの柿の種だけを取って美味しそうに食べながら…」柿の種ばかり食べてしまうムササビなんてホントにいるんでしょうか?さぁ?どうでしょうあれの飛ぶ姿は美しいお前は誰だ?何でこんな偽者を連れて来たんだ!もしかして…。
ちょっと倫太郎?あなたが本物のむつみさんかどうかを確かめなくてはなりません。
その答えが風間さんを救うはずです。
これは…。
(倫太郎の声)風間さんの苦悩の象徴でしょうか。
それは違うな。
そうですか。
風間さんこれからむつみさんにこちらに入っていただこうと思います。
何?どうぞ。
(戸が開く音)
(薫)どうぞ。
それでは順番に食べてください。
もういいだろ。
まだ終わっていません。
どうぞ食べてください。
いいかげんにしろ!もう一度お願いします。
食べてください。
(風間)食べるな!
(風間)食べないでくれ!お願いだ…。
先生大丈夫ですか?あなたは彼女が本物のむつみさんだということをご存じなんですね?むつみさんはピーナッツアレルギーです。
それをあなたはご存じでした。
(倫太郎の声)だから彼女が食べようとするのを必死で止めた。
彼女がむつみさんであることをどこかで認識してらしたんですね。
風間さんあなたの妄想や幻覚は妄想型統合失調症によるものではないと思います。
ムササビはあなたにとって掛け替えのないものだったんじゃないですか?幻は手で触れれば消えてしまう。
だけどあなたの小説に出て来るムササビは…。
15年間ずっとあなたのそばにいてあなたの創作を支え続けてくれていたんじゃありませんか?黙れやぶ医者。
むつみさんを愛してる。
そうですね?
(むつみ)先生朝からず〜っと座りっ放しですよ少し休んでください寒くないですか?
(風間)あぁちょっと寒いかな
(むつみ)はい!ヒャっアハハハ…ハハハ…風邪ひきますよハハハ…むつみはいこれ…
(むつみ)うわ〜私からお前へのお礼だありがとうございます!
(風間)ハハハ…
(むつみ)あ〜キレイ!先生ああハハハ…
(むつみ)わ〜見てください!分かった分かった
(むつみ)すごくキレイです先生俺はむつみを幸せにしてやることはできない。
どうしてですか?
(風間)決まってるだろ。
60…。
ぬくぬく幸せな家庭なんか持ったら小説が書けなくなるからだ。
その男と結婚しろ鬼は外!
(平野)先生!先生!むつみさんにピーナッツを投げ付けるのはやめてください!
(風間)お前の代わりはいくらでもいる
(風間)ここにはもう二度と来るな
(風間)行きなさい
(倫太郎の声)ムササビを手放したあなたは創作の源である妄想さえも失ってしまったのではないかと不安になった。
(風間)お前は誰だ?
(倫太郎の声)その気持ちがもう一人のむつみさんや鬼を見せていたのかもしれません。
ドアが閉まる音
(倫太郎の声)指輪はあなたにとってムササビのもう一つの形だったんじゃないでしょうか?指輪手術で取り出しますか?いや。
このままでいい。
風間さん僕の大好きなコメディアンはこう言っています。
「人生は妄想だ我々は妄想族だ」。
君は一体何が言いたいんだ?風間さんは妄想の天才です。
そしてそれはあなたの個性です。
(風間)だから何だ?短期精神病性障害。
これが僕の診断です。
治療が必要なのか?いいえ。
風間さんの場合は急性で一時的なものでした。
社会生活にお困りでないのなら治療の必要はないと思います。
偉そうに…。
次の作品を待ってるファンが大勢いますね。
(風間)うるさい。
やぶ医者そんなことは言われなくても分かってる。
これ以上仕事の邪魔をしないでくれ。
(風間)君の…友達の名前何ていうんだ?えっ?
(風間)私のファンの友達だよ。
百合子です百合の花の「百合」です。
ありがとうございます!きっとすごく喜びます!先生。
私…。
(風間)むつみ。
私はもう1人で大丈夫だ。
この先も秘書は二度と雇うつもりはない。
幸せになれ。
お世話になりました!はぁ…。
女の幸せって何なんですかね〜?女の幸せねぇ…。
うらやましい。
はい?風間さんに治療は必要ありません。
妄想型統合失調症じゃないの?はい短期精神病性障害です。
症状は治まってます。
症状は治まった?はい風間さんは妄想の天才です素晴らしい個性です。
投薬の必要もありませんすぐに退院していただいて結構です。
理事長それは日野の安易で偏った診断であって私は認めません。
だからどっちが正しいの?分かりません。
分からない?ですが…。
何?治療の必要がないとすると入院費と差額ベッド代は取れますが治療費は取れません。
それは困るな。
とにかくよかったです!では失礼します。
(蓮見)日野君は客寄せパンダとしては優秀ですが患者の症状を全て個性にしてしまったら精神科に患者が1人もいなくなってしまいます。
やっぱり教授は無理かな〜。
理事長にお見せしたいものがあります。
んっ?理事長内藤社長からお電話です。
はい。
はい円能寺です。
風間先生が新作を書きだしました!ありがとうございます!それはよかったうちの精神科は優秀ですからね。
このお礼は後日…。
楽しみにしております。
(円能寺)蓮見君。
(ドアの開閉音)お前の弱みは握ってんだ。
(風間の声)「私の腹には小さな指輪がすんでいる。
ある日消化してやろうと飲み込んでみたのだが体がそれを拒んでいるのだ。
庭先でそれを見透かしたかのようにケロケロとアマガエルが鳴く。
うらやましいことにあいつらは消化できないものを飲み込んだ時口から胃袋ごと出して水で洗うのだ。
私もこのいかれた脳みそを取り出して一度洗ってみたい」。
お疲れさま倫太郎先生。
うん。
…って言いたいところだけど貸した本に赤線引くってどういうことよ!ごめん水島。
え〜円能寺理事長から金一封を頂いております。
皆さん遠慮せずどんどん食べてください。
すいませんカルビ2人前お願いします。
ビールください。
私もビールください。
金一封って大金ですか?見てみましょう。
あっ。
んっ?
(葉子)日野先生昨日の朝どこかに大金振り込んでましたよね?病院のATMいっぺんに振り込めなくて数えてたら30回も。
30回ってことは300万!?そんな大金どこに振り込んだの?
(葉子)まさか日野先生に限って女の人に貢いだりしませんよね?んっ?まさかあの夢乃とかいう芸者さんじゃないわよね?んっ?彼女かなり怪しかったもん倫太郎の住所知りたがったり。
やっぱりそうなの?熱っ!
(荒木)おとうさんの治療代?それは随分古典的なてに引っ掛かったな。
古典的?そうなんですか?むちゃくちゃ古典的だよ。
まぁ高い授業料払ったと思って諦めるんだな。
あっ…あと遠出の花代も。
遠出の…遠出の花代?そりゃ高くついたな。
(においを嗅ぐ音)お前焼き肉食った?食べました。
勘弁してくれよたい焼き焼き肉臭ぇじゃねえかよ。
夢乃さん。
あ〜おかえりなさい。
おかげさまで父の治療成功しました。
そうですか。
それでこんな遅くにどうしたんですか?あのこれ…お返ししようと思って。
治療代親切な親戚が出してくれることになったんです。
そうですか…。
ヒノリンありがとう。
ホントにありがとう。
あっ…かわいい!名前何ていうんですか?弥助です。
弥助〜弥助。
良い精神科医でありたければ恋などしてはならない
恋愛は一過性の精神疾患のようなものだ
決してそんなものに落ちてはいけない
そう僕は思っていた
2015/04/22(水) 22:00〜23:00
読売テレビ1
Dr.倫太郎 #2[字][デ]
堺雅人主演のヒューマンエンターテインメント第2話!大物小説家と秘書の絆を壊す心の傷・・・。彼の診断を巡り倫太郎VS宮川が対立!さらに倫太郎&夢乃の初デート!?
詳細情報
番組内容
倫太郎(堺雅人)は円能寺(小日向文世)から、大物小説家の風間を紹介される。最新作を酷評され精神的に不安定になっていた彼は、突如、長年支え勤めてきた秘書に「そっくりな別人だ」と言って暴れ出す。頭部を負傷し、百合子(吉瀬美智子)の治療を受けた風間だが、彼に対して宮川(長塚圭史)が出した診断に、倫太郎は異論を唱える。さらに、夢乃(蒼井優)は、倫太郎をデートに誘い、「あるお願い」をする…。
出演者
堺雅人
蒼井優
吉瀬美智子
内田有紀
高梨臨
高橋一生
真飛聖
中西美帆
余貴美子
遠藤憲一
酒井若菜
長塚圭史
松重豊
石橋蓮司
高畑淳子
小日向文世ほか
原作・脚本
【脚本】
中園ミホ
【原案】
『セラピューティック・ラブ』清心海(株式会社KADOKAWA)
監督・演出
【演出】
水田伸生
音楽
三宅一徳
制作
【制作協力】
ケイファクトリー
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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