介護は明るく楽しくかっこよく。
全国の介護家族の皆さんご機嫌いかがですか?「ハートネットTV」昨日に引き続き「介護百人一首」をお送りします。
全国からお寄せ頂いた介護にまつわる短歌1万3,497首の中から選ばれた100首春夏秋冬と一年にわたって全て100首を紹介してまいります。
ゲストをご紹介します。
昨日に引き続き女優でモデルそしてビーズ刺繍作家としても知られる秋川リサさん。
よろしくお願い致します。
二枚目の女性で。
二枚目?秋川さんなんと今回介護短歌を作って下さったという事で。
ご紹介お願いします!私初めて作りました短歌を。
本当?はい。
ちょっと待って。
その「育自」っていうのは子どもの「児」を書くんじゃないの?本当は子どもを育てるですよね。
だけど子どもを育てる事によってすごい私が育ったって気がしたんです。
なので育自にして両方かけておばあちゃまは今認知症ではっきり言って赤ちゃん返りしちゃってる。
だから赤ちゃんを育てるのと同じように私も育っていこうと思う。
奥深いね。
いえいえ。
初めて短歌やったの?面白かった。
私ねちょっとハマりそうです。
それじゃこれから応募しなさいよ。
応募しますよ。
俺選者だから。
嫌だ〜。
皆さんのご応募もお待ちしております。
早速「介護百人一首2015春編」ご覧頂きましょう。
「介護百人一首2015」。
介護ヘルパーをしている富山県の岡里有可子さん43歳の短歌です。
「訪問先で玄関から声をかけるといつもその方は大きな声で『生きとるよ!』と必ず言われます。
その声の調子で健康チェックをしています」。
茨城県の小川ヒロ子さん64歳の作品です。
「夫の小さな声にも顔を近づけて聞いてくれる職員さんに感謝しています。
デイサービスのお迎えは9時です」。
大阪府の原順子さん55歳の短歌です。
「母は時折びっくりするくらいの大声で昔飼っていた黒猫を呼びます。
『どこまで行ったかな?』と心配顔。
私も一緒になって『帰っておいで〜』と呼び『そのうちおなかがすいたら戻るよ』と言うと母は落ち着きます」。
青森県の伊藤愛理さん59歳の短歌です。
「亡き父は幼い頃から視力が弱く晩年はますます悪くなりました。
それでも相撲で物言いがつくとすぐにどちらが勝ったかを当てました。
不思議です」。
北海道の室岡和子さん70歳の作品です。
「夫の兄が脳出血で手術をし喉に管が入って声が出せなくなりました。
その兄が筆談で書いた言葉です」。
この町に住む塚田喜久江さんも介護百人一首に選ばれました。
歌を詠んだ塚田喜久江さん73歳です。
2階に息子家族が住んでいますがふだんはここで一人テレビを見たりお茶を飲んだりします。
喜久江さんの夫清治さんは入院中です。
7年前に認知症を発症し5年前に胃ろうになって入院しました。
認知症は更に進んでいます。
うちのおとうさんはもうとにかくニュースと天気予報と国会議事堂の会議を見てればいいんだって…。
うちのおとうさんそういう主義なんですよ。
だからお笑いとかああいうのはあまり見たがらなかったですね。
だけど私は笑って過ごした方がいいと思うからいつでもお笑いをなるべく見ようと思って。
面白いのを見て笑って毎日を楽しく過ごしたいなと思ってるんですよ。
喜久江さんは毎日清治さんの病院を見舞います。
車で15分ほどの所にあります。
どうもお世話さまになります。
こんにちは。
おとうさんおとうさん。
塚田清治さん76歳です。
今は喜久江さんと言葉を交わす事もありません。
それでも喜久江さんは見舞いを欠かしません。
そしていつも決まってするのがヒゲそりです。
おとうさんおとうさん。
おとうさんヒゲそるよ。
ヒゲをそると清治さんも気持ちよさそうにしています。
(取材者)毎日来て毎日…?毎日そうです。
だからねあんまりは伸びてはいないんですよ。
でもね一日で1ミリぐらいはつっと出てんの。
前はね前は「おとうさんいい男になったよ。
ほっぺたツルツルになったよ」って言うんですよ。
「女の肌みたいになっちゃったよ」ってこうやるんですよ。
そうするとニコニコって笑ったりするんですけど今は何言ってももう…あんまり反応がないんですよね。
毎日来てヒゲをそってついでにお髪も一緒にやって下さって。
でも私の仕事はそれぐらいのもんしかできないからせめてね毎日おとうさんとこに触れられている訳だからだからほっぱらかしておくというのは何か良心的に罪の意識みたいな感じがしちゃうんですよね。
ほっとくとね。
おとうさんおとうさん。
床屋が終わりました。
おとうさん。
ああ…。
あっ返事した。
(取材者)返事したみたいだね。
今「おう」って。
今は反応した返事ですよね。
ただ一人で「あ〜あ〜」って言ってるんじゃない。
おとうさん。
今床屋が終わったよ。
ほっぺたがう〜んとツルツルになっちゃったよ。
2人が結婚したのは52年前の昭和38年。
喜久江さん21歳清治さんは24歳でした。
清治さんは腕のいい大工でした。
棟梁となり生涯87棟の家を造りました。
近くには清治さんの建てた家がいくつもあります。
清治さんの道具箱が残っています。
これがおとうさんが一番大事にしてた道具箱なんですけど…。
これですね。
よくこれでトントントントンってやっちゃ刃の具合を見てね。
こうやっちゃこうにやってましたよ。
これで全部のうちを組み立てる線をしてその線を削ってって初めてその場所へ建てて組むんですから。
この一本の糸ですよ。
この一本の糸の半分残して半分落とせって言われたんですよ。
喜久江さんの作った短歌です。
清治さんの認知症は7年前に突然症状が出てきたといいます。
清治さんの母の入院先から車で一人で帰った時迷子になってしまったのです。
6時ごろ「じゃあ帰るよ」ってうち出たはずなのに15分ぐらいでうち着くのに来てないんですよ。
もうその時に既に方向が分かんなかったみたい。
自分で運転してて。
(取材者)自分のうちに帰る時に?それが始まりとなり認知症は年を追うごとに進んでいきました。
5年前の平成22年2月19日。
喜久江さんはリハビリになればと思い交換日記を始めました。
その日喜久江さんが「お父さん今夜のおでんは何が一番おいしかった?」と書くと答えの欄には不思議な文字が書いてありました。
だから「全部おいしかった」って書いたつもりなんでしょうけど全がこの上があって下へ王って字が本当は入って全ですよね。
だけど…。
立つに下へ口書いてこっちへこざと偏でしたっけあれを入れて部になる訳ですよ。
「全部」って書くつもりだったんでしょうがそれがもう分かんなかったんでしょうね。
こういう字を書くようになっちゃったのかなと思ったらやっぱり何か寂しいみたいな気持ちになったり何か悲しくなるんですよねこの字を見てて。
そんな喜久江さんが詠んだ介護百人一首です。
おとうさん。
ああ…。
あら。
おとうさん。
ああ…。
分かんないかな?おとうさん。
いい夫婦だ。
というかラブラブだよ。
「脳トレに交換日記始めた日夫の誤字見て涙がにじむ」。
秋川さんこのご夫婦どうご覧になります?いや〜ほほ笑ましいというか本当に。
奥様の方はなんてかわいいお顔だちっていうかすごくね介護してて大変な事もおありになるんだろうけどもでもそれがすごく苦労なお顔じゃなくてとっても幸せそうに見えるのはよっぽどいいご夫婦だったんですよ。
何か映画のワンシーンのちょっといい意味のラブシーンみたいですよね。
頬をなでてね。
その時のご主人を見つめている彼女のお顔が…。
ヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンみたいだった。
今それ知ってる人少ないですよ。
「何もほかにできないけどでも」って毎日ああやってお顔のお手入れするってすごい事じゃない?喜久江さんは旦那がいとおしいんだね。
尊敬してると思う自分の夫を。
リスペクトだね。
やっぱり大事だと思う。
相手を尊敬できる尊重できる事ってすごく大事だと思う。
喜久江さん清治さんにはきっと伝わってると思いますのでどうぞお続け下さい。
ありがとうございました。
さて秋川さんにはほかに気になった作品がありましたらご紹介頂きたいと思いますが。
大阪の原さん。
飼い猫の話ですけれども。
この猫ちゃんはもう亡くなってるんだけどもでもかわいがってた猫ちゃんを思い出す訳ですよねでまだ生きてると思っている。
本当にうちの母もそうでしたけどチェリーちゃんという介護犬の訓練をした訳でもないんですけどず〜っと母に付き添ってくれた犬がいまして。
変な話徘徊する時も犬が一緒についていってくれたために犬がなんとか家まで連れて帰ってくる事もあったのでペットっていうのもとても認知症やそういう人たちにとって心の支えになるんです。
うちはチェリーちゃんでしたけどもチェリーちゃんの言う事と孫の言う事はよく聞きましたから母も。
ありがとうございました。
さて引き続き「介護百人一首2015」ご覧頂きましょう。
介護の仕事をしている大阪府の古谷翔大さん29歳の作品です。
「ふだんは顔に自信のない自分ですが施設のおばあちゃんたちからは男前で通っています。
毎週水曜日に訪ねるため『水曜の男』と呼んでくれます」。
広島県の上野邦子さん74歳の作品です。
「美容師をしていました。
高齢のお客様にパーマをかけると何もしていないのに『痛いよー』と言われる事があります。
母も何かにつけて言っていた事をふと思い出しました。
母に残された最後の表現だったのかもしれません」。
青森県の田澤ユリさん79歳の歌です。
「昔から仕事いちずな主人でした。
家族旅行もした事はなかったのにこのごろは『なんて仲よしでしょう』と近所の人に言われるほど。
腕を組んで病院へ通います」。
老人ホームの施設長をしている東京都の土屋寛子さん50歳の作品です。
「短歌を詠む入居者の方を先生役にみんなで介護短歌に挑戦しています。
なかなか入選しませんが少しずつメンバーが増えお師匠さんも喜んでいます」。
富士山の麓駿河湾に面した…歌を詠んだ松谷粂子さん77歳と夫の恵司さん75歳です。
粂子さんは22年前いまだに原因がよく分からないサルコイドーシスという難病を患いました。
筋肉の痛みや激しい動悸目がかすむなどの症状があります。
粂子さんの日課は朝食前恵司さんの手を借りて硬くなった筋肉をほぐしてもらう事です。
これがねどうしても痛いの。
上がんないのね右がね。
だけどこれやると楽になるの。
箸もお茶わんがここへと来るからね。
(取材者)今日は?今日はいいです。
今日もいいです。
そうですな?いいな今日は。
この顔を見てりゃいいですよ。
昭和13年生まれの粂子さんは母の勧めで美容師の資格を取り二十歳の頃から自宅で美容院を営んできました。
戦後樺太から引き揚げてきた事もあり生計を立てるために必死で働いてきました。
粂子さんは27歳の時に県の職員をしていた2歳年下の恵司さんとお見合いをして結婚。
子どもを2人授かりました。
そして平成5年脳梗塞の母を看病していたさなかに突然病魔に襲われたのです。
55歳の時でした。
体重が減ってごはんも食べられなくなったりそうかと思うと薬の副作用ですごく食べて丼2〜3杯食べて顔がこんなになって。
今も顔は赤いですけどこれ全部副作用。
今もって22年薬のんでるので。
あのころはまだ歩けたので今みたいにこんなになるなんていう事思ってもいなかったし…。
一番切ないのは本人ですからね。
ともかく病院へ行って主治医の言うとおりにしてやるしかないなという事でしたね。
粂子さんをいたわり支えてきた恵司さん。
恵司さんが粂子さんに代わって食事を作るようになってもう12年になります。
(取材者)今日は何を作るんですか?ここにある白菜の鍋物。
一番上にあるものです。
(取材者)白菜の鍋物?
(恵司)ええ白菜の鍋物。
結婚してからずっと家事は粂子さんに任せきりだった恵司さん。
粂子さんにレシピを教わりました。
大体鍋物やるとね2日分です。
こういうものやると。
でないと毎日やるじゃやだから。
ヘヘヘヘヘ。
料理は一とおり作れるようになりましたが出来上がりの味見だけは粂子さんにお伺いを立てます。
あとは師匠の…。
師匠が何て言うか。
はいはいはい。
ちょっとしょっぱい。
しょっぱい?みりん少し入れてみ。
そうか。
入選した粂子さんの短歌。
実はこの入選作もともとは下の句はこんなふうにユーモラスな言葉遣いではありませんでした。
粂子さんの具合が悪く味見ができなかった時恵司さんのひと言に傷つきそれを歌にしたのです。
言っていい?
(恵司)いいよ。
この人がお前にはこれしかないじゃんって言われて。
味見の仕事しかないじゃんって言われてそのとおりの歌を作ったんですね。
そしたらもう何か自分が惨めで情けなくて。
今はもうないし誰にも見せられないです。
見るたんびに泣けてきたのでそれもう破っちゃって。
そんな悲しい思いをした粂子さん。
ちょうどその時「自分を褒めると前向きになれる」という話をラジオで聞き下の句を変えてみようと思ったのです。
私も自分で自分を褒めてみたら少しは変わるかなと思って「吾は味見の師匠でおわす」というふうにちょっと褒めるっていうより威張ってみようかなと思って書いたんです。
こういうふうにすれば気持ちが明るくなるなという感じでこのごろは少し前向きかしらね少しね。
病に伏して22年。
恵司さんの料理と歌を詠む事で前を向いて生きてきた粂子さん。
2人の春がずっと続きますように。
いい夫婦の今日はオンパレードだね。
本当にやっぱりこんなに仲のいい夫婦がまだまだいるんだと思うとちょっとホッとする。
最初はこれ粂子さんねもっと否定的な悲観的な歌で詠んでいたという事ですけれどもっと前向きに自分を褒めるようにしようと「吾は味見の師匠でおわす」と。
決して決して楽しいいい事ばかりではなくつらい事もたくさんあると思うんですよね。
でもそれをつらいつらいっていうよりはそこをちょっとユーモアを交えると急に「私もなかなかできる」って褒めれるじゃない?そして本当にあの恵司さんがお伺いを立てるように味見を。
ドキドキしながら。
あの時のね厳しい目。
あれは本当に師匠だったよ。
ご主人正座してましたしね。
何か夫婦が少し関係性が変わってまた仲のよさを保っているような。
どちらかが介護が必要になった時に初めて気が付く事もたくさんあるんだろうけどその時に何十年かの結婚生活が許せるっていう言葉も変なんですけどもいろいろあったけどおとうちゃんでもねもう私しかいないんだから見てやるよっていう気持ちになれるかどうかは大事ですよね。
いい介護っていうのは具体的に言うと?いい介護?介護するためには。
無理しない。
無理し過ぎない。
それからもっとオープンにしていろんな人に助けてもらう。
猫の手も借りたければ借りていいと思います。
プロの方たちの手を借りる事も何かいけない事と思わなくていいと思います。
自分の時間も守りつつ介護した方がお互いのためになると思います。
いろんな夫婦の介護の短歌。
そしていろんな家族親子の短歌もご紹介しましたが介護を短歌に詠むっていうのは秋川さんからご覧になっていかがですか?応募すればいいんですよね。
はい。
NHKではこちらの介護百人一首の作品集をまとめています。
さて「春編」は今日でおしまいですので次回は「夏編」という事になりますね。
秋川リサさんどうもありがとうございました。
お母さんによろしく。
ありがとうございます。
次回夏ご覧下さい。
2015/04/23(木) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 介護百人一首2015「春編 その二」[字][再]
介護にまつわる出来事や思いを詠んだ「介護百人一首2015」今回は春編その二 タケちゃあんはるか昔の飼い猫を呼び待つ母の時は戻りて ほかの短歌をご紹介します。
詳細情報
番組内容
介護する人される人、日々の介護生活の中でふと心に浮かんだこと、ある出来事の情景を詠んだ「介護百人一首」今回は春編その二。埼玉県の塚田喜久江さんの短歌 脳トレに交換日記始めた日夫(つま)の誤字見て涙がにじむ 誰からも字が上手だと褒められていた主人が、こんな字、こういう文章を書くようになってしまったのかと悲しくなってしまいました。介護のつらさ、悲しさ、喜び、そして優しさ。介護短歌の心に触れて下さい。
出演者
【出演】毒蝮三太夫,小谷あゆみ,秋川リサ
ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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