ハートネットTV 生きるためのテレビ「“自死遺族”の声から」 2015.04.23


子育ての実感とか成長の実感とかそういうのを感じる機会にして頂ければいいかな。
私の大切なあの人が命を絶ってしまった。
今年も巡ってきたこの季節。
何年たっても悲しみはなくならない。
まだ見た事のない弟の上の世代を見てもああ弟にこの世代はもうないんだって。
もう弟はおじさんにならないんだって。
もうおじいちゃんにならないんだって…。
みんな幸せそう。
だから言えなかった。
でも本当は誰かに聞いてほしかった。
「生きるためのテレビ」。
私たちは自殺について語り合う番組を放送してきました。
反響のメールは1,000通を超えその中には家族を自殺で亡くした人たちの声も数多くありました。
今日は自死遺族の声に耳を傾けます。
今日はスタジオで皆さんに思いを語って頂いてそして思いを聞いていきたいというそんな場にしたいと思います。
柳田さんもかつてつらい経験をされたそうですね。
もう早いもんでね22年たちました。
お子さんを…。
はい。
次男ですが当時25歳で夏の暑い8月。
自分の部屋でね命を絶ってしまったんですけれど自分の大事な息子の死となるともう自分の人生自体が破壊されたような全身でね何か大変なとこへ投げ込まれたみたいな事で。
これは痛切に感じました。
共有している時間がやっぱりすごく大きいんでしょうね。
杉本さん本当に大切な方を失ったというのは人生の中でもとってもつらい事の一つだと思うんですけれども。
やっぱり自殺に対する偏見無理解無知識というの大きいと思うんですね。
弱い人の身勝手な選択だっていうような本当に無言の大きなプレッシャーが周りの方たちにあってそれも二重にも三重にも苦しみを増す事になってるのではないかなというふうに常々思っております。
去年全国で自殺をした人の数は2万5,427人です。
毎年家族や大切な人を亡くされたという方が多くいらっしゃいます。
そういった方たちから番組に向けてたくさんのメールや書き込みが届きました。
今日はスタジオにその中でメールを頂いたお二方にお越し頂いています。
今日は本当にスタジオにお越し頂いてありがとうございます。
あかねさんは去年の夏に弟さんを亡くされたという事メールに書いてありましたけども。
何を誰にどう吐き出していいのかも分からずだけど悲しくて悲しくて伝えたくてすみません乱文なんですけどメールを送ってしまった感じなんですけど…。
「弟のけいとが自殺したのは去年の夏。
26歳でした」。
「私には夫と4歳の娘がいます。
弟が遊びに来るといつも一緒に食卓を囲んでいました」。
「今も毎晩弟の席を用意しています」。
…で用意しだした感じですかね。
「私たちは幼い頃から仲のいい姉弟でした」。
「父がしつけに厳しい人で叱られた時はよく慰め合っていました。
いつも手をつないでおやつを買いに行きました」。
「私が結婚してからも関係は変わらずよく我が家に遊びに来ていました」。
「そんなある日弟が彼女と暮らす事を知って連絡を控える事にしました」。
「その数か月後あまりに突然でした」。
母と父が…。
「けいとが死んじゃったんだよ」って言うんですよね。
「もう死んじゃったよ」って。
「だから警察なの」って言われて。
「本当にけいとなの?」って。
「人違いじゃないの?」って。
そしたら「けいとなんだよ」って。
「けいとなの」って。
(すすり泣き)すみません…。
なのでああどうしようと思って…。
「遺書はたった2行だけ。
なぜ自ら死を選んだのかはどこにも記されていませんでした」。
「『どうして突然いなくなってしまったの』。
今も届くはずのないメールを書いています」。
「今どこにいますか?まだ夢に出てきてくれないね。
会いたいです。
私はけいとが本当に可愛かったしけいとが弟でよかったです。
私の弟でありがとう。
そしてごめんなさい」って書いてますね。
「何気なくテレビを見ている時にも…」。
高校生の頃はあんなだったなとかもう何でも…何でも思い出せますね。
関連づけて。
どこからでも拾える気がします。
「何をしていても弟の事が思い出され前に進めない日々を送っています」。
ふだんの生活の中で弟さんの事を結び付けてしまうんですね。
そうですね。
もう今日とか電車に乗っていつもと違う場所へ来たんですけどもしかしたらここら辺で生きてるんじゃないかとか都合のいいように考えたくなってしまうんですけど。
(久保)今でもやっぱり何で亡くなってしまったんだろうって考える事がありますか?そうですね。
自分で想像してきっとこういう事が悲しかったんじゃないかこういう事がつらかったんじゃないかって想像するしかないんですけど本当に聞けるんなら弟の口からねどうしたの何があったのって。
どれぐらい悲しかったのどんなにつらかったのって聞きたかったんですけどつらさをね見せるそぶりもなく突然亡くなってしまったので。
うん…悲しいですね。
私自身もね息子の死の直後は親としてなぜもっと深く理解したり止めたりできなかったのかというんでもう自分自身を消したいぐらいそういう罪責感みたいなものが襲ってきてね。
なぜ死んでしまったのかってその「なぜなぜ」という事ばかりで頭がいっぱいになってところがその「なぜ」に対する答えは残念ながらないんですねいくら追求しても。
本当に喪失感の悲しみっていうのは時間がたつぐらい逆にね深まるっていったらいいのかな。
最初から時間がたてばなんとかなるっていうもんではないんだろうと思いますよ。
場をわきまえずギャンギャン泣きたいっていうか…。
なんですけどそれだと生活ができないから自然と自分の気持ちに蓋をする事を覚えてあっこのまま考え続けたら私涙出ちゃうなって思ったらすぐピシャッと気持ちに蓋をして。
その蓋をするのがまたすごく罪悪感があって。
何か弟の事を考えちゃ駄目って言ってるような気持ちになっちゃって。
それがすごく嫌なんですけどでもしないと生活できなくてっていう感じで…。
お母様を亡くされたりんさん。
どんな事を感じました?やっぱり今あかねさんが話している事はものすごく一字一句共感できる事で。
母が亡くなったばっかりの時はものすごく自分たちが世界で一番不幸なんだというぐらい落ち込んでたんですけど…。
「私が死にたいと思うようになったのは母親が自殺で死んでからです」。
「母が亡くなったのは今から6年前。
あの日も雪が降り積もる寒い日でした。
年の近かった母は私にとって姉のような存在でもありました」。
私が10歳頃。
「ものすごいそっくりだね」ってみんなに言われるんですけど。
「私のうちは両親と妹の4人家族。
父の仕事の関係で転勤続きでした。
友達が多い方ではなかったので学校から帰るといつも母と遊んでいました」。
本当姉妹のように仲がよくてカフェに行ってお茶をしたりとかランチをしたりとかショッピングに行ったりとか本当べったりだったので仲がよかったですね。
「ところが高校生になった頃から関係が変わり始めました。
母は私の学費を稼ぐために働き始めました。
ですが職場の人間関係で悩み『辞めたい辞めたい』とつぶやくようになりました」。
「そしてうつ病と診断されました」。
その日の夜に夕飯の時にうつって診断されちゃったって泣きながら家族に言ってきた時の事がまだ記憶にありますね。
「それからの母はまるで別人でした」。
暴れだしたりとか叫んだりとか。
妹も「あんた殺して私も死ぬ」ってはさみを持って追いかけ回された事あると言ってましたし…。
「あなたたちがいなかったら私はもっと自由になれたのに」とか。
もっとあるんですけど多分その当時のショックが大きいのか全然思い出せないですね。
「私は大学への進学をきっかけに家を出ました。
情緒不安定な母を父と妹に押しつけたまま」。
・「母からは帰ってきてほしいと何度も電話やメールが来ました」。
母の精神が不安定になると感情のままにものすごいひどい言葉を並べたメールとか送ってくるんですけど耐える事ができなくて電話も着信拒否にしてメールも母親のアドレスを迷惑メールに設定して本当に完全に母親との接触を断ってました。
「大学3年の時母は自宅の物置で自ら命を絶ちました」。
「私が逃げていなければ母は死ななかったかもしれない。
自分を責め続けました。
それからは引きこもり状態。
母と同じうつ病と診断されました」。
母親が苦しんでたのはこれかって。
精神科の薬のんでまた副作用に苦しんでとか。
身をもって体験して。
でもそれが自殺に追い込んでしまった自分への罰なんじゃないかなって。
家に籠もってるのもちょっと刑務所に入ってるような気分で。
もう私は幸せみたいな感じにはならないですよね。
自分を何度も何度も責めてしまうんですね。
はい。
母親が物置にこっそりともう縄を準備してて隠していたみたいで。
その事を私は知ってたんですね。
「こうやって私はこれを見ていつでも死ねるから今日も頑張ろうって思えるの」って言われた事があって。
でも多分父と妹は知らなくて。
だからこそ私は知っていたから私が家を出ないで実家に住んでいればもっと早く気付く事もできたかもしれないとか…。
お母様が自死されてりんさん自身性格というか内面というか変わったところって自覚されている部分ってありますか?外に出ると周りの人みんなが自分よりも幸せに見えてしまって。
それで…。
何か嫉妬してしまうというかひがんでしまうっていうか。
あと自死してる家族がいるとかそういう事が全くない友達と遊んでても全然楽しみを共有する事ができなくなってしまって。
あとふとした瞬間に自分の母親が自死しているっていうのがバレてしまうというのが怖くて自分から距離を置いてしまって。
今実質本当友達って1人ぐらいしかいなくて。
やっぱりお母さんの事を話すっていうのは今もできない?う〜ん…。
大学の人に先生とかに「もうつらい」って言った事もあるんですけどやっぱり「時間が解決してくれるよ」とか「私も親亡くしてるけど親から先に死んでいくものだから」という何か私が思って…。
欲しかった答えと違う慰められ方をしてやっぱり分かってくれないんだなって思ってそれからは誰にも言わずに心の中にしまい込んで。
周囲は結構安易に悪意はないかもしれないけど励ますつもりかもしれないけれども安易な励ましの言葉でとってもかえってつらくなってしまう事もいっぱいあるんですよね。
今孤立しがちな自死遺族への支援の輪が広がっています。
同じ経験をした遺族同士で語り合う…安心して話せるように臨床心理士など専門家が加わる事もあります。
話をするタイミングは自由です。
何も話さなくても構いません。
誰かを批判したりアドバイスはしないのが決まりです。
今の映像ですけれども今回こうした場があるという事を知って頂くために冒頭のみ特別に撮影させて頂きました。
こうした場にカメラが入る事はありません。
思いを吐き出していらっしゃいましたけれども。
自分の事をお話しになられたりまた同じような経験のほかの方のお話を聞いたりして何か視野が広がるっていいますかね自分一人でいる時はこういう角度で見てたものがちょっと違った角度から見る事ができる事になったりするようなそういうきっかけっていうのは随分いろいろあるのかなっていうふうに思っておりますので継続的にもっともっと広がっていったらいいなというふうにいつも思ってます。
悲しい時には思い切り泣けばいいという。
もう泣きたいだけ泣く。
涙が枯れるぐらい泣いた方がいい。
その先にまた何かが生まれてくる。
そういう事を思うんですよね。
ただ寄り添う人の寄り添い方っていうのは助言をしたりああしたらこうしたらと言うんじゃなくてとにかくただ聞いてあげる。
いつもそばにいて聞いてくれる人がいるっていうそういう安心感みたいなものがね寄り添うって言葉の一番大事な意味だと思うんですよね。
りんさんはわかち合いの会参加された事ありますか?はいあります。
同じ思いをしてる人とか同じように周りから言われて傷ついてる人っていう方々と出会ってやっぱり話す勇気が普通出ないんですけど相手も自死遺族なんで何か自分だけじゃないんだとか…。
心のストッパーなしに話す事ができるので吐き出す事で気が楽になるっていうかそういう感じでした。
あかねさんはわかち合いの会は?やっぱり話すと話したあと私そのあとしばらく生活できないぐらい気分が落っこちゃうのでまだ怖くてそれができてないですよね。
もう少し落ち着いたらお話しできたらいいなって思いますね。
(杉本)それぞれのペースがあって早ければいい訳でもね遅ければ悪い訳でもないと思いますし本当にそれぞれの方の悲しみがあり向き合い方があるんじゃないかなというふうに思います。
今日は大切な人を亡くされた家族の皆さんの思い聞いてきました。
まずあかねさんいかがでした?もっと悲しみたいなって。
やっぱりおうち帰ってもっと泣いて悲しんでそれでも生きていくからっていう気持ちにはなりましたね。
りんさんはいかがですか?まだまだ自分は制御してる部分があるんだなって思ってそれでまだやっぱりまだまだ引きこもってる状態もまだ続いているしもうちょっと自分の悲しみと素直に向き合っていければなって思いました。
亡くなった方の人生というものを一つの物語ね山あり谷あり流れる川のようなそういうこの人生というものをしっかり残されたものとして見つめてあげてそうするとその人の人生ってのはいっぱい考えた事や残してくれたものやある訳ですよね。
それを全部受け取って自分は生きるんだっていうふうにつながってくると少し心が整理されてくるんじゃないかなと思うんですね。
そうすると今自分が生きてる意味も何か見えてくるに違いないと思うんですね。
今日は本当にいろいろお話伺ってきました。
本当に皆さんどうもありがとうございました。
2015/04/23(木) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 生きるためのテレビ「“自死遺族”の声から」[字]

「大切なあの人が、自ら命を絶ってしまった…」自殺について語り合う番組「生きるためのテレビ」。今回は、大切な人を自殺で亡くした“自死遺族”の声に向き合う。

詳細情報
番組内容
「大切なあの人が、自ら命を絶ってしまった…」自殺について語り合う番組「生きるためのテレビ」。これまでに1000通を超える反響のメールが寄せられているが、家族や大切な人を自殺で亡くした人からのメールも少なくない。「あのとき自分がこうしていれば」と自分を責めたり、誰にも悩みを打明けられず孤立してしまったり…。今回は、“自死遺族”の声に耳を傾け、大切な人の死とどう向き合い、生きていけばいいのか考える。
出演者
【出演】ノンフィクション作家、評論家…柳田邦男,久保純子,NPOグリーフサポートリンク代表…杉本脩子,【司会】山田賢治

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
福祉 – 社会福祉
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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