先月番組に病院関係者から奇妙な情報が寄せられた。
経営が悪化した関東の複数の病院で患者に対して怪しげな事が行われているというのだ。
えっ?取材で浮かび上がってきたのは身近な医療の現場でささやかれるあるキーワード。
これは多分…我々としてはぐるぐる病院と呼んでいて…。
何かが各地の病院でぐるぐるしているらしい。
今宵びっくりするような病院の実態が明らかに。
何か謎ですね。
ぐるぐるぐるぐるみんな言ってましたけど。
皆さん使ってるって事は皆さんは分かって使ってるって事だよね。
いやそうですね。
(近藤)所さん。
何ですか?本当に不思議な事が起きてたんですよね。
それがこちら。
関東地方のとある病院です。
まあ50代の男性が入院をしていました。
去年7月その病室に弁護士を呼びました。
そこで訴えたのがこちら。
「もうぐるぐるはやめて〜!」。
何の事かさっぱりですよね。
ぐるぐるやめてって言われても。
そこでいろいろ想像をかきたてました。
もしかしてこれは…もうぐるぐるするような荒っぽい治療?はたまた…うっぐるぐるぐる。
おなかに来ちゃったっていうぐらい強烈な薬をのまされたんじゃないかとか。
副作用的なね。
そんな事もいろいろ想像は膨らませましたが実際これ取材を進めてみると病院を舞台に実に不思議な事が起きていたんです。
所さん!大変ですよ。
ぐるぐるをやめてと訴えた男性は既に退院していた。
自宅を訪ねてみると…。
こんにちは。
どうも初めまして。
こちらがぐるぐるをやめてと訴えた…
(取材者)ちょっと手があれですか?病気の…。
(舩山)そうです。
後遺症です。
病気の後遺症で手足は不自由だが退院後はヘルパーの助けを借りながら一人で生活している。
ぐるぐるっていうのは一体何だったんですか?そう言って舩山さんが取り出したのは入院していた病院の記録。
そこには驚きの数字が。
(取材者)えっこれ1から14まで?
(舩山)そういう事ですよね。
舩山さんは5年の間に14の病院に入院。
その順番を図にしてみると…。
いくつかの病院の間を行ったり来たり。
確かにこれはぐるぐる病院だ。
全ての始まりは7年前。
会社員をしていた52歳の時突然倒れ東大病院に救急搬送された事だった。
診断は…一時は自力で呼吸ができないほどの重症に。
症状が落ち着くまで1年4か月かかった。
1人暮らしで家族の支えもなかった舩山さん。
リハビリのため千葉県の病院へ転院する事に。
しかし治療を続けようにも長引く入院生活で仕事も蓄えもなくしていた。
そこで病院から勧められたのが生活保護だった。
生活保護を受けると入院費も治療費も全額税金で賄われ舩山さんの負担はゼロに。
しかしその直後からなぜか短期間で病院を移る…突然ですがここで鋼太郎のちょっと大変ですよ。
ぐるぐるされて不満げな舩山さんですが病院側にも事情があったんです。
舩山さんのぐるぐるリストそれぞれの入院期間をじっくり見てみると…。
なぜか2週間前後と1か月前後の入院が多い事が分かりますよね。
こちらをご覧下さい。
現在の国の制度で病院が入院患者一人当たり一日に受け取れる金額つまり収入です。
患者の入院が14日以内なら一日当たり基本料に4,500円を加えた金額が病院の収入に。
しかしそれ以上入院が長引くと病院に入る収入はどんどん減っていき…入院が90日を超える患者が多くなると基本料まで下がってしまい多くの病院が赤字になってしまうといいます。
だから舩山さんのぐるぐるリスト病院の収入が下がる前後に転院させられるケースが目立つんです。
これが病院の抱える事情でした。
ぐるぐる生活が3年目を迎えた頃舩山さんは車椅子を使えば身の回りの事を自分でできるようになった。
そのため退院したいと病院や福祉事務所に何度も打診。
しかしなぜかいつも答えを先送りにされてしまう。
舩山さんはしかたなく弁護士に相談。
国や県に要望書を出しようやく退院する事ができたという。
なぜ退院したいと打診しても先送りされたのか。
取材を続けると同じようにぐるぐる転院し続けた人が多くいる事が分かった。
こんにちは。
去年2月に退院したこちらの男性もその一人。
やはり1人暮らしだという。
(取材者)10年間もぐるぐる回ってたんですか?飲食店で働いていた男性。
63歳の時突然足が動かなくなり入院した。
仕事を失い蓄えもなかったため舩山さんと同様生活保護を申請。
その後10年間で70回転院を繰り返したという。
これがその間に入院した病院名。
それを舩山さんの入院リストと比べていたディレクター。
ある事に気が付いた。
(取材者)これ舩山さんがいたリストです。
(取材者)重なってますね。
そうですね。
舩山さんが入院したのと同じ病院が8か所もあった。
全て関東の病院。
一つはベッドが200床近くの中規模病院。
そのほかは個人経営の小さな病院でお互いが緊密に連絡を取り合っていたようだという。
しかも…。
部屋にはもう…浮かび上がった生活保護の患者をぐるぐるさせる…このあとその実態が明らかに!あら〜!ぐるぐるが分かりましたね。
こういうぐるぐるだった。
この問題は…まあこのぐるぐる病院問題。
公式的には…まあ短い間に頻繁に病院を移るという事なんですが。
どのぐらいの人がぐるぐる病院転院を繰り返してるのかと。
去年9月に厚生労働省が全国で調査した結果1,428人の生活保護受給者がいたんです。
行ったり来たりしてるの?生活保護受給者の方が。
ただそれは生活保護の受給者ですから全て税金が使われてると。
あらま。
…で今厚生労働省はこの人たちの転院が本当に必要だったのかどうかというのを調査をしている最中だという事です。
スタジオには今日も各分野の専門家の皆さんにお越し頂いています。
このぐるぐる病院についてお話ある方。
(3人)はい!こんな大変な問題なのに!?はい犬山さん。
あっはい。
このぐるぐる病院ひと事ではないっていう感じ方をします。
というのも私の周りの…話の内容が一切色恋ではなく…この先どうするかっていう。
はい。
なおかつ20代の女性の中には100社以上会社を受けてるのに採用されずそのまま生活保護を受けてらっしゃる女性とかもいらっしゃったりとかして…。
じゃ意外と身近なんだねこの保険の問題とか。
だから将来ぐるぐる嫌だなと思いますやっぱり。
(モーリー)でもねこれ…えっ何で何で?おととしアメリカ人の破産理由の1位は医療費の未払いだったんですよ。
あれ?医療費むっちゃ高いんですアメリカ。
何でかっていうと日本みたいに国民健康保険っていう国民皆保険の制度がないんですよアメリカ。
本当に怖い。
(一同)え〜?
(モーリー)あったんですよ。
それに比べたらそういうアメリカの状況に比べたら日本のぐるぐる病院なんてかわいいんだなんて幸せなんだって思ってしまいますよね。
アメリカ人としては。
いや我々は…
(笑い声)
(久保田)極端な例。
これも悪いんだから。
(澤口)そうは言ってもですね…どういうどういう?一つはまず…孤独はよくない。
孤独っていうのは肥満以上にいろんな病にかかるっていう事が分かっていますし寿命も縮まるんですよ。
ぐるぐる回っていますから適応しようとすると人間って…新しい刺激があるから体にはいいんじゃないかと。
脳にもいいしと。
ちゃんと調べてそういう事やった方がもしかしたら病気の治りが早いとかいうデータを出してからこうだったらまだいいんですけどやってませんから…。
どうしても出てくるのはお金の税金が病院に入る額が下がるんでって事しか出てこないもんね。
患者さんの事考えてる訳じゃないですもんね。
所さん所さん。
VTRに出てきた最初の男性なんですが実はあの方は退院したいしたいと何度も訴えていたのに答えを先送り先送りにされてできていなかったんです。
それは一体何でなんだろう?そうそうそう。
本来退院を支援すべき福祉事務所に聞いてみたところ退院したあとの受け入れ先となるアパートなどが見つからなかったからだと。
更に最初の男性に対してごめんなさいと。
申し訳ないという気持ちも伝えていたんです。
そしてこの話これで終わりじゃないんです。
ぐるぐる病院ネットワーク。
あの話。
2つの病院でやってる訳じゃないもんね。
何かこういろいろやってるんだもんね。
その実態を調べてみると病院が抱える複雑な事情というものも見えてきたんです。
病院の事情もあるの?所さん!もっと大変ですよ。
謎の病院ネットワーク。
取材を続けるうちにネットワークに属する病院関係者にたどりついた。
今日はひとつよろしくお願いします。
病院ネットワークは…匿名を条件にその理由を明かしてくれた。
短期で患者を転院させ続けた場合…そうですね。
この関係者によれば現在ネットワークの中心にいるのは北関東にある中規模病院。
関東一円に散らばった小さな病院と組みそれぞれの病院に空きベッドが多くならないよう転院の時期を調整しているという。
取材拒否。
ならばネットワークのほかの病院はどうか?ディレクターは舩山さんの入院リストの中に気になる病院を見つけた。
ちょっとこれ見て下さい。
ここに産婦人科病院っていうのがあるんですよ。
なぜ男性の舩山さんが産婦人科に入院していたのか?その時の様子を聞いてみる事に。
すいません。
失礼します。
(取材者)何年も使ってない感じ。
あれですね。
一体どんな病院なのか。
向かったのは東京に程近い住宅街。
(取材者)これですね。
産婦人科に並んで内科の案内も。
ただしなぜか入院のみ。
2階からはパジャマ姿の男性がのぞいていた。
すいません。
…病院さんってあるのご存じですか?はい。
昔子どもあそこで産んだんですか?そうそう。
あれから何十年。
ハハハハ。
かつては多くの人が出産に利用していたらしい。
病院の現状を聞こうと…しかし数日後。
(取材者)こんばんは。
かつてネットワークに属していたほかの小規模病院の院長が当時の状況を話してくれる事になった。
この病院が大都市郊外の住宅地に開業したのは昭和50年代半ば。
小さいながら手術も入院もできる病院としてオープン。
地域の人たちから信頼されベッドも常に埋まっていた。
しかし10年ほど前から状況は一変。
患者が近くの大病院へ流れ始め経営が悪化した。
空いたベッドを埋める方法を探していた時中核の病院からネットワークに誘われたのだという。
今日も病院から病院へとぐるぐる回される生活保護の患者たち。
調査の結果こうしたネットワークは全国でほかにも複数ある事が確認された。
あら〜悪い方向へ歯車がはまっちゃってますね全部が。
志初めあって町で始めたものの「経営はできないわこれは」ってなっちゃったらでもしかたなくじゃあそういう人を一人ベッドに入れようかって気にはなるのかね。
そもそも日本人のような稲作文化セオリーっていうのがあるんですけど…。
えっ?稲作文化セオリー。
コミュニティの中にそういういろんな方がおられると医者っていうのはいた方がいいんですよ。
ですからコミュニティがあって…。
支えになるんだね。
医者がいれば支えになって…。
そういうコミュニティを特に日本人は必要としているんですよね。
ですからこういうものがなくなってしまうっていうのはコミュニティの崩壊につながりますのでやっぱり大問題だと思いますよ。
だからあれですよね。
そのかかる700万のお金初めからあからさまにその病院に出すべきじゃない?そのぐらいのお金がその病院に必要な訳でしょ?とにかくそこに初めから700万出せばその人いなくてもいいじゃん。
その人がたらい回しされる必要がない訳で。
ただそうは言ってもやはり税金ですからそこは気になりますよね。
先ほどの厚生労働省が発表したこの1,428人。
これ1年間この人たちが転院を繰り返すと計算するとおよそ100億円かかると。
大変な問題ですねこれ。
知らなかった本当に。
これは徹底的にやった方がいいんじゃないですか?いや〜もう徹底的に国の方入れていろいろ話した方がいいんじゃないの?これ。
スタジオもぐるぐるしてきちゃいました。
2015/04/23(木) 22:55〜23:20
NHK総合1・神戸
所さん!大変ですよ「“ぐるぐる”病院の謎」[字]
去年、ある入院患者が病室に弁護士を呼び、不思議な訴えをした。「グルグルは止めて」。各地の病院で行われていたグルグルとは?ビックリするような病院の実態が明らかに。
詳細情報
番組内容
去年7月、東日本のある病院に入院していた患者が病室に弁護士を呼び、不思議な訴えを行った。 「もう“グルグル”は止めて」というのだ。調べに入った取材陣は、身近な医療の現場で、ある不思議なことが広く行われている事実を突き止める。そして、そのことを国も注視していることが判明。謎が謎を呼ぶ病院ネットワーク。ビックリするような病院の実態が明らかになる。
出演者
【司会】所ジョージ,久保田祐佳,近藤泰郎,【出演】澤口俊之,モーリー・ロバートソン,犬山紙子,【語り】吉田鋼太郎
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:18668(0x48EC)