くらし☆解説「ネット書き込みの削除と表現の自由」 2015.04.24


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは「くらしきらり解説」きょうはこちらのテーマです。
担当は三輪誠司解説委員です。
ネットの書き込みといいますと私も、飲食店などを選ぶときによく口コミを参考にしています。
三輪⇒それぞれが意見を出し合うという機能を上手に活用すればインターネットは健全な議論の場として活用できるんだと思います。
しかし、その一方でインターネットの掲示板などの中には見ているだけで気分が悪くなるようなひぼう中傷の書き込みも少なくないというのが現実なんですね。
具体的なケースを説明します。
ことし2月なんですが川崎市で男子中学生が殺害されたという事件がありましたけれどもあの事件の直後には犯人はこの少年に違いないという実名と顔写真の付いた書き込みがネット上でまん延しました。
拡散希望などと書かれているものもありました。
しかし、こうした情報の中には逮捕された少年とは全く別の人の情報も含まれていたんですね。
それは問題ですね。
こういった事例もありました。
インターネットの動画サイトに特定の中学生の顔写真や名前、学校名などが書かれて汚い、死ねなどとののしるような内容もあったということなんです。
深刻ですね。
もし自分が、ひぼう中傷されていることが分かったら削除できますか。
削除の申請という手続きがあります。
本当はこのように書き込みを見つけた場合には書き込んだ本人に対して消してくださいというのが建て前ではあるんですけれども誰が書いたか分からないというのがインターネットの特徴なわけですね。
その場合、こちらのサイトの管理者に削除の申請ということをすることができるんです。
サイトの管理者は権利侵害の書き込みがあったのにもかかわらず、それを放置していた場合、損害賠償の責任を負うということになっているんです。
ただ、サイトの管理者にどうやって連絡を取ったらいいですか?なかなか問い合わせ先の電話番号などが載っていませんね。
そういう場合は公的な団体の相談窓口というものがあります。
違法・有害情報相談センターというところです。
ここにホームページがあるのでそこに相談内容を書き込みますと電話や電子メールなどで回答してくれるということです。
サイトのサービスによっては嫌がらせや迷惑行為を報告する、削除を受け付けるホームページもあります。
サービスごとのそういったページの場所などについても教えてくれます。
相談実績もかなりありますのでサービスごとの特徴についても情報を持っていると思います。
それは非常に助かりますね。
ただ管理者に連絡が取れたとしても権利侵害、人権侵害にはあたらないということで放置されるというケースはないですか。
実際に、あるんです。
先ほどご紹介した動画サイトのケースについてもそういうことでしばらく放置されていたわけなんです。
そういう場合、残っているような場合、どうしたらいいかということなんですが相談窓口があります。
法務局には人権相談の窓口というものがあります。
そこで権利侵害が明らかだという判断がなされますと本人に代わって削除の申請をするということをしてくれるわけです。
実際、法務局が出てきたということでこうした書き込みが削除されたというケースも結構あるということです。
実際、法務局に行っても相談にのってくれますしこちらの電話相談みんなの人権110番、こちらのほうに電話していただいても最寄りの法務局につないでくれます。
相談してみるといいかもしれません。
こういう救済制度があると非常に心強いですが口コミや掲示板の中には人権侵害とまではいかないけれども、批判的なものというものも少なくないですね。
それもこういう削除の対象になりますか。
いろいろなケースがあると思います。
例えばこうしたケースが考えられると思います。
政治家に対する書き込み、それが1つあります。
例えば、10年前になんとかの事件で有罪判決を受けたことがある、というような書き込みの場合、一般の人の場合はこうした情報をいつまでも載せておくのは逆にプライバシー侵害と見なされます。
政治家でも同じように判断していいのか、削除してしまっていいのかというところが議論になっているわけです。
また病院のような公的な事業をしているようなところに例えば、過去5年間医療事故が何件ありました、というような情報、これについてはインターネットを使って病院を探したいという人にとってはこうした情報を削除してほしくないというふうに思いますよね。
この問題というのは表現の自由の保障との兼ね合いということです。
書き込む側の表現の自由なのか書かれる側の権利侵害なのかその線引きが問題になってくるということですね。
誰に対しての批判かということで違ってくるしどんな場合でも保障されるわけではないということですね。
では、その線引きがどこになるかという議論になるんですがこれは過去にありました、出版とプライバシーとの線引きそれが争点となった過去の裁判判例が現場の基準となっています。
基準はどういうことかといいますと表現の自由が優先する場合例えば表現することそのものに社会的な意義が認められる場合。
これは、例えば書かれる側が社会的な活動をしている場合ですね。
それに対する評判、評価になっていれば表現の自由のほうが優先されるということなんです。
またもう1つ、公職にある人。
または選挙の候補者などが公職に就くことがふさわしいかどうかということを判断する材料になっているかという点がもう1つあります。
やはり有権者の代表を選ぶような場合の参考としてその人が信頼できるかどうかということが情報として大切ということになりますので書き込みは表現の自由のほうが優先されるという判断がされるわけです。
となると政治家や病院に対する批判というものは、削除されるべきではないというふうになりそうですね。
原則的には、そのように判断されるということが多いと思います。
しかし書き込みの内容にこうした社会的な意義とか社会性がなければならないということになるんです。
内容ですか。
そうですね。
具体的なケースです。
例えば政治家に対する書き込みの場合、演説を聞いて意味がよく分からなかったというようなものについては候補者、政治家に対する評価と考えられます。
これはOKなケースですね。
先ほどのように10年前になんとかの事件で有罪になりましたというようなケースの場合もこれも、この人の経歴についていいことも悪いことも含めて知っておきたいという有権者に情報として答えるという意味で表現の自由が優先されるということです。
削除は難しいと。
そして最後に、見た目が気に入らないというような話はどうかといいますと基本的に公職とは関係ないですね外見でいいか悪いかという話になるわけですからそういった場合には社会性が認められないと判断されるということになると思います。
また、先ほど病院の例も出しましたけれども病院についても例えば薬や病状に十分な説明がなかったというような場合もこの事業に対する評価と見なされます。
そして病室が汚れていたということも同じですこの事業に対する評価です。
削除は難しいですね。
削除すべきではないと判断されますね。
その一方で、この病院はやぶ医者ばかり、というようなものについてはやはり名誉毀損と判断されるかもしれないということだと思います。
書くほうにも書き方がある、表現のしかたがあるということですね。
やはり表現の自由というのを理由に書き込みを行う場合その書き込みを守りたいのであれば書くほうにもやり方があります。
名誉毀損になる書き込みは場合によっては犯罪になることがありうるので注意が必要です。
書き込む場合は感情的な表現をできるだけ避けてインターネット利用者の参考になるための情報提供というものに努めてもらいたいと思います。
三輪誠司解説委員でした。
2015/04/24(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「ネット書き込みの削除と表現の自由」[字]

NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:19222(0x4B16)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: