「きょうの健康」今回は日本医学会総会一般展示の会場からお届け致します。
今週は「メディカルジャーナル特集医療の未来」4回シリーズです。
第1回目になりますけれども今日は「迫る再生医療革命」と題してお伝え致します。
今日と明日のゲストをご紹介致します。
まずは増田英彦さん。
ますだおかだの増田さんでいらっしゃいますね。
どうぞよろしくお願い致します。
お願いします。
(拍手)今日のテーマが「再生医療」なんですけど再生医療についてはいかがですか?最近ノーベル賞とかニュースから知るようになった方なんでまだまだ知らない事も多いと思うんで今日はちょっと勉強したいと思います。
それでは教えて下さる方ご紹介致します。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
(拍手)本当にね再生医療言葉はすっかりなじんだんですけどどういうものなのかちょっと伺いたいですよね。
改めてどういうものなのか教えて頂けますか?再生医療というのはもともとは病気とかけがで体の一部の機能が失われた時にそれを補う医療という意味です。
肝臓とか臓器移植ですねああいうのがイメージしやすいのではないかと思います。
最近特に注目されているのが幹細胞医療といわれる領域です。
こちら世界の中でも特に日本が注目を集めている領域で研究が飛躍的に進歩しているという領域ですね。
幹細胞。
幹細胞ですね。
幹細胞なんですけどまずちょっと映像を見て頂いた方が分かりやすいと思いますので。
こちら細胞をずっと培養皿の上で増えていくところを撮っているんですけれども。
これ増えてるんですか?真ん中のモヤモヤしている所ありますけどもこれが細胞なんですけどもどんどんどんどん広がっていってますね。
特徴は2つありましてこういうふうに細胞が同じ形をしながらどんどんどんどん増えていくというのが幹細胞の特徴の一つです。
もう一つは幹細胞を幹として枝がどんどんできていく。
つまりその細胞をもとにしていろんな細胞を作る事ができるというのが幹細胞の特徴です。
そういう細胞はもともと体の中にもある事が知られていてこちらにあるように例えば造血幹細胞これは血液のもとになる細胞であったり上皮の幹細胞は皮膚ですね。
例えばけがした時に再生する。
あるいは神経のもとになる神経幹細胞とかあるんですけどもう一つは人工的にそういう細胞が作れるよというのがあります。
それが今話題になっていますiPS細胞ですね。
iPS細胞はもともとは2006年に京都大学の山中伸弥先生が作られた細胞です。
皮膚から取った細胞に遺伝子を4つ入れると。
そうするとそれが皮膚の細胞からiPS細胞に変わるというものです。
この細胞は日本語に訳しますと人工多能性幹細胞という事で多能性というのがカギでしていろんなものになれるというのがiPS細胞の特徴です。
iPS細胞からどんな細胞を作る事ができるのか。
山中さんと共に初めてiPS細胞を作った青井貴之さんに教えて頂きます。
こちらがiPS細胞。
この細胞は去年ヒトの皮膚の細胞から作られました。
これは今たくさんの細胞から成っています一つ一つがこの粒々一つ一つなんですけどもこの1粒からこれだけの大きな細胞になってまたこれをバラバラにすると同じように固まりを作っていくと。
そういうふうに無限に増えるという事。
そのiPS細胞から作られたのが…。
これはiPS細胞から作った神経の細胞です。
この神経細胞を使って今パーキンソン病などさまざまな脳の病気を治療する研究が進められています。
そしてこちらはiPS細胞から作られた心臓の筋肉心筋細胞です。
全ての細胞がほぼ同時に拍動しています。
この心筋細胞をシートにして患者の心臓に貼り心臓病を治療しようという研究が進行中です。
そして今世界から大きな注目を集めているのがこちら。
この細胞を使って去年世界で初めての手術が行われました。
その指揮を執ったのは…高齢者に多い加齢黄斑変性の臨床研究です。
加齢黄斑変性は網膜の奥で出血などが起こり視力が低下する病気です。
橋さんは傷んだ部分を取り除きiPS細胞から作った細胞を入れる事で視力を回復させようと考えました。
まず患者の皮膚から作ったiPS細胞を使って網膜色素上皮細胞のシートを作りました。
それをミリ単位の大きさに切り取り患者の網膜の奥に移植したのです。
心臓の細胞動いてるやつもね別に顕微鏡をのぞかんでも肉眼で見えるサイズなんですね。
本当に増殖していてそして動いてるんですね。
命の源を見たような感じでいとおしいっていうんですかね。
今後はどんなふうになっていくんでしょうか。
先ほどの加齢黄斑変性ですね橋政代先生の研究は昨年秋から既に始まってまして恐らく本年度中にはパーキンソン病とかが始まるのではないかといわれています。
気になるものあります?そうですね僕おやじが20年ぐらい前に亡くなってるんですけど糖尿病でC型肝炎でそこから肝臓がん肝硬変併発しながら最期亡くなってったんでそれは糖尿病とか肝硬変とかその辺は気になるんですけどこういう研究を重ねて我々が一般人が普通に治療を受けれるというのは大体何年先ぐらいになるんですかね?やはり病気にもよりますしそれから臨床研究の結果によるところが大きいんですけど臨床研究がうまくいってそこから更に10年とかそれぐらいたつと皆さんの…研究が実際治療に使われるようになるにはそれぐらいかかるんじゃないかと思います。
その辺り今度は課題といいましょうかお話し頂けますか?はい。
大きく2つご紹介したいんですが一つは安全性の問題ですね。
iPS細胞は遺伝子を入れるという事でその遺伝子が悪い事をしてがん化するんじゃないかという事が最初は問題になってました。
遺伝子をどうやって入れるのかという事でそれに関しては以前の入れ方というのがあるんですけどもこれ細胞なんですけれども4つの遺伝子を入れる時にこのゲノムが切れましてそこに4つの遺伝子が入っていってつながると。
こういう形で組み込まれてしまうんですけれどもこれが余分な遺伝子とかを傷つけてしまうと。
遺伝子傷つくとがん化とか起こしやすくなりますのでそれが問題じゃないかというふうにいわれていました。
今はこの方法を改良しまして輪っかになったDNAを入れてゲノムの中に入り込まないような形の工夫をしてそれを使ってiPS細胞を作るという事をしています。
こういう事をする事によってがん化のリスク自体はだいぶ減ったんじゃないかと考えられています。
もう一つお金かかると。
いやお金ですよね。
えっ数千万円!?はい。
プラスおよそ1年。
その細胞を作る期間が1年という事?そうですね。
患者さんに戻すという事になりますと相当いろんな工程がありまして長いんですけども最初に細胞を頂いてそこからiPS細胞を作ると。
その細胞が安全だと。
先ほど言いましたけど例えば遺伝子に傷がついてないかとかいう事を膨大な検査をしていってかなり長い工程が必要になります。
結構念には念を?そうですね。
…ってなったら急病人の方とかね。
事故とかねそういうのはなかなか難しいんじゃないですか?これクリアにするにはどうしたらいいんですか?今京都大学iPS細胞研究所ではiPS細胞ストックプロジェクトというのを2年前から始めています。
先ほどの話は一人一人の患者さんからiPS細胞を作って戻しますよという話だったんですけどもこちらは健康なボランティアの方からiPS細胞を作るための細胞をもらってそこからiPS細胞を作ってちゃんとできましたというのを保管しておくと。
これ使いたいっていう例えば病気の方とかいらっしゃったらそこから目的の細胞を作って病院とか医療機関に送ってあげる。
そういうふうにためておくんですね。
例えば増田さんの…。
いやそんなんなんぼでも提供しますけどそんなん誰でも適応する訳じゃないじゃないですか。
はい。
なので実際には選ばれし人といいますかね特定の型から選んで作っているというのが現状です。
特定の型というのは?特定の型というのがですねHLAの型というのがあってですねこちらが特定の型という意味なんですけども…。
HLA?はい。
血液型というのがありますよね。
ABABOという。
それと似たような細胞の型の一つなんですけれどもヒトの細胞には表面に全てこのHLAという印がついています。
このHLA型というのは一人一人異なってまして基本的にはお父さんから1つの型お母さんから1つの型を受け継ぐんですけども例えばこの細胞でいいますと例えば赤をお母さんから頂いて青をお父さんから頂くと。
この2種類の組み合わせで赤と青という組み合わせでその型が決まるんです。
HLAの場合はそれぞれの色が数千種類あるのでつまりその組み合わせによって同じ型というのは数万人に1人しかいないという事になります。
これが合わないと拒絶というのを起こしやすくなるんですね。
そこでその特別な型を持っている方というのを探すんですけれどもこちらの図でいいますと今Bさんから作った細胞をAさんの体に入れようとしているという状況があるとします。
ちょっと型が合わない訳ですよね。
こういう場合はBさんの細胞をAさんの体に入れるとAさんの細胞がBさんの細胞を見て緑はオーケー合ってると。
ところがピンクは自分じゃないよねという事でBさんのその細胞を殺してしまうんですけどこれが拒絶といわれる状態です。
ところが特殊な型の方がいらっしゃってCさんの細胞は全部緑という状況なんですね。
全部緑なのであ緑あるわと。
緑とオレンジ以外はないよねという事でじゃあ自分の細胞なんだという事でそういう細胞を受け入れる事ができると。
ですので型が1色しかない方の細胞というのは緑とオレンジですよね。
緑と紫緑と赤皆さんの型に移植が成立するという可能性が高いと。
それぞれこれで言うたら緑やったら緑紫やったら紫オレンジ色やったらオレンジのそれぞれ個別の細胞だけ置いといて入れようという選択ができるという事ですね?だから緑の型は大体みんないけますよという。
分かりやすい。
うん。
という事が考えられています。
こういう特殊なね型を持った人っていうのはどの程度いると考えられるんですか?数百人に1人ぐらいはいらっしゃるといわれています。
こちらにいらっしゃる方もお一人ぐらいはそういう方がいらっしゃるかもしれません。
ストックですから応用できるようにする数ですよね目標としては何かいつごろとかあるんですか?私たちの目標としては2023年ぐらいまでに大半の方にそういうふうなものが使えるようになればいいかなと思ってます。
8年後に大半の方の型はこういう感じでストックできるように?例えば日本人の人口の8割の型をカバーするためには先ほど言いました緑一色とかああいうふうな特定の型を75種類ぐらい集めればいいだろうと。
75種類で?はい。
それはそういうふうな計算ができていますので。
それすごい可能性感じますよね。
結構でも思ったよりもずっと早くそして身近に…。
まだまだ臨床研究が始まったところなのでここから先が本番というところは大いにあるんですけども恐らく30年ぐらいたちますと多能性幹細胞を用いた再生医療というのが当たり前に医療として使われているという時代が来るんじゃないかと思います。
ただその時に大事なのは社会としてこういうふうな新しい医療技術をどのように受け入れていくのかという事で議論を深めていく必要があるんじゃないかと思います。
改めて今日伺ってまさに再生医療革命が今起きてそちらの方向へ進んでいるなと思ったんですけどもいかがでらっしゃいました?僕iPS細胞をちょっと説明できるようになりました。
(笑い声)ただ問題は明日覚えてるかどうかです。
これなんとかなりませんかね?番組を見て頂くという事で。
本当にありがとうございました。
頑張って下さい。
ありがとうございました。
(拍手)2015/04/24(金) 10:40〜10:55
NHK総合1・神戸
先どり きょうの健康 メディカルジャーナル特集 医療の未来▽迫る再生医療革命[解][字]
iPS細胞による再生医療の実用化最前線。注目すべきはiPS細胞をストックして病気の治療に役立てるプロジェクト。時間の短縮と費用の軽減が可能なため期待されている。
詳細情報
番組内容
京都大学iPS細胞研究所の齊藤潤准教授を迎え、iPS細胞による再生医療の実用化最前線を伝える。注目すべきはiPS細胞をストックして病気の治療に役立てるプロジェクト。時間の短縮と費用の軽減が可能なため、今後が期待されている。いったいどんなプロジェクトなのか、詳しくお伝えする。番組では、iPS細胞から作られた神経細胞や拍動する心筋細胞なども紹介。再生医療の実用化の見通しを伝える。
出演者
【ゲスト】増田英彦,【講師】京都大学iPS細胞研究所准教授…齊藤潤,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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