〜
風間昭平:乗鞍常念燕岳鹿島槍五竜白馬。
日本の屋根といわれる北アルプス。
今度の赴任地は長野県警松本中央署。
この裾野に広がる信州の城下町です
〜あぁ…。
空気がうまい!
着任の1日前に先乗りして私は松本市内のこの病院を訪ねた
(ノック)
(篠塚)はいどうぞ。
よう!よう!おととしの同期会以来かな?うん。
うん。
あっ娘の法子だよ。
(法子)こんにちはお久しぶりです。
法ちゃん?母の葬儀のときはありがとうございました。
あのときはセーラー服だったよね。
まだ中学3年でしたから。
すっかり大人になっちゃって。
いやいやまだまだ子供だよ。
(笑い声)どう?具合は。
あぁ…丈夫で長持ちがモットーだったけどさすがに今度ばかりはまいった!しかし風間に引き継いでもらえるんならこれで安心したよ。
お前が戻ってくるまで任せてもらうから…まぁこの際仕事のことは忘れてじっくり治療に専念しろよ。
あぁ…。
お父さん風間さんのおっしゃるとおりよ。
わかってるって。
(ノック)
(看護師)篠塚さんこれから心電図の検査をしますから。
あぁまた検査か…。
お父さんきちんと調べてもらわなきゃ駄目よ。
わかってるって!無理しないで痛いところは痛いってちゃんと言わないと。
子供じゃないんだから…何かいるものは?いやいらない。
どうもだんだん母親に似てくるんでまいったよ。
法ちゃんきれいになったねぇ。
ちょくちょく顔出すから。
(篠塚)あぁ。
お願いします。
おい風間その土産おいてけよ!俺の大好物だろう?お前が退院してからゆっくり飲もう。
署長室に飾っとくよ。
あぁそうか。
いやぁ待ちどおしいなぁ。
お父さん!じゃあ…。
あぁありがとう。
(法子)先週の月曜日の朝に発作起こして倒れて…。
心筋梗塞?カテーテルの応急治療しましたけど精密検査の結果を待ってから手術をすることになると…。
今まで病気知らずの父だったんですけど…。
私にできることがあったら遠慮なく何でも言ってね!今度聴きたいな。
えっ?チェロ。
松本交響楽団に所属してます。
松本交響楽団?はい。
たいしたもんだねぇ!ぜひ聴きたいね。
演奏会にはぜひご招待しますから。
元久さん!
(元久)あぁ!高城元久さんです。
元久さんこちら父の警察学校の同期の風間さん。
風間です。
警察学校の同期?はじめまして…高城です。
写真のお仕事を?えぇタウン誌の仕事で…。
いつもは山を撮ってるんですけど。
山岳写真家なんです。
そうですか…。
じゃあ失礼します。
風間さんありがとうございました。
〜
病気療養の署長に代わってのピンチヒッター。
そう警察学校の同期生の後任だけにいつもとは違った特別の感慨があるが…
思いもよらない事件が私の着任を待ち受けていた
〜うっ!うぅっ…。
(草野)あぁこ…こら!こんなとこに停め…。
あぁご苦労さんご苦労さん。
ここはな正面なんだよ!危ない危ない…。
危ない危ない!だからここは正面の出入り口なんだよ!
(倉田)こら草野!
(草野)何?署長になんてこと言うんだ!風間署長でありますね。
私副署長の倉田と申します。
お待ちしておりました!風間です…よろしく!草野さんよろしく頼むよ。
はい!お持ちいたします!これは大事なもんですからこれお願いします。
お前はいい!触るな!!そこへ立ってろ!はい!篠塚署長からとくとお話を…。
全国各所を渡り歩く変わり者だとか?失礼いたしました。
署員316名事件発生年間2万1,417…。
検挙率62.4%…全国平均をはるかに上回っております。
(ブザー)
(矢追)俺車まわしてきます!
(青田)はい。
おい矢追!青田!遠山!牧村!!
(直美)はい!どうした?女性の死体が発見されました。
死体?現場は?はっ?新任の風間署長だ。
署長…失礼いたしました。
現場は梓川の倭橋上流です。
これお願いします!これね大事ですからね割らないでくださいよ。
署長…。
案内して。
はい。
(倉田)どちらに?署長…。
あっ回っちゃった…。
〜これが梓川…。
あの三角の山は?
(直美)常念岳です。
ほぅ…。
あの…どういうことか…。
ん?署長が現場検証に立ち会うことはまずありませんが…。
あぁ…私はいつでも立ち会うんだよ。
どうも机の前でじっとしていられない性分でね。
はぁ…。
〜青田!見つかったのか?
(青田)いえまだ…。
(伴)遅いよお前!
(直美)すみません。
おい勝手に入んな!伴さん!!署長です。
えっ?新任の風間署長です。
俺は伴だ!しかしね署長が検証に立ち会うとはね。
ガイシャの身元は?
(伴)遠山!説明してやれ!!
(遠山)はい。
死体の近くに落ちていたハンドバッグの免許証から藤江真理子32歳と思われます。
死因は頭部外傷によるもの。
凶器はこの石です。
(伴)青田!手袋!!
(青田)はい!いや結構…。
牧村…どういう署長なんだ?自分にもさっぱりです。
何だかやりにくそうですね。
この石で頭部を一撃!脳挫傷脳出血。
〜この署長室には立ち寄らずいきなり現場だよ現場。
(橋爪)私もそういう署長には一度もお目にかかったことありませんが副署長…いったいどういう署長なんでありますか?わからん!まったくわからん!!ただの変わりもんだよ!あっ署長!おかえりなさいませ。
いやぁこれは皆さんお揃いで…。
あぁそのまま開けといてください。
いつでも誰でも入ってこれるように…。
それでは紹介させていただきます。
こちらが刑事課長の橋爪保です。
橋爪です!あぁ。
彼はこの松本の出身でありまして甲子園球児でありました。
残念ながら補欠ではありましたが…。
ちなみに彼の実家は長ネギと白菜を作っとります。
最近はレタスも…。
レタスか…。
あれはお通じにいいから…。
つまったときにもレタス…。
(笑い声)倉田さん…なるべく手短にお願いします。
失礼いたしました。
うちの家内にも「あんたの話は長い」ってよくたしなめられまして…。
では手短に…。
こちらは警備課長の小松圭介です。
(小松)小松です!彼は署内一の愛妻家でございまして8人の子宝に恵まれまして…。
(ノック)
(直美)失礼します!なんだ?牧村君。
あっ…失礼いたしました。
検死報告が出ましたもので。
また後ほど…。
いや…今聞こう。
ちょっと失礼…。
(倉田)署長まだあの紹介が…。
(倉田)署長…署長!助かったよ〜。
もう儀礼的なことは大の苦手でね…。
倉田副署長のスピーチ好きは有名なんです。
もうほっといたら1時間でも2時間でも…。
だろうね…。
あっ!忘れてた。
はっ?昼から何も食べてない。
あっ…自分もであります。
じゃあ遅い昼飯。
報告はそのあとで。
あぁ…了解です。
行こう!マイ手袋?
(青田)はい。
検証用の白手袋は自前でした。
(倉田)おいおい…制服は着ないケータイも持たない。
全国各署を渡り歩くさすらい署長だなんて言われてるようだが大丈夫なのか?まぁ…なんともやりにくそうですがまっそれもこれも篠塚署長が復職するまでの辛抱じゃないですか。
まぁ君の言うとおりかもしれんな。
まぁとにかくな…橋爪君ひとつよろしく頼むよ。
(橋爪)その点はご心配なく。
私は十分に心得ておりますから。
しかし…伴さんがね…。
伴さん…うまくやってくれよ。
君はいろいろ上とぶつかるからね。
もう少しこう…なんていうの?こう…ほら。
柔軟性があるとね。
俺は課長のようにやわらかくありませんから。
はっ!?
(倉田)まぁまぁまぁまぁ…。
まぁいろいろ不満もあるだろうけどもとにかく篠塚署長が戻るまで穏便に頼むよ。
署長が代わったからって俺たちのやることは変わりませんよ。
いちいち署長の顔色をうかがってたんじゃ捜査はできませんよ。
そこんところをだね…そこんところを…。
おい青田!はい!出前だ。
刑事課!そうおかめ。
おかめ!?いつものおかめうどん大盛り。
あっおばちゃんかまぼこプラス2枚。
サービスよろしくとのことです。
はい。
バン!バン!バン!!おいお茶。
なんで俺のところにお茶が来ないんだ…。
さっきからこうやってんだろ。
(直美)水そばです。
水そば?えぇ。
おそば本来の味。
(直美)「おそばの表情がいちばんわかるのがこの水そばだ!」といつも父が申しておりました。
お父さんはそば通なんだ?
(笑い声)8年前に亡くなりましたが…。
あっ…白馬の駐在所で巡査をしておりました。
駐在所?母の苦労を見てきましたので警察官と結婚するのだけはやめようと…。
でも気がついたら自分がその警察官に…。
あっ…すみません…よけいなことを…。
ううん…。
お父さんの跡を継いだわけだからきっと喜んでらっしゃるんじゃないかな。
まぁせめて制服姿を見てもらいたかったんですけども。
(店員)お待たせしました。
は〜い。
(直美)あっ!あのですねまずはあのちょっとこう…塩をつけてから召し上がってみてください。
こう?はい。
うん…確かにそばの表情がわかるような気がする。
(笑い声)イケる!イケますね〜これ!〜藤江真理子…。
〜
(坂崎)ありえないこととは思いますが…。
まさか…。
〜先輩…。
〜
(倉田)では第一回捜査会議を始める。
(橋爪)ガイシャの身元から…遠山君。
(遠山)はい。
(遠山)藤江真理子。
昭和51年2月8日生まれ。
諏訪市上川4−11−3。
上川台コーポ302。
6歳のときに両親が離婚。
その後は母親が引き取ってますが母親は4年前に病死してます。
(青田)はい!これまでの経歴ですが諏訪商業高校を卒業して諏訪市本町の諏訪ファイナンスに就職。
7年前に日本精機工業株式会社に転職しています。
(直美)はい。
解剖所見はお配りしたとおりですが死因は脳挫傷および脳出血による外傷性ショック死。
(直美)死亡推定時刻は一昨日の午後7時から9時の間。
(直美)発見現場は倭橋上流の河原です。
次鑑識さん。
〜
(南部)この花崗岩石より採取された血痕はB型。
ガイシャと同じ血液型です。
ガイシャの着衣に付着した血液も同じくB型です。
梓川の河原の石ですか?あのへん一帯のものです。
3kg…ちょっと?3.2kgです。
あの署長…なにか?うん…。
なんで犯行に使った石が死体の近くにあったか…だろ?脇を流れる梓川に放り投げれば証拠は消せたはずなんだがな…。
証拠を消せたはず?〜よ〜し!引き続きガイシャの事件当日の足取りと身辺を洗おう!以上!
(一同)はい!
(伴)牧村!
(直美)はい!
(伴)車まわせ!
(直美)了解!〜おい。
(光子)辞めました。
辞めた?藤江さん先月いっぱいで辞めました。
で辞めた理由は?一身上の都合だと…。
でも…。
何か他に理由があるんですね?話してくれませんか?藤江真理子さんは殺されたんですよ。
(光子)野木さんですけど…。
(直美)藤江真理子さんに好意をもっていたんですね?しつこく言い寄られて家にも押しかけて…。
断っても表にずっと立っていて気味が悪いって彼女に相談されたことがありました。
藤江さんは彼のことを避けていたんですね?だって彼女には恋人がいました。
どなたです?吉原雅也さん。
吉原雅也?うちの会社の社長の息子さんです。
社長の息子さん?あの…どうか私がしゃべったこと野木さんには内緒にしてくださいね。
ご安心ください。
どうもありがとうございました。
いや〜精密工作なんてね年季のいるお仕事!若いのに大変だね!
(野木)これでも10年近くやってますからね。
あの…なにか?松本中央署の伴です。
藤江真理子さんの事件知ってるよな?新聞で…。
なんかしつこくつきまとっていたようだけど!失礼な…!誰がそんなことを!?彼女ずいぶん迷惑だったらしいじゃねえかよ!そんなこと…あんたたちに関係ないでしょう。
関係ない!?彼女殺されたんだよ!野木さん!おとといの夜はどちらに?俺を…疑ってるんですか?感じ悪いなぁ。
答えてください!…会社から帰ってずっと家にいたけど。
外出は?だからずっと家にいたと…!もういいでしょう!藤江真理子を好きになって一方的に追い回していた。
いわゆるストーカーですかね?
(青田)ご苦労様です。
ガイシャの恋人吉原雅也の写真館です。
(吉原)彼女と知り合ったのは10年くらい前ですけど…。
親しくなってからは4〜5年です。
ご結婚は?そのおつもりだったんですか?まぁ自然な成り行きで来年くらいにはって…。
彼女もそのつもりだったと思います。
藤江さんはあなたのお父様の会社である日本精機工業に転職されたようですがこれは偶然のことだったんでしょうか?いえあれは僕の紹介で…。
彼女が転職したいって言うんでちょうど親父のところが事務員を探してましたから。
機械工の野木邦彦さんをご存じですか?はい。
彼女から聞いて…。
しつこくされてるとか…。
メールとか電話とかいろいろ。
(直美)藤江真理子さんから相談されてたんですね?
(吉原)正直初めの頃は僕もそこまで深刻には…。
ただ部屋を覗かれてるみたいだって聞いてなんとかしてやらなきゃって思ってたんですけど。
(伴)おとといの夜お前どこにいた?ブライダルフェアの仕事でしたけど。
会場は?松本のホテル・ブエナビスタです。
あの彼女はなんであんなことに?もし野木って男が彼女を…。
だとしたら僕がもっと早く対応してあげてれば…。
〜
(遠山)急げよ!ただいま戻りました。
ご苦労!ガイシャの恋人の吉原雅也にはアリバイがありました。
(青田)7時から9時はホテル・ブエナビスタのブライダルフェア会場で撮影をしていた。
関係者の証言がとれました。
野木邦彦は?
(矢追)はい。
帰宅してずっと自宅にいたと言っていますがそれを証明する第三者はいません。
野木邦彦のアリバイは成立しないか。
断定はできませんが藤江真理子への歪んだ愛情からだとしたら拒絶されたあげくに犯行に及ぶ。
ストーカー殺人の典型か…?
(青田)でも藤江真理子には吉原雅也というれっきとした恋人がいたんですよ。
相手の気持を考えてたら初めからストーカー行為なんかやらんだろう。
まぁそれはそうでしょうけど。
(橋爪)伴さん…!野木邦彦…この男の身辺を洗え!
(一同)はい!
(伴)どけ!
(橋爪)よ〜し徹底的に洗ってくれ!〜
(法子)どうして結婚しちゃいけないの?私がどんなに元久さんを好きか…。
お父さんには私の気持わかんないのよ!手術の日が決まったって?うん再来週の月曜日だ。
冠動脈のバイパスを作るそうだよ。
これ…深志神社のだ。
手術が成功しますようにってお賽銭もうんとはずんだぞ。
(篠塚)おいおい泣かせてくれるねぇ。
ところで法ちゃんのことはいいのか?…う〜ん。
こういうときに母親がいてくれたらと思うけどね。
俺で役に立てることがあったら何でも言ってくれよ。
ああ。
ありがとう。
(チェロ)
(元久)お疲れさま。
(法子)ありがとう。
元久さん…父の気持がまだ。
どうして結婚に反対なのかそれすら言ってくれなくて…。
この分じゃ君のお父さんは認めてくれないかもな。
きっと一人娘の君を手放したくないんじゃないのか?いいわよ!そのときは駆け落ちでも何でもしちゃうから!おい。
でも今は…手術を控えたお父さんを置いていけない。
元久さん…父は必ず説得するからもうちょっと待ってて。
〜うん…冠動脈のバイパス手術なんだ。
そう…経過次第では篠塚も復職できることになるかもしれない。
健康診断?俺?心配するなよ。
大丈夫そのうちちゃんとやるから。
ん?わかってるわかってる。
わかって…。
・あっキャッチが入った!折り返し電話入れる。
はい風間です。
おお篠塚…どうした?風間…お前に話しておきたいことがあるんだよ。
藤江真理子の事件とも関係する大事なことなんだよ。
松本城の月見櫓?おい無茶なことするなよ!おい篠塚…大事なことって何だ?どうしたんだ?篠塚!?おい篠…。
(電話が切れる音)中央署の風間です。
〜篠塚!?
(倉田)こっち!こっちこっち!〜なんてことだ…署長!
(南部)鈍器による頭部への一撃でほぼ即死と思われます。
(伴)血痕だな。
南部。
はい。
徹底的に科学分析にかけろ!はい。
お父さん…。
(法子)お父さん…。
(泣き声)
(伴)失礼します。
(ノック)篠塚署長とは警察学校の同期だったと…。
うん…伴さん君と篠塚とは?篠塚署長がこの中央署に着任してから何度かぶつかりました。
こっちは現場ひと筋。
署長のあんたに何がわかるんだってね。
けど…。
俺が殺しの捜査で行き詰まったとき声をかけてくれましてね。
伴さん。
(伴)はい。
ホトケさんがな俺に語りかけてくるんだよ。
「殺したやつを捕まえてくれ」ってな。
せめてホシを挙げて成仏させてやろう。
そう思うともう寝る間も惜しくなる。
署長になってもその思いはちっとも変わらん。
しかしそうなると家族のことはかまっちゃおれなくなる。
そのせいでかみさんにはずいぶんと苦労をかけた。
いつか埋め合わせをしなきゃと思ってたんだけど。
先に逝っちまったホトケが語りかけてくる…。
ホシを挙げて成仏させてやりたい…。
あいつらしい言葉だ。
同じ穴のむじなとでも言いますか。
俺もかみさんに逃げられたりなんだで。
同じにおいがするっつうか。
それはそうとあの篠塚署長の人差し指の血痕の異物ですが微量のロウと動物性の油脂が検出されました。
ロウと油?靴墨の成分かと。
靴墨…。
篠塚署長が語りかけてますよ。
「たとえ地の果てまでも追いつめてホシを挙げてくれ」ってね。
篠塚署長の無念を俺は必ずはらしますから。
そのつもりで。
〜演奏会が近いので休まずに交響楽団の一員として活動しています。
カメラマンの恋人と結婚したいのに父親が反対している。
楽団の友人にそう打ち明けています。
篠塚はなぜ反対していたのかな?我が子の幸せを願わない親はいません。
いったいどんな理由があったのか…。
そのことと今度の事件とは関係があるんでしょうか?〜事件のあった日夜9時過ぎに篠塚から私に電話があった。
相当思いつめている感じだったが…。
心当たりはありませんか?はい…。
何か心に秘めたものがあったはずだが…。
お父さんの面会者は?父は断って親戚にも来なくていいと。
面会を断っていた…そうですか。
じゃあ面会には誰も?でも坂崎さんが…。
坂崎さん…?
(ノック)坂崎:失礼します
(法子)父の諏訪南署時代の部下の刑事さんですけど…。
刑事?面会日は?そう楽団の練習があった日だから10日です。
10日…藤江真理子の事件の翌日ですね。
事件の翌日…牧村君。
はい。
お父さんは法子さんの結婚に反対だったんだね。
どうしても認めてくれなくて。
認めてくれなかった…なぜ?それが私にも…。
お父さんはその理由を言ってくれなかったんだね?はい。
風間さん…父はなんで…誰が父を!?うちの管内で殺人事件が発生したんだけど。
藤江真理子。
はい。
ご存じなんですか?7年前の金融商殺人事件の目撃者だったが。
目撃者!?犯行現場から立ち去る犯人を目撃した重要証人でした。
当時その事件捜査を担当したのが篠塚署長だったんですか?篠塚先輩が捜査指揮をとっていましたから。
こちらです。
事件発生は7年前の3月25日。
午後8時頃。
現場は諏訪市本町の雑居ビル内にある諏訪ファイナンス。
いわゆる町金です。
諏訪ファイナンス…。
当時藤江真理子が勤めていたところだね。
事務員をしていましたが被害者は…同諏訪ファイナンス社長の村越徹夫。
加害者は債務者の山来芳郎。
死因は頭部強打による脳挫傷と頭がい骨骨折。
凶器に使われたのは同室にあった観葉植物の鉢植えです。
(坂崎)頭部を叩きつけた衝撃で鉢が割れ培養土が落下。
わずかですが鉢のその土が山来芳郎のズボンの裾から採取されました。
小石のようだが。
培養土に含まれる粒状の石灰石です。
石灰石…有力な物証ですね。
で山来芳郎が犯行に至った経緯は?金銭トラブルからの犯行。
借金の返済方法で口論に及んでのことです。
藤江真理子が目撃したときの状況は?村越徹夫と山来芳郎この二人の口論が激しく険悪なんで気になって戻ったら山来芳郎と出くわした。
部屋の中には村越徹夫の死体があったと。
(伴)その目撃者藤江真理子が殺されたわけだが篠塚署長はそのことで何か?自分もそのことがちょっと気になって…。
でも篠塚先輩は何も心配するなと。
目撃証人?諏訪南署管内で発生した7年前の金融商殺し。
この犯人を藤江真理子が目撃していました。
その事件を担当したのが篠塚署長だったわけだな。
山来芳郎当時63歳が逮捕されました。
犯行動機は?加工工房を営む山来は資金繰りのため諏訪ファイナンスから借り入れた。
当初は500万円。
次に600万円。
その返済に行き詰まってのことです。
殺害方法は観葉植物の鉢による頭部への殴打…ですね。
そのときの鉢植えの培養土の石灰石が山来のズボンの裾から採取されています。
石灰石…。
(倉田)物的証拠状況証拠目撃証人犯行動機。
いずれも揃っていたわけだな。
被告山来芳郎には懲役8年6か月が下されてます。
(倉田)というと現在も服役中か。
(伴)それが去年の9月に死亡しました。
死亡?クモ膜下出血による病死です。
しかし篠塚署長と藤江真理子との間に接点があったとは…署長。
これはどういうことでありますか?
(直美)署長!7年前の金融商殺しの犯人山来芳郎の家族ですが妻の房子は夫の事件後に離婚をして高城姓に戻っています。
山来芳郎の一人息子山来元久現在高城元久さんです!高城元久…。
篠塚署長のお嬢さん法子さんの恋人です。
なに言ってんだ君は!間違いありません!篠塚署長が法子さんの結婚に反対していた理由それがここにあったんです。
そんな…信じられん。
(直美)しかしこんなことってあるんでしょうか…。
篠塚法子さんと高城元久さん二人の出会いがいったいどういうものだったのか…。
いずれにしても今度の2つの事件は密接につながっている。
その根っこにあるのは…。
7年前の諏訪南署の事件。
(直美)こんにちは!高城さんですね?
(房子)はい。
(直美)松本中央署の牧村です。
こちら署長です。
署長さん?風間です。
7年前の金融商殺しのことでちょっとお話を。
当時ご主人だった山来芳郎さんが逮捕されました。
そのときのことを聞かせていただけませんか?〜房子:あなた…あなた!
(芳郎)房子…。
奥さんですね?諏訪南署の篠塚です。
主人が何か?殺人の容疑で逮捕状が出ました。
殺人…
(パトカーのサイレン)あの日以来人生が一変してしまって。
山来芳郎さんと離婚されてこの安曇野に移り住まれたんですね。
針の筵のようでとてもあそこには…。
山来さんは加工工房を営まれていたそうですが7年前当時にはかなりの借金があったと。
(房子)工房の運転資金にと申し込んだ融資も銀行に断られて…。
それで町金から融資を受けた。
(房子)複利の金利が雪だるま式に膨れていってとうとう工房を手放すしかないところまで追い詰められて…。
何もかもあの人が全部一人で…。
家族には心配をかけまいとしたんでしょうけど泥沼にはまり込むまで何も言ってくれなくて…。
ご主人が逮捕されたときどう思われました?刑事さんから証拠を見せられて正直なんてことをしたのかと目の前が真っ暗になりました。
私は…私はあの人を…あの人を信じ…。
高城さん…。
あの人はやってなかったんです!やってなかった!?どういうことでしょう高城さん?根拠はあるんですか?目撃したと言った藤江真理子の証言ですけど…。
真理子:ご主人じゃないんです。
(真理子)ご主人はやってなかったんです。
な…なに言ってるの?やってなかったって…。
やってなかったってそれ…それどういうこと!?7年前のあのときはご主人を見たって証言したけどあれは嘘だったんです嘘?7年も経ってるが…。
(直美)藤江真理子さんはどういう事情からそのことを打ち明けたんでしょうか?いや…それは私には…。
でもそう聞かされて私は頭の中が真っ白になって。
そのことを諏訪南署には?いてもたってもいられなくて…。
でも諏訪南署では相手にされなくて。
「もうとっくに済んだことだから」って門前払いで。
それで…。
当時捜査を担当した篠塚刑事を訪ねたんですね。
松本中央署に移ったと聞いて。
目撃証言は嘘だった?そんなバカな…。
誰でもない証言をした本人がそう打ち明けてくれたんですよ!あの藤江真理子が…。
山来は人殺しなんかしてなかったんです。
篠塚さん!篠塚さん!証拠はすべて揃っていた。
捜査にミスがあったとはとうてい考えられない。
でも…でも現にあの藤江真理子が…篠塚さん!考えられんことだが万が一にも偽証だったとしたら…。
とにかく私がもう一度調べてみますから。
はっきりしたことがわかるまではこのことは誰にも…。
いいね…いいですね!自分が調べる…それはいつのことですか?
(房子)そう…2週間前でした。
篠塚署長が入院する前ですね。
その後篠塚から連絡はありましたか?電話がありました。
「入院してるけどできる限りのことをして調べてみるからもう少し待っていてくれ」と…。
なんでもっと早く…。
私がバカだったんです!警察がそんな過ちをするはずがない。
証拠もちゃんと揃っている。
罪を犯したなら償うしかない。
あのときはそう思って…。
でも…今となってはいったい誰を信じたらいいのか…何を信じたらいいのか…なにもかもが…信じられない。
(シャッター音)
(シャッター音)親父は人殺しじゃない。
おふくろからそう聞かされたときのショックといったら到底言葉になんか…。
親父はぬれぎぬを着せられたまま死んでしまってどんな思いだったか…どんなに無念だったか…。
それを思うと…。
せめておふくろと僕だけでも信じてやってたら…。
だけど今さらどうにもなりゃしないんです。
篠塚法子さんのことなんですがあなたのお父さんを逮捕した刑事の娘さんだと知ってつきあっていたんですか?法子と出会ったのは上高地でした。
(元久)写真を撮ってあげてその写真を送ってやりました。
法子から礼状が届いて僕は写真展の案内状を送って…。
(元久)僕の写真を気に入ってくれて…。
法子は音楽僕は写真。
共通の話題もあってごく自然につきあうようになって…。
つきあった当初は知らなかったんですね?はい。
つきあうようになってから父親が刑事だと聞いて…。
諏訪南署にもいたことがあるというからもしかしたらと…。
恋人の父親があなたのお父様を逮捕起訴していた。
しかもそれが誤認逮捕かもしれない。
そのことを法子さんには話したんですか?言うわけないじゃないですか!そりゃ…法子の父親は恨みました。
なんでもっとちゃんと調べてくれなかったのかそりゃ憎みました!でも「そのことと法子のことは別だ」と…。
別のこと?法子には関係ない。
関係ないんだ…自分にそう言い聞かせて法子とはそれまでと同じように接してきました。
正直親父のことなんかなければ普通に出会って普通に愛し合ってたら…どんなにか!失礼します。
〜
(坂崎)まだ何か?とっくに終わったことじゃありませんか。
(直美)坂崎さん病室で面会したときのことを話していただけませんか?7年前の藤江真理子の偽証疑惑が浮上したからなんですか?だからあの事件はとっくに終わったと…。
終わっちゃいませんよ。
篠塚と藤江真理子…。
二人の事件の根っこに7年前の事件があるなら終わっちゃいません。
篠塚と面会したのは藤江真理子の偽証疑惑が浮上したからでしょ?その時篠塚は何と…?「お前には関係ない。
どんなことがあってもすべては自分が処理する」篠塚先輩はそう言ってくれました。
いいですか…。
あの事件はもう決着したんです。
我々の捜査に落ち度はありません。
それを…ほじくって!同じ警察官がやることですか?掟破りじゃないですか!失礼します。
〜《7年前の金融商殺し…その7年後に浮上した目撃証言の偽証疑惑。
そして目撃証人藤江真理子の殺害》《あの日篠塚が私をここに呼び出して打ち明けようとしたこと…。
病状を押してまであいつが私に伝えたかったものは何か…。
7年前事件の捜査で犯してしまったかもしれない重大なこと》《刑事にとっていちばん重いもの…》誤認逮捕!?まさか…。
藤江真理子の目撃証言が偽証だったとしたら…。
7年前のこの事件は180度ひっくり返る。
ひっくり返る!?山来芳郎は無実。
当時の捜査の指揮をとっていた篠塚の誤認逮捕重大な捜査ミス。
捜査ミス…。
そんな…ありえない。
あってはならんことです。
(直美)失礼します。
(ノック)署長!高城元久と篠塚署長の目撃談が取れました。
(直美)まつもと心臓病院の非常階段で口論する二人を病院の担当看護師が見ています。
7年前の事件がもし…もしも篠塚署長の誤認逮捕だったら山来芳郎が無実の罪を着せられていたらその家族は…息子元久には十分な動機があります。
妻の房子にも動機はありますが…。
しかしまさか篠塚署長がそんな重大なミスを犯すなんて信じられんことです。
俺が誤認逮捕ミスを犯しそうになったとき予断予見見込み捜査の怖さってもんを篠塚さんに叩き込まれました。
誰よりも冤罪の重さを訴えていたあの篠塚署長が冤罪のミスを犯したというんですか!?そんなことあるわけないだろう!!この罰当たりが!〜
(法子)殺人犯の息子って…何をおっしゃってるんですか!?風間さん!!法子さん7年前のことなんです。
諏訪南署当時のお父様が逮捕した殺人犯の息子それが…高城元久さんでした。
(直子)お父様が理由を言わず結婚に反対していたのはそのためだったんです。
だから何を言っているのか…。
しかもその7年前の逮捕には誤認逮捕だった可能性があります。
誤認逮捕…。
父が…父がですか?そのことは何も?お父さまからは何も聞いていなかったんですね?〜南部さん!
(南部)はい!〜
(法子)ひどい…。
(法子)なんで言ってくれなかったの?騙したのね…。
私を騙したのね…。
私をもてあそんでそれで復讐しようとしていたの?元久さん…。
なんで…なんで何も言ってくれないの?なんで黙ってるの?元久さん本当のことだから何も言えないの?ねぇ元久さん!ねぇ答えてよ!ねぇ!わかりました。
伴さんスパナに付着した血痕が篠塚署長の血液型と一致しました。
〜
(伴)すみません。
高城元久だね?はい。
ちょっと署まで来てもらおうか。
なんでですか?なんでですか!元久さんが何を?すみません…。
なんなんですか!〜
(サイレン)〜これで篠塚署長をやったろ?お前の車のトランクの中にあったんだよ。
知らない…僕は何も知らない。
(伴)お前入院した篠塚署長と病院で会ったろ?
(元久)親父のこと確かめずにはいられなくて。
親父は山来芳郎は殺人なんかしてなかったんですよ!無実なのに逮捕されたんです!それに…。
それに?
(元久)法子さんとのことだって…。
(伴)結婚に反対されたのを恨んでいた。
だから篠塚署長をやったのか。
やったんだろ?この野郎!やってないです。
やったんだろ?これでほら!やってないですよ!風間さん…。
元久さんが…。
彼が…父を…。
そうなんですか?風間さん…。
風間さん!法子さん…。
君にとって元久君がどんな存在だったのか正直に話してくれないか。
(法子)彼と出会ってどんなに世界が変わったか。
結婚するのはこの人だと…。
でも今は正直わからなくて…。
もし…もし彼が父を…。
そう思うと彼が別人のように思えて…。
好きになって愛したぶんだけ裏切られたようで…。
彼のこと信じたいけど私どうしたら…。
信じるんだ。
元久君を信じるんだ。
愛する人を信じるんだ。
(伴)風間さん!
(倉田)伴君!見込みはいかんよ見込みは!伴君!篠塚署長殺害に使われたものです。
血液型はA型。
篠塚さん自身のものです。
篠塚自身の?だからしっかり裏をとってから…。
高城元久は否認してますがアリバイは成立しません。
しかし凶器という確かな物証と動機があります!やつの起訴状請求を。
取り調べは任意で。
なんで?
(倉田)伴君!問題はなぜ藤江真理子がこの期に及んで偽証の暴露をしようとしたか。
ここに糸口があるはずだ。
ですけど…。
高城元久の取り調べは任意でやってくれ。
なんだよ…。
伴君!慎重にね。
クソ署長が!倉田さん。
どうも申し訳ありません。
高城房子さんの警護をお願いします。
え?わかりました!警備課長を頼む。
小松君か?倉田だ。
ただちに高城房子さんの身辺警護を要請する。
(倉田)そう高城房子だ。
身柄の安全確保24時間体制だ。
〜
(房子)何もお話することはありません。
お帰りください。
高城さん!帰ってください!息子さんの疑いを晴らすためにも大事なことなんです。
疑いを勝手にかけたのは警察でしょ?それを打ち消すのも警察なんです。
(伴)藤江真理子はなんであなたに打ち明けたんでしょうか。
そう言われても…。
(伴)何か言ってませんでしたか?よく思い出してください。
あんなこと聞かされてとても冷静には…。
真理子:7年前のあのときはご主人を見たって証言したけどあれは嘘だったんです。
なんてバカなことしたのか…。
結局騙されて…騙された?どういうことか誰に騙されたのか…。
それしか…。
元久は…あの子はそんな子じゃ…。
今度は息子まで捕まえるつもりですか?ひどい…ひどすぎます。
あんまりです…。
(野木)まだ俺のこと疑ってるんですか?落ち着いてください。
野木さん!殺された藤江真理子さんが「騙された」ともらしていたんです。
騙された?思い当たることありませんか?野木さん?あいつだよ。
あいつ?社長の息子だよ。
(直美)吉原雅也さん。
藤江真理子さんの恋人ですね。
なにが恋人だよ冗談じゃない!どういうことだ?あいつは…あいつは裏切ってたんだよ!〜
(遠山)戻りました。
ご苦労さん。
裏がとれました。
(伴)吉原雅也の相手の女は和泉みゆき。
県会議員の娘です。
吉原雅也は藤江真理子を裏切ってたのか。
その裏切り行為が藤江真理子に目撃証言の偽証告白を決意させたものだった…そう考えられるな。
松本中央署の風間です。
吉原さん早速ですが7年前のこの事件についてお話を。
あなたの恋人の藤江真理子さんが重要な目撃証言をしていたことはご存じですね?たしか犯人を見たとか言ってましたけど。
でもあのときの証言は偽証だった。
えっ!?あっそこまではご存じない?いや何をおっしゃってんだか…。
じゃあこの女性は?
(直美)和泉みゆきさんです。
あなたはこの人とも交際してましたね?何か誤解してるみたいですけど。
誤解?実は別れようって言ってきたのは真理子からのほうで。
彼女があんなことになってしまってそういったことは彼女のためにも言わないでおこうと。
僕は誓って真理子を裏切るようなことはしてませんから誤解のないように。
じゃあ失礼します。
〜
(直美)藤江真理子殺害事件当夜吉原雅也はここでブライダルフェアの撮影をしていました。
彼には確かなアリバイが…署長。
〜右手人さし指の血痕ロウと油靴墨…靴…。
死亡推定時刻は19時から21時。
その時刻には吉原雅也の確かなアリバイがある。
だが藤江真理子を殴打した凶器は…。
(直美)この梓川の河原の石です。
犯人はここに証拠を残す必要があった。
ということは実際の犯行現場は別!?だとしたら…吉原雅也のアリバイは崩れる。
篠塚:風間お前に話しておきたいことがあるんだよ。
藤江真理子の事件とも関係する大事なことなんだよ大事なこと…7年前の事件と今度の藤江真理子殺しその根っこにあった誤認逮捕。
じゃあ篠塚署長は自分が犯していた捜査ミスを…。
俺に伝えようとした。
ここでスパナの一撃をくらった。
篠塚署長はほぼ即死でした。
何かをこすった痕…。
こすった?意識が薄れていくなかで自分の血を犯人に。
ロウと油靴墨の成分。
犯人の靴。
〜法子さんと恋人の高城元久さんこのままでは二人は…。
父親の死恋人の疑惑彼女の心は氷のように凍えてしまってるんだろうな。
氷のよう…。
その氷をなんとしても溶かしてやらなきゃ。
吉原雅也なんですが7年前の事件当時諏訪ファイナンスから債務の事実がつかめました。
どうやら慣れない株の投資で失敗したらしい。
その穴埋めで諏訪ファイナンスから借りていたんですね。
で7年前の事件の被害者諏訪ファイナンス社長村越徹夫との接点も明らかになりました。
失礼。
伴さん。
〜金融商殺しの容疑で逮捕された高城元久の父親山来芳郎さんだ。
だが彼は無実だった。
無実?物証を工作したね?鉢植えの石灰石の粒をズボンの裾に落とした。
たったこれだけのことだがこれは決定的な物証となる。
なんのことだか…。
そのうえ藤江真理子を目撃証人に仕立てていた。
何言ってんですか?いい加減なこと言うもんじゃないです!逮捕起訴有罪判決君の悪意は実を結んだ。
すべて上手くいくはずだったが7年後思いもよらぬところからほころびが見えた。
目撃証人の藤江真理子の暴露彼女が真実をぶちまけると言い出したからだ。
黙って聞いてりゃ…第一僕にはアリバイがあります。
(直美)あなたの靴ですね?〜
(南部)ルミノール反応が出ました。
篠塚が残したものです。
〜篠塚は自分の傷口の血をこの指につけて必死で相手の靴につけた。
その相手が吉原君…きみだ。
7年も経ってあの女は真理子が本当のこと暴露するって言い出して野木が真理子に告げ口したおかげで。
〜お相手は県会議員のお嬢さん。
あいつは真理子さんと結婚なんかするつもりはない。
騙されていたんだよ!〜あのことを嘘の証言のことを暴露するって…。
彼女が恨むのも当然じゃありませんか。
冗談じゃない!あいつに暴露されたらこっちは破滅だ!じゃあいきますよ!はいちょっと新郎さん硬いですかね。
もうちょっと笑って!はいそうです…
(雅也)歓談の時間に抜け出して…。
裏手の空き地で真理子と…。
警察でも裁判所でもどこにでも出てすべてぶちまけてやるわ!雅也のことはもう篠塚さんに話したわ。
自分だけが幸せになれると思っているの?そんなことが許されると思っているの?あなたは人殺しなのよ!地獄に突き落としてやる…。
〜そこの2人記念に一枚いきましょうか。
はい笑顔でいきましょうはいいきますよ!はいOK!ブライダルフェアの会場に戻った君はふだんどおりのカメラマンになったそして仕事が終わると…殺害して車に隠しておいた藤江真理子の死体を運んで梓川へ向かった…。
〜ここに藤江真理子の死体を遺棄した。
犯行に使った石はあらかじめこの梓川の河原から用意していたんだね。
藤江真理子が殺されたら当然あなたに疑惑がむけられる。
だからといって篠塚署長まで…。
真理子一人を殺しただけじゃおさまりがつかなくなって自分の身を守るためにはやるしかないって…。
篠塚:風間お前に話しておきたいことがあるんだよ。
藤江真理子の事件とも関係する大事なことなんだよ〜
(篠塚)吉原!お前が…7年前の殺しはお前が…。
あなたの誤認逮捕のおかげですよ。
…貴様。
刑事としてこれ以上の恥さらしはありませんよね。
僕も名乗り出るような真似はしませんからあなたも名誉のためにほじくり返すのはやめたほうがいい。
無実の罪をきせられた山来芳郎とその家族のことを思えば私は自分のすべてを失っても当然だ!吉原お前を逮捕する!〜その犯行に使ったスパナをあなたは元久さんの車に…。
〜君は7年前の真実を覆い隠すために藤江真理子篠塚龍三…。
二人の尊い命を奪った。
今君にできることはただ一つ。
その7年前の真実を正直に洗いざらい話すことだ。
いいね吉原君!逮捕状がとれました!てめえってやろうは…!藤江真理子および篠塚龍三殺害容疑で…。
…逮捕する。
(伴)連れていけ!はい。
署長今回の事件の解決は同時に7年前の金融商殺しの真犯人をも暴きましたが残念ながらその事件は結審しています。
それに逮捕された山来芳郎さんはすでに死亡しています。
まだ死後再審がのこされている。
死後再審…。
たとえ死者となっても名誉は回復されなければならない。
残された家族のためにもなんとしても…。
風間署長…。
ありがとうございました。
〜おとうさんは自らの捜査ミスを認めて真実を明かす決意を固めていた。
警察官にとってこれほど辛く勇気のいることはない。
でもおとうさんはその覚悟を決めて私に伝えようとしていたんだね。
おとうさんがこの決意を固めたのは…。
法ちゃん…君のことがあったからじゃないか。
私のこと?おとうさんは警察官として一人の人間として誠実に過ちを正そうとした。
君の幸せのために…。
娘の父親になろうとしたんだ。
私の幸せのために…。
〜元久さん!法子…法子!〜
私は篠塚に事件の解決を報告した。
娘の法子さんの幸せを願い結婚を祝福する篠塚の声が聞こえてくるようだった…
〜2015/04/24(金) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「さすらい署長風間昭平8 あずさ・松本城殺人事件」[字][解]
7年前の誤認逮捕が招いた死…。娘の結婚に反対した理由とは!?
詳細情報
番組内容
全国各地を転々と渡り歩く“さすらい署長”こと風間昭平は、松本中央警察署へ赴任した。着任初日、梓川で女性の変死体発見を知り、現場検証へ向う。被害者は、藤江真理子と判明、石で頭部を一撃されていた。捜査が進むうち、真理子は同僚の機械工・野木のストーカー被害に遭っていたことが明らかになる。刑事らは、事件当日のアリバイが成立しない野木に殺人容疑を向けるが…。
出演者
風間昭平…北大路欣也
伴滝雄…寺島進
篠塚法子…山田まりや
篠塚龍三…小野寺昭
牧村直美…七瀬なつみ
高城房子…野川由美子
吉原雅也…坂上忍
倉田副署長…ベンガル
高城元久…蟹江一平 ほか
原作脚本
【原作】中津文彦
【脚本】峯尾基三
監督・演出
【監督】中村金太
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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2/0モード(ステレオ)
解説放送あり
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