(女性)うっ…。
(パトカーのサイレン)
(徳永刑事)ご苦労さん。
「はんまあさま」か…。
(吉田刑事)なんすか「はんまあさま」って?稲取の漁師に伝わる言い伝えだ。
水死体を見つけると豊漁になるってね。
仏様をかたどった人形を「はんまあさま」と呼んで「いかとさんまにならっしぇよ」と唱えながら泣きまねをして海に流すんだ。
水死体の人形をですか?遺留品はなく身元のわかるような物はありません。
損傷の激しさからみておそらく…。
崖から飛び降りたんだろう。
自殺でしょうか?おっ!殺しだ。
はい。
(橘香子)ありがとうございました。
(満代)ありがとうございました。
(高木守男)ありがとうございました。
今日からこの3人に「あさひな」で働いてもらいます。
星野さつきさんには私のサポートと経理の方をみていただきます。
島慎之介さんには板場を…。
そして桜井恵美さんには仲居として働いていただきます。
皆さん経験者ですのですぐに慣れていただけると思います。
女将さん人手が足りないから私らは大歓迎ですけどね。
いっぺんに3人の新入りってどういう事なんです?お客の数もめっきり少なくなってあさひなが大ピンチの時だっていうのに。
(星野さつき)皆さんよろしくお願いします。
(2人)よろしくお願いします。
一回しかやんないからちゃんと覚えてよ!
(桜井恵美)はい。
お茶セットはここ。
はい。
大きな灰皿ここ。
はい。
小さな灰皿はこの辺ね。
はい。
ちょっとあんたさっきから何やってんのさ!浴衣タオルはそこにおく!はいわかりました。
新入り!そんなに力任せにやってるとそのうちぶっ倒れるぞ。
(山岸章)はい過去5年分の帳簿ね。
あの私10年分て頼んだんですけど。
あああとで持ってきますから…。
そんなにいっぺんに出来るはずないでしょ。
10年分ここに積んでください。
だからさ!持って来いって言ってるの。
はい。
いらっしゃいませ。
(一同)いらっしゃいませ。
(中嶋典子)お待たせいたしました。
お部屋へご案内させていただきます。
どうぞ。
手の空いた時には灰皿を片付けて。
申し訳ないけどお願いね。
(ため息)ったくこんなのフロントの仕事じゃないだろ…。
いらっしゃいませ。
どうも。
今朝早く黒根浜に若い女性の身元不明死体があがりましてね。
近くの旅館の宿泊者に該当者がいないか調べてるんですよ。
昨夜お泊まりのお客様は皆さんいらっしゃいますが。
人が一人死んでんだぞ!殺人事件なんだ!昨夜に関わらずここ数日どんな宿泊客があったのか協力してくださいよ!刑事さん!あのー私ちょっとお話があるんですけど…。
あんた見ない顔だな?あっじゃこちらの方で!どうぞどうぞ!どういうつもりか知りませんけどねうちは客商売なんですよ!こんないかつい顔でロビーをうろうろされたんじゃ営業妨害もいいところだわ!なんだと!私の言ってる事間違ってますか。
何!コノヤロー…。
まあまあ…。
いやあんたの言うとおりだ。
でも私たちも仕事なんだ。
許してくれんかね。
徳永さん!もちろん捜査には出来る限り協力します。
でもせっかくあさひなに来てくださって寛いでいらっしゃるお客様に死体だの殺人だのそんな物騒なお話は聞かせたくないんです。
いけませんか?女将さん何者なんですあの女。
あなたにだけは話しておきます。
彼女たちは旅館コンサルタント温泉宿の仕掛け人です。
温泉宿の仕掛け人!?
(城之内愛子)ウォルト・ディズニーの言葉です。
「トライアラーから利益を取ってはならない」トライアラーとは試してみる人。
つまりこの場合は初めて旅館に来てくださるお客様の事です。
こういうお客様からは利益を取るのではなくむしろ投資しなければなりません。
えーディズニーランドの繁栄は熱心なリピーターを作り出した事にあります。
あなたの旅館を気に入ってとても満足して「あーまた来たいな」と思ってくださったお客様は必ずリピーターとなってさらには新しいお客をもたらすんです。
この事が重要なんです!社長ご苦労さまです。
帳簿から見えてきたあさひなの状況はかなり厳しいですね。
特に本年度上半期以降常連客が離れ団体客にもキャンセルが相次いでいます。
それにしても落ち込み方ひどすぎるわね…。
ええここ数年多額の使途不明金が流出してるんです。
使途不明金?やっぱりか…。
ちょっとそれ詳しく洗い出してちょうだい。
はい。
あさひなの先代社長の口癖は旅館はお客様から儲けさせてもらうのではなくお客様にゆっくり休んでいただくところだ。
そのためには心のこもったサービスが必要だって…。
今の女将の香子さんもお父様の遺志を引き継いで一生懸命頑張ってる。
彼女には旅館の女将に必要な人を惹きつける魅力があるわ。
だから私たちが全力でサポートすれば必ずお客は戻ってくる。
心してかかって。
はい。
あっそれから社長が心配してらした事ですが長年に渡る累積赤字売り上げの低迷そんな弱みにつけ込み大手ホテルチェーンのグローバル開発があさひなを買収し新たなリゾートホテル建設を計画しています。
やっぱりねあさひなの立地条件最高だもんね。
グローバル開発が目をつけるの当然よ。
この買収を担当した丸山という男草津温泉の旅館の買収にも成功していてかなりのやり手だともっぱらの噂です。
草津温泉の買収?あああれか…。
この丸山って男の買収手口詳しく調べる必要あるわね。
よし…。
(携帯電話)「岩田君?」
(岩田幸平)あっ社長見てくださいこの雪景色!天候によって変化する不思議な白濁色。
滑らかな湯触り。
「日本最高のカルシウム泉このお湯さえアピール出来れば必ずお客は戻って来ますよ!」お湯に入ってるとあなたほんと活き活きしてるわね!旅館コンサルタントにリクルートしたかいがあったってもんだわ。
もう天職っていうんですかねーほんとに。
警察時代には考えられませんからねありえないですから…ほんと最高…。
「岩田君…岩田!」はい!緊急調査よ。
今すぐ草津温泉に飛んでちょうだい。
「草津!えー…」「えー」じゃない!調査内容はまとめてメールしておくから。
よろしく。
いや社長!社長!まだ調べたい温泉が…。
切れちゃったよ…。
はぁ〜あ…草津か…ふふふっ…。
(一同)いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ山口様お待ちいたしておりました。
(山口由香)以前こちらにうかがった時からどれだけお料理が進歩したのか楽しみにしてきたのよ。
どうぞこちらへ。
恵美さん…。
どうぞこちらへ。
特別な客だからね…。
特別?そう。
(亜紀)山口由香あの女料理記者なの。
1年前に取材に来てうちの料理を散々けなしてデタラメな記事書いてさ。
ムカつく!ムカつく!ねぇ何かあったの?ビックリした…なんですかいきなりもう…。
亜紀さん仕事行きましょう。
別になんでもありません。
失礼します。
何かあったの?実は今来たお客様なんですけど…。
(電話)どうぞごゆっくりお寛ぎくださいませ。
事情は聞きました。
またひどい記事を書かれたら…。
どうしたらいいでしょう?あさひなは料理自慢の宿ですよね。
お客様はお客様。
料理記者だからといって特別扱いしない。
大丈夫です。
(小沢安次)圭介お湯沸かしてあるか?
(細田圭介)はい。
こちらが当館自慢の金目鯛尽くしでございます。
たいして変わり映えしないわね。
あっ!ねぇ女将さんは?どうしたの?何かあったの?お客さんが稲取じゃないって詐欺だって!稲取じゃない?どういう事?だから稲取じゃないってクレームを!ちょっと落ち着いてよ満代さん。
女将さん山口由香が説明しろって。
ここになんて書いてあるのかしら。
稲取の金目鯛と書かれている。
でもここに並んでいるのは稲取産のものじゃない。
そんなはずは…。
何かの間違いでは?自分の旅館で何を出してるのかも知らない女将なんて聞いた事がない!
(高笑い)あきれた…。
第一ここに並んでる料理あなた自分が食べてみたいと思うものなの?お客様に喜んでいただけるように板長と相談して…。
なんの工夫もないめいめい鍋。
日本全国どこででも食べられるような懐石もどき。
確かに板長の腕はいいのかもしれない。
でもこんなありきたりな献立を喜ぶほど今のお客は馬鹿じゃないわよ!言いがかりをつけてるだけですよ気にしないでください女将さん。
そうかしら?ただの言いがかりってわけでもなさそうだけど。
ちょっとあんた!あの女のかた持とうっていうの!女将さん!板場が大変なんです早く来てください!事と次第によっちゃただじゃおかねぇぞコノヤロ−。
(島慎之介)俺は親方と話してるんだ。
ちょっと!慎さんどうしたの?こいつ洗い方のくせに親方にいちゃもんつけやがって。
どういう事小沢さん。
女将さん板場に口出しは無用です。
ケイタ…。
こいつの言ってる事は間違っちゃいねぇよ。
親方!この金目鯛稲取産のものじゃない。
遠洋ものなんですよ。
そんなに違うものなの?見た目にはよほどの目利きでない限り遠洋ものと稲取産の区別はつかないでしょうね。
でも味は明らかに違います。
稲取産は日帰り漁の近海ものなので鮮度が抜群にいい。
それに稲取産にはたっぷりとゼラチンが含まれてる。
稲取産は数が少ない。
当然値も張る。
そんな!パンフレットで謳っている以上稲取産を出さなければお客様を騙している事になりませんか?あさひなが苦しい時なんだ。
少しでもコストを減らさなければ。
そんな事もわからんのかまったく…。
こちらの都合はお客様には関係ないんです。
そんな心がけだからお客様が離れていってしまうんです。
さっきから黙って聞いてれば言いたい放題。
だいたいあんたたち何者なの?そこまで言うんだったらあんたたちがギンデイ仕入れてきたらいいじゃない。
典子さん!料理に穴を開けたらあんたたちの責任よ。
ギンデイ?金目鯛の事!どうなの!やるの?やらないの?いいわ。
やってやる。
どうしてあんな事引き受けちゃったんですか!その場の勢いよ。
慎さん食材の専門家でしょ?なんとかなると思って!ほんとに喧嘩っ早いっていうか短気っていうかこう…後先考えないっていうか…。
先に親方に異を唱えたのはあなたの方でしょ。
稲取産の金目鯛仕入れるのどんなに大変な事かさつきさんわかってますか?だからこうやって朝っぱらから港に向かってんじゃないのよ!あさひなは仲買権持ってないんです。
直接漁協から仕入れる事は出来ないんです。
じゃどうすればいいの?まあ地元に人脈のない我々にとっては稲取産の金目鯛を仕入れる事は不可能です。
先に言ってよね!ああ…。
お願いします!お願いしますそこをなんとか…。
お願いです…お願いします!お願いします。
ほんとに困るんです…。
そこをなんとか…。
(2人)お願いします!じゃ1匹でもいいんで…。
だから無理だよあんたらが言ってるような数揃えるのは!そこをなんとか…お願いします!もうしつこいあんたら!あの…あっ…。
どうしようかな…。
こうなったら漁協にこまめに足運んで認知してもらうところから始めるしかないですね。
そんな悠長な事言ってる場合?そうね…それがいいわね。
さ行くわよ。
(村川大助)ギンデイは海の宝石だよ。
宝石ですか。
人間と同じで顔が違うんだよ。
稲取のギンデイは遠洋ものと違って顔が引き締まっている。
はぁ〜違うのかな〜。
違うさ!よく見てみろ。
う〜ん…。
さつきさんの顔金目鯛みたいになっちゃってる。
もう!はははっあらあらあらまあこんなところでギンデイとにらめっこですか?先日はどうも。
そちらの方もお元気そうで。
あんたら町中のギンデイを探して歩いてるらしいな。
それが何か?ムリムリよそ者に稲取のギンデイが調達出来っこねぇや。
何を偉そうに…鼻の穴膨らませちゃってさ!なんだとおい!じゃ!何かあったのかしら?さあ。
ちょっと!これどういうつもり?あっ…。
あさひなにはあさひなのやり方がある。
あんた私らの仕事にケチつけようっていうの!いやそんなつもりでは…。
松ぼっくりだの小石だのその辺に落ちてるような妙なもんばかり拾ってきて…。
ほんと…。
どうぞこちらです!いらっしゃいませ。
あっ松ぼっくり!あら〜かわいいわね!こういう細やかな気遣いがなんだかうれしいのよねー。
(満代)ごゆっくりどうぞ!ほらっ早く片付けなさいよ!えっでも…。
(典子)いいかげんにしなさいよ!恵美はちゃんと仕事もこなしてるんだし私はいいと思うよこういうの。
典子さんがそういうなら…ね。
あなたたち持ち場に戻って。
お客様のお迎えの時間よ。
すいませんお騒がせして…。
仲居同士の権力闘争という訳ね。
金目鯛の一件といい面白い記事が書けそう。
旅館コンサルタントだか温泉仕掛け人だか知らないがまったく!余計な事ばかりしでかしてくれるもんだ!さつきさんたちはなんとかあさひなをと一生懸命…。
私には先代社長の時代から一生懸命務めさせてもらってるという自負がある。
彼らに何が出来るっていうんですか女将さん。
私がお尽くししてきた事がそんなに気に入りませんか!いいえそんな事は…。
でも私が…。
これが最後のチャンスなんです。
今回ばかりは腹をくくってるんです。
あさひなのためなら私どんな事だってします。
(携帯電話)もしもし?あんた!これから?わかったわ。
行くわよ。
(ため息)ギリギリの経費節減リストラの敢行…。
サービスがコストに負けてサービスの質の低下…。
あさひなは常連客を失ってる。
これじゃ赤字が増える一方だけどだからといってな…。
(ノック)はい。
慎さん…。
ありがとう。
これ以上のコストカットは命取りになる。
食材の確保といい問題山積みですね。
(パトカーのサイレン)徳永さん!ん?刑事さん!昨夜11時頃あなた何してました?自分の部屋にいました。
誰かそれ証明出来る人いますか?いえとくには。
こちらに宿泊していた山口由香さんが今朝死体で発見されました。
あなたを重要参考人として取り調べたい。
待ってください!女将さんがそんな事するはずありません。
女将さんには山口由香さんを殺す動機がある。
以前彼女が雑誌にあさひなの中傷誹謗記事を書かれた事への恨み。
再び悪く書かれそうな状況でそれを阻止したかった。
犯行時刻のアリバイもはっきりしていない。
全部状況証拠だけじゃないですか!これあなたのものですね?どうなんです?違いますか?私のです。
あなたの髪留めが犯行現場に落ちていた。
(徳永)署までご同行願えますか?
(電話)はいあさひなでございます。
はい左様でございますか…。
はいまたのお越しをお待ち申し上げております。
失礼いたします。
またキャンセルか…。
今日の宿泊はゼロですね。
(満代)大丈夫な訳ないじゃない!
(仲居たちの話し声)いらっしゃいませ。
ん?どうしたんですか?丸山?
(丸山俊夫)グローバル開発の丸山です。
星野さつきといいます。
旅館コンサルタントそう伺ってますけど。
ええあなた方ディベロッパーとは水と油の関係ですね。
私どもの仕事はスクラップアンドビルド。
古い旅館の形にしがみつく事なく新しい価値あるホテルに変貌させる。
確かにおっしゃるとおりあなた方とは相容れない仕事ですね。
女将さんがいなければ買収交渉も出来ないでしょう。
どうぞ今日はお帰りくださいませ。
不況で中小の旅館経営は非常に苦しい時代です。
我々ホテルグループがリゾートホテルを完成した暁には従業員の皆さまにも再雇用の道を約束させていただいてます。
果たしてどちらがいかに多くの人びとの幸せな将来を約束するものか。
それを星野さんにも知っておいていただきたいと思いまして。
この旅館は絶対に潰さない。
あなたの努力は無駄に終わるわ。
どうでしょう?私はこのあさひなの皆さんが賢い選択をなさるものだとそう信じてますよ。
う〜んいよいよ敵のお出ましって訳か…。
あさひなの大ピンチの時を見計らって現れるなんてさすがです。
うーんそっか…。
あっこれもう一つ握って!ん?握って?え!あっああいやいや…。
あのねあさひな再建の成否はあなた方が握ってるって事よ。
頑張って!はい。
はいじゃあね。
もしもし岩田君?あっあのね殺された山口由香の身辺最近の交友関係とかちょっと詳しく調べて欲しいの。
よろしくね。
お待たせいたしました。
来た来た!見ただけじゃ全然わからない…。
うまい。
旅館が泣いている…。
旅館が泣いてる?
(ため息)いつもの元気はどうしたの?なんだか調子狂っちゃうじゃない!ふふっそうかな…。
うん。
お客様のいなくなった旅館ほど寂しいものはない…。
実はね私の実家も旅館を営んでて…お客様で賑わう中で育ったの。
いらっしゃいませようこそ。
いらっしゃいませ失礼します。
ようこそお越しくださいました。
失礼します。
私が中学の時父が病気で倒れて間もなくして旅館は人手に渡ってしまった。
誰もいなくなった旅館を見て思ったの。
旅館が泣いてるって…。
しばらくして父が亡くなり母の働きだけでは食べていくのがいっぱいでとっても辛かった。
でもねおかげで私も母も逞しくて強い女になったけどね。
この近くにも同じような事情で潰れた旅館があるの。
ここに「坂巻」という老舗旅館があったの。
20年前に潰れてしまって関係者の消息もわからずじまい。
ここが潰れたのは旅館同士の客の奪い合い。
足の引っぱりあい。
よくある事ね。
ま私たち従業員は旅館が潰れれば次の旅館へ渡り歩くだけの事。
あーこんなところに…。
この旅館がお客様で賑わってた頃もこの花が庭一面に美しく咲いていて…。
この旅館を愛する人たちがたくさん働いていて…。
目に浮かんでくる…。
あさひなをこんな風にしてはいけない。
絶対になんとかしてみせる。
いよいよ作戦決行ね!準備はいい?オッケーです。
バッチリです。
よーし!あっちょっと待った!何?いかとさんまにならっしぇよー。
何これ?稲取に伝わる昔からのおまじないです。
豊漁と商売繁盛。
さっすが慎さん!
(笑い)よし!はい!
(一同)いかとさんまにならっしぇよ。
いよいよあさひなも倒産?この有り様じゃあな。
えー皆さん皆さんに集まってもらったのは実はこれから大事なご報告があるんです。
やっぱり!やっぱりって?だから今日であさひなはおしまいって事!
(仲居たち)えー!?お待たせいたしました。
皆さん私たちは旅館コンサルタントなんです。
旅館コンサルタント!?まあわかりやすく言えば温泉宿の仕掛け人です。
ああーやっぱりダメなんだー!どうして?だって旅館コンサルタントだなんてねぇ。
あさひなを復活させるために私たち3人はこの旅館の調査をしてきたんです。
なんだかんだ調子のいい事言ってまた俺たちをリストラしようっていうのか!これ以上経費削減されてそれでサービスに文句をつけられたんじゃやってられないよ!なあみんな!そうよ!これ以上人手が減ったらね!やってられないわ!あさひなの最大の問題点はサービスがコストに負けてしまっている事にあります。
サービスがコストに負ける?そうです。
例えば人件費を削るために客室係を減らしました。
結果お出迎え係がいなくなりお出迎えやチェックインがスムーズにいかない。
そして夕食の提供が後出しが出来ずに一度に全部出してしまっている。
そのために温かい料理を温かいうちに提供する事が出来ない。
次に人手不足から掃除回数を減らしたため窓ガラスやトイレが汚くなり旅館にとって一番大切な快適な空間の提供が出来なくなっています。
そんな旅館に誰がもう一度訪れたいと思いますか?それがこの結果です。
では改革案を発表します。
ターゲットを個人客にしぼります。
20部屋100人で満室だったのを50人で満室としその分宿泊単価を以前の1.5倍に。
(どよめき)間違った効率主義をやめ接客マニュアルを見直します。
その分キメの細かい心のこもったサービスを。
質の高い地元産の食材を取り入れた献立を。
お客様にはおいしい食事を何よりの楽しみとしていただきやすらぎとゆとりを提供します。
ちょっと待て!どこにそんな金と人手があるっていうんだ!女将は殺人容疑で警察に…。
おかげでキャンセルの電話は鳴りっぱなし。
こんな旅館誰が泊まりにくるものか!リゾートホテル建設の話があるんだからそれに乗り換えた方が…。
いいえ。
それは出来ません。
確かにあさひなは今苦しい立場にあります。
でも女将さんもあさひなの再建を心から願っているんです。
あさひなは稲取の発展と共に今日まで来ました。
これからもそうして行きます。
どうか皆さんあさひなのためにそして稲取の温泉に遊びに来るお客様に喜んでもらうためにも力を貸してください。
(拍手)えーじゃあここのテーブルとイスを運んでください。
(恵美)
まず館内の雰囲気を変えていきましょう
ゴテゴテした飾りや置き物をやめシンプルに
さりげない飾りにお客様の心は安らいでいきます
お部屋はお客様の寛ぐところ
イスや床の間の飾りなどは親しみやすさを強調して
アメニティーを業者に任せずあさひなはあさひなならではの入れ物に気遣いを
そして名前入りのサービスタオルはあさひなを思い出していただく何よりの宣伝になるはず
清掃表を風呂場に張り出しお客様にも確認していただく
掃除が徹底している事がわかれば気分もいいしお風呂を楽しみにしているお客様の安心につながる
それから脱衣所に無料のドリンクサービスを設置する
そして旅館再建における最大のポイントはお客様を最も感動させる日本旅館のクライマックスそれは料理
その地元ならではの素材に対するこだわりはお客様を興奮感動させる大きな要素となる
料理は目から盛り付けの茶碗や皿などにもひと工夫
素人の常識を超えたプロの技をさりげなく演出する献立をさてどう組み立てるか…
綺麗過ぎてイメージにうったえるようなパンフレットはやめる
「琥珀の時」ってどんな時?
「瑠璃色の旅情」ってどういう事?
そんな言葉を躍らせてもなんにもお客様には伝わらない
ちょっと亜紀!どう?綺麗です!
館内案内の冊子を手作りに
コストの削減が目的ではなくもてなしの意識を高めるために
なんて書いてるの?教えない!見せてよ!やだ!見せて!見せて!やだって言ってんの!「頑張るのに少し疲れたあなた」「ここは懐かしい海辺の宿」「目の前に広がる大海原に心を開けば…」
仲居さんたちの心のこもったメッセージがお客様の心からのリラックスにつながります
旅行代理店任せの営業を整理し宿泊や料金の内訳を明確にしインターネットの宣伝に力を入れる
(一同)いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
ようこそいらっしゃいました。
ウエルカムドリンクサ−ビスは地元でとれた果物や野草などを利用しておもてなしします
(恵美)
浴衣のサイズの細分化
浴衣のサイズを揃える旅館は多いけれどほとんどが縦のサイズの変化だけ
横幅の違うサイズへの配慮
女性客の心理ちょっとうれしいはすごーくうれしいにつながる
仕出し料理をやめて団体向けだった料理はすべて手作りに
部屋出しの食事も本膳のほか4回にわけて料理を提供
桜の間のお客様そろそろ二の膳ね。
菊の間は満代さん?はいよ二の膳二段積み!私も二の膳二段積み。
それじゃ私は四段!ちょっとどいてどいて!すっげえー。
(一同)ありがとうございました。
そして容疑の晴れた女将さんがあさひなに戻って来ました
女将さん!
(一同)おかえりなさい。
なんだかあさひながすっかり明るくなったみたい。
女将さんちょっといいですか?この離れはいつから使ってないんですか?私が先代のあとを継いで以来だから3年になります。
ここはあさひなで一番古い建物なんです。
祖父が生きていた頃には立派な離れをいつも自慢してた。
こんなに立派な建物を放っておく手はないわ。
リフォームして綺麗にしましょう。
あさひなという旅館の原点を見直して最大のセールスポイントにするの。
え?お客様を迎える私たちが誰よりもあさひなを愛して誇りに思う事。
そうすれば必ずお客様は戻ってくる。
誰よりも誰よりも私はあさひなを愛してる。
両親祖父母…私の大切な人が守り抜いてきた暖簾だもの。
そう…誰よりも私が頑張んなきゃ…。
こんな事ぐらいでへこんでる場合じゃない。
かんぱーい!
(女たち)かんぱーい!ずっと飲まないと!おいしい!悪いけど席はずして。
まずい事になりました。
このままでは…。
大丈夫。
次の手はうってます。
お客様!申し訳ございません。
只今清掃時間となっておりますので…。
このお湯は含石膏弱食塩泉。
緊張とストレスで荒れた内臓を癒すのには最高だ。
幸平さん!いつ来たんですか?さっきかな。
さっきって何や…。
(女たちのはしゃぎ声)いやちょっと…。
いや俺…。
いやいやダメ…入っちゃう?入っちゃう?慎さん?うわっ!あー!幸平さん!はい。
何やってるの慎さん?いや…。
あっ…大変だったね…。
違いますよ!
(船の汽笛)ちょっと草津まで行って色々と調べてきたんだけど。
殺された山口由香は単にグルメ取材のためだけに稲取に来た訳じゃない。
というと?彼女金目鯛の販売ルートの調査依頼されてたんだよ。
調査?依頼したのは東京の某レストランチェーンのオーナー。
そういえば由香さん港で漁師さんに取材してた。
3か月ほど前そのレストランチェーンのオーナーは稲取産の金目鯛を特別なルートで大量に安く仕入れた。
でもそれは遠洋ものだった。
ん?騙されたオーナーはマスコミにも叩かれて大損害をこうむった。
それでどこで稲取産と遠洋ものが入れ替わったのか山口由香に調査を依頼したんだ。
そうか…山口由香は最初からあさひなの金目鯛を遠洋ものと決めてかかっていた。
事件の背景には金目鯛を巡るトラブルがありそうね。
うーん…。
もう一つこの一年であさひなの客足がぱったりと落ち込んだ理由がわかった。
ほんとですか!旅行代理店にあさひなを中傷する匿名の電話やファクスがたびたび入っていた。
団体客のキャンセルが相次いだのはそのせいだ。
そんな!草津温泉の旅館買収の時にも使った丸山のいつもの手口なんだよ。
とにかくみんな慎重に行動してくださいと社長からの伝言です。
以上。
え?幸平さんどちらへ?丸山の買収の汚い手口は他にもまだ色々…。
草津に戻って全部調べて東京に戻る。
それから社長と相談してまた連絡します。
それじゃあ。
ご苦労さま。
私さ警察行ってくる。
(2人)え?…よし!金目鯛を巡るトラブルですか。
由香さんの事件には単なる怨恨ではない何かがあるんです。
言いたい事はそれだけかよ。
何よ!警察は忙しいんだよ!言いたい事終わったらとっとと帰ってくれよ。
な〜に?この態度!なんだよ!ちょちょちょまあまあ…まあそういう事ですから今日のところはお引き取り願えませんかねえ。
も〜石頭なんだから!はい。
どーも失礼いたしました!どーも!いっいいえ。
君はすぐそういうふうにもう…。
殺された前日山口由香は悪徳ブローカーの浜田に会っていた。
星野さつき…あの女何か知ってるんでしょうか。
うん…まとにかく引き続き浜田の動向をマークしろ。
はい。
警察はアテにならない。
私たちで真犯人を捕まえよう!いやそんな…。
幸平さんにはもっと慎重に動けって言われたじゃないですか。
第一俺たち探偵じゃないんですから。
事件が解決しなければお客様は戻ってこない!疑いを晴らさなければあさひなを復活させる事は出来ないの!そりゃあそうですけど…。
いいわね?恵美。
はい!頑張ります!いらっしゃいませ。
お客様だ!あ〜!やった!
(田崎優)予約は入れてないんだがね。
今晩1泊大丈夫かな?はい。
わざわざありがとうございます。
さこちらへどうぞ…。
(一同)ごゆっくりどうぞ。
ウエルカムドリンクのサービスでございます。
ありがとう。
…これは?はい。
料理長特製の季節の野草酒です。
野草の。
ほ〜珍しいねえ。
裏の林で採れたものばかりで。
あっでもおいしいですから。
うまい!これは山桃かね?わかりますか?私もこれ大好きなんです。
こりゃあ到着早々楽しい仕掛けだね。
ありがとうございます。
いや〜うちの会社の秘書にインターネットで調べさせたらホームページで良さそうな宿があるって言うんでね。
今日はご商談で稲取へ?そうなんだ。
いや東京でインテリアショップを経営していましてね稲取へ来たからには金目鯛を食べて帰れって言われましてね。
お客様の情報ゲット成功!野草ドリンクどうだった?もうバッチリ!さすが親方!言ってきます!ホームページを見ていらしたんだって?そうみたい。
私の写真が決め手かな。
あーっ!金目鯛なんとかしなくちゃ!ちょっと…。
ヨシ!ヨシ…。
こんちは!あ〜若ぇの。
今日も来たな。
今日こそ勝負に勝ちます。
あ〜楽しみだな。
ねえねえ勝負って何?オッ!こん中に何枚稲取のギンデイが入っているか選んでみろ。
わかったらわかった分だけ持ってっていいぞ。
ヨーシ!あーっ!わっ!なんすか!?えっ?あいつを知ってるのか?殺された由香さんがその前の日に会っていた漁師なんです。
あいつは浜田といって稲取の漁師仲間では鼻つまみもんでね。
東京のブローカーと組んで遠洋物の金目鯛を稲取産だと偽ってさばいているという噂もある。
由香さんその事突き止めたから殺されたのかもしれない。
ちょっとさつきさん!どこ行くんですか。
心配しないで!危ない事はしないから。
慎さんは勝負を続けて。
お願いよ!あさひなの運命がかかってんだからね。
ちょ…さつきさん!
(浜田)じゃっ。
オイ!若ぇの!どうすんだよ。
持ってけ!ハハハ…ヨッシ!ありがとうございます。
おう!ハハハ…。
(物音)誰だ!浜田さんですね?あんたは?あさひなに勤めています…星野といいます。
星野さつき…。
俺に一体なんの用なんだ?山口由香さんの事で伺いたい事があります。
山口由香…ああ…。
あの料理記者の事か。
由香さんは金目鯛取り引きの事であなたの事を調べていた。
由香さんが殺される前日あなたに会っていたというのは本当ですか?なんであんたにそんな事答えなきゃなんないんだ!あなたは東京のブローカーと組んで遠洋物の金目鯛を稲取産と偽って取り引きしてるって…。
ハハハ…。
俺の事やっかむ漁師たちがよそんなデタラメ広めてるらしいがな冗談じゃない。
あの料理記者にも同じ事訊かれたがそんな事実はない。
帰ってくれ!親方。
ん?稲取のギンデイだな?はい。
ヨ〜シ…。
ああいい。
若ぇの手伝え。
おいケイタ片付けろ。
はいっ!圭介。
こいつの仕事よ〜く見とけ。
おいお前客を感動させる事がお前の仕事だって言ってたな。
はい。
だったら俺と勝負だ。
ギンデイ使ってなんか作ってみろ。
はいっ!女将を呼んでくれないか。
かしこまりました。
いや最高の金目鯛は稲取でしか食べられないと聞いていたが素晴らしい。
ありがとうございます。
金目鯛の姿煮げんなり寿司…。
地元ならではの伝統料理が見事の一言だった。
しかもただおいしいだけじゃない金目鯛のシンプルなポワレや地魚のズッパ・ディ・ペッシェには意表を突かれました。
最高に楽しい料理をありがとう。
恐れ入ります。
時に女将。
お願いがあるんだが。
はい?来週私の会社は創立30周年を迎えるんだがその祝いの会をここで行いたいんだが。
ありがとうございます。
久しぶりに宿に感動させられたよ。
館内の隅々まで行き渡った設いといい素晴らしい料理といい。
何よりスタッフが気持ち良く働いてる姿。
うちの連中にもそれをぜひ学んでほしいと思ってね。
絶対に無理ですよ!招待客が15人。
それだけでも15枚の稲取産のギンデイが必要なんですよ?ほんの数匹手に入れるだけでも大変なのに…。
女将さん丁重にお断りしましょう。
高木さん…。
いいですね?旅館コンサルタントさん?さつきさん。
…はい。
私は今まで女将失格だったかもしれない。
みんなに迷惑ばかりかけて。
でも…さつきさんたちに教わったわ。
諦めちゃいけないって事。
そんな事は…。
あさひなを守りたいという女将さんの思いがあったからこそです。
ありがとうさつきさん。
来週離れの改装が出来上がります。
私は…どうしてもこの祝宴をお受けしたいんです。
そしてあさひな創業以来の自慢の離れを使っていただきたいんです。
女将さん…。
あさひなを…あれほどまでに気に入っていただけたお客様をお断りするなんてどうしても私には出来ません。
心からのおもてなしをしたいんです。
ちょっと待ってくださいよ!よし!やりましょう女将さん!私もなんかうずいてきちゃった!ギンデイはどうすんでぇ。
他の料理の事考えりゃ最低でも40〜50枚はいる。
一度に40〜50枚なんて無理だよ。
出来ない事をやるからこそ価値がある。
あさひな起死回生一発逆転の大チャンスじゃないすか!慎さん!よお〜し!皆さん!頑張りましょう!
(一同)はい!じゃあ来週よろしくお願いします。
お待ちしております。
お世話になりました。
(一同)ありがとうございました。
女将さん!ちょっと!今度は一体何なんですか?女将さん。
はい?ちょっと星野さつきさんをお借りしたいんですが。
え?署まで来てもらおうか。
どういう事?浜田が殺された。
その現場にあなたの名刺が落ちていた。
だから!何度も言いますけど私は無実ですから。
はい事情聴取はこれで終わり。
帰っていいよ。
えっ?あ…もういいんですか?ん?まだここにいたい?あっいえ。
じゃあ!あ〜いやいやいや。
一言だけ言っておきたい事がある。
なんですか?この事件に首を突っ込むのはやめるんだ。
昨日だって一歩間違えたらあんたの身が危なかったかもしれない。
とにかくこの件は警察に任して関わるのはやめた方がいい。
わかったね?お願いします。
無理だよ〜。
いやそこをなんとか…ホントお願いします。
助けてください。
ギンデイをなんとか譲っていただけないでしょうか。
無理だね。
そこをなんとかお願いします!お願いします!助けてくださいお願いします!あの10枚でも20枚でもいいんです。
お願いします。
お願いします。
あの…何枚でも1枚でも2枚でもいいんですお願いします!このとおり!このとおりです!お願いだから頭上げてくださいよ。
お願いしますお願いします。
わかった。
小沢さんとは長い付き合いだ。
10枚!そんならなんとか用意する!ホントですか?ありがとう!ありがとう!女将さん。
ギンデイ50枚確保出来ました!
(一同)うわ〜っ!
ところが数日後中卸業者からギンデイの話はなかった事にしてほしいと次々にキャンセルの連絡が入ってしまったのです
どういう事ですか。
あさひなにギンデイを卸すなと圧力がかかりましてね。
圧力?絶対にここだけの話にしてくださいよ。
グローバル開発の丸山さん。
あさひなを買収しようとしてるホテルチェーンですよ。
グローバル開発…!でもねえ…お宅の番頭の高木さんだってね…。
高木さん?高木さんがどうしたんですか?グローバル開発とは色々とあるようじゃないですか。
その夜重要な事がわかりました
あさひなの帳簿から使途不明金が毎月引き抜かれていた件なのですが…
やっぱり思ったとおりだ…。
えっ?どういう事ですか?昼間の業者の話によると高木さんには多額の借金がありその融資先は大日金融。
グローバル開発関連の企業だった。
じゃあ高木さんが丸山から融資を受けていた。
つまり…高木さんが帳簿を操作し使途不明金を捻出して借金の返済に充てていた。
高木さんが横領していたという事になる。
横領!?明日私丸山に会ってくる。
とにかくギンデイの圧力だけでも取り下げてもらわなくちゃ。
慎さんは高木さんの借金の理由がなんだか調べてくれる?わかりました。
恵美ちゃんは…。
はい!お仕事があるから待機。
え〜…。
(愛子)よくまあこんな写真見つけてきたわねぇ。
丸山が通っていたスナックに高木そして浜田も度々訪れていました。
う〜ん…。
丸山は高木を仲間に誘い入れて買収を有利に進めようとしてたのね?でもじゃあ浜田は?ブローカーの浜田と懇意になったのは最近の事だったようです。
あさひなが金目鯛を仕入れられないように手を回すばかりか会社を隠れ蓑に不正な金目鯛取り引きで儲けを上げるようになった。
不正な取り引き?…って例のすり替え事件ね?それよりも草津温泉旅館の買収で丸山は自分の愛人の柴田ともみを買収先の旅館に仲居さんとして送り込み内部から手引きさせて営業妨害をさせていた事がわかりました。
その愛人はその後どうなったの?実は…3週間前から行方不明になっていたんです。
行方不明?ええ。
3週間前っていうと…。
黒根浜にホトケさんがあがったのが丁度3週間前。
という事は…その愛人の柴田なんとかっていうのがあの水死体?早速警察が現地と連絡をとって身元の確認に動いてますがもしそうだとすれば…。
丸山か…。
くれぐれもよろしくお願いいたします。
丸山さん。
買収のためなら随分汚い手を使うのね。
なんの事ですか?とぼけないで。
金目鯛を卸すなって業者に圧力かけたでしょ。
言いがかりですよ。
一体どこにそんな証拠あるんですか。
圧力を取り下げないならこちらにも考えがあります。
どういう事ですか。
番頭の高木さんあさひなの資金を横領しています。
それと…私どもと一体どういう関係があるんでしょうか。
あさひな…そして高木さんにも多額の借金があります。
高木さんは半年前その借金をある金融会社につけ替えています。
その金融会社というのが丸山さんあなたの会社の傘下企業であるという事がわかってるんですよ。
だからそれが一体なんだって言うんですか。
高木さんの借金に目を付けたあなたは借金を肩代わりするなどと言って高木さんに近付きあさひなの経営をピンチに陥れるために横領をそそのかした。
違いますか?圧力を取り下げないのならすべてを公にするわよ。
どうぞご自由に。
番頭さんの横領事件だの借金漬けだのが世間に知れてあさひなさんの看板にますます傷が付かない事を祈ってますよ。
高木さんの事か。
ええお願いします。
先代の頃から高木さんには悪い噂があってな。
あさひなの近くに「坂巻」という旅館があったんだが。
坂巻?ああ…。
もう20年も昔の事だ。
20年…あの詳しく聞かせてもらえませんか。
(携帯電話)はい星野です。
高木さん…。
すべて話をしよう。
黒根浜で待っている。
高木さん!黒根浜…?高木さん。
あんたは色々知ったようだ。
丸山さんから聞いたよ。
あなたが丸山から融資を受けている事はわかっています。
あさひなの経営を苦しめてきた大きな赤字…多額の借金。
高木さん…私にすべてを話してくれませんか?お前たちさえ来なければすべては上手くいくはずだった。
お前たちさえ来なければ…!高木さん。
来なければ…クソックソォッ!
(悲鳴)
(高木)待てっ!星野!離してください!幸平さん!
(パトカーのサイレン)高木守男。
業務上横領の疑いで逮捕する。
丸山俊夫!柴田ともみ殺人および死体遺棄の疑いで逮捕する。
丸山は草津の旅館買収に成功した後女将にすると約束していた愛人を裏切りそして捨てたのです
愛人柴田ともみは丸山を追って伊豆稲取へとやってきました
そしてこの断崖の上で丸山に縋ったのです
ウッ!
(悲鳴)
山口由香と浜田の連続殺人についても警察による厳しい追及が丸山に対し始められました
そう…それは良かった。
いや何よりあなたが無事でホント良かったわよ。
岩田君は?群馬県警の捜査協力のために草津に戻る事に。
あなたたちだけで大丈夫?ええ大丈夫です。
慎さんも恵美ちゃんもいますし。
はいこちらにももうすぐ警察が…。
はいわかりました。
失礼します。
女将さんは?ああちょっと前に典子さんが女将さんに話があるとかで2人で出掛けられたみたいですけど。
典子さんが?典子さん話って?ここで…手を合わせてくれない?坂巻って…あの坂巻?20年前あなたたちに潰された旅館坂巻…。
忘れたとは言わせない。
あなた…。
私の両親は…あなたたちに殺されたも同じ。
決して私はあさひなを許さない。
やめて!ヒッ…。
さつきさんは?えっ?ああ典子さんと女将さん追いかけて墓地の方行ったけど?えっ?あっちょっと慎さ〜ん!典子さん…。
来ないで!あともう少しなの。
邪魔はさせない。
高木も丸山も逮捕された。
でも私はあさひなに殺された両親のためにあさひなに復讐する。
私の名前は…坂巻くみこ。
(くみこの声)1年前私がホステスとして勤める下田のスナックに丸山と高木がやってきた。
くみちゃん!坂巻のくみちゃんだよね?はい…。
いや奇遇だね〜。
(くみこの声)20年前の出来事を知っていた高木が私に坂巻が潰された事情を話してくれた。
(くみこの声)坂巻が潰れたのはあさひなのせいだった。
あさひなの先代社長は強引なやり方で坂巻の顧客を奪い坂巻の乗っ取りを計画した。
そのため経営が行き詰まり追い詰められた父は自殺した。
父の自殺のため結局坂巻には買い手は付く事なく放置され間もなく母も後を追うように病死。
私は施設に引き取られその後の私はずーっと今日まで苦しみ続けてきた。
丸山と高木は一緒に組んであさひなを潰そうと私に持ちかけた。
すべてが上手くいったあかつきには高木が社長にそして私が女将としてホテルを切り盛りするそう高木は持ちかけてきたわ。
でも…私はそんな事どうでも良かった!失った父や母は…もう二度と戻ってこない。
私の人生を狂わせ何もかもを台無しにし私からすべてを奪ったあさひなを私は絶対に許さない!絶対に!
(くみこの声)あさひなに入り込んだ私は様々な妨害をしてきた。
旅行代理店にあさひなを中傷する電話をかけ続けたのも私。
(くみこの声)だがそれを山口由香に聞かれてしまった。
(くみこの声)料理記者に知られたら計画は水の泡になる。
(くみこの声)彼女は高額な口止め料を要求した。
とりあえず1千万円用意しなさいよ。
私にはそんなお金…。
あなたの名前を匿名にしてほしいんだったら全額用意するのね。
匿名?どちらにしてもこの事は雑誌に書かせてもらうわ。
あなただってあさひなに恨みでも持ってるんでしょう?お願い…やめてお願い!うるさいわよ!全額用意しなさい!ウッ…!
(くみこの声)とっさに私は女将に疑いがかかるよう彼女の髪留めを死体のそばに置いた。
由香の死は浜田にとって好都合だった。
金目鯛の不正取り引きを知られた浜田は彼女の口封じをしなければならないと考え由香を付け狙っていた。
私たちの利害は一致していた。
でも…。
浜田が…あなたを脅したのね。
浜田は金を要求した。
一度渡しても二度三度とその要求に終わりはなかった。
(浜田)ウッ!アアッ…!行き着くとこまで行く覚悟は出来てる。
あんたの家だって…!あんたになら私の気持ちわかるはずよ。
坂巻潰したのはあさひなの先代じゃない!番頭の高木だったんだ。
高木が…?20年前坂巻の乗っ取り計画したのは番頭の高木だったんだ。
坂巻の顧客を奪いあらゆる手で営業を妨害してそして…あなたのお父さんを自殺にまで追い込んでしまった。
でも実はあさひなの先代はあなたのお父さんに頼まれて坂巻の借金の保証人になっていたんだよ。
高木が引き起こした不祥事を自分の責任として坂巻の借財を自ら背負った。
あなたのお父さんの死後あさひなの先代がすべてを引き受けたんだ。
そんな…そんなバカな!以来20年間あさひなはこの負債を抱え続け苦しい経営を続けてきた。
あなたは高木に騙されてたんだ。
くみちゃん…。
ウワーーーーッ!典子さん!やめて!死なせてよ!卑怯よ!死ぬなんて卑怯よ!死ねばすべてが終わるわけじゃないのよ!?あなたのつらい気持ち…私にはよくわかる。
家族がバラバラになって生まれ育った大切な家がなくなってしまう悲しみ。
でもねえこれからはつらくても苦しくても生きていかなきゃいけないの!そうでしょう?こんな事であなたが命を落としたら亡くなったお母様だって絶対泣いてるわ。
ありがとうございました。
(くみこの母)あっありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。
ま〜!かわいいお花!
(くみこ)お庭に植えてもい〜い?そうね。
いっぱいいっぱい咲いたらお客様もいっぱいいっぱい喜んでくれるよね?そうよ。
いっぱい喜んでくれるわ〜。
くみこは優しいのね。
お母さん。
(くみこの嗚咽)
(香子)いらっしゃいませ。
(一同)いらっしゃいませ。
よろしくお願いします。
お待ち申し上げておりました。
(田崎)創立30周年乾杯!
(一同)乾杯!
(仲居たち)おめでとうございま〜す。
(拍手)うん…うまい!はいお刺身でございます。
金目鯛のカルパッチョでございます。
お疲れ様でした!あんたの目利きあれがなきゃあさひなは…。
よせよ。
あれはまぐれ当たりだ。
よお!いい金目が揚がったんで持ってきてやったよ。
こりゃあすごいですねえ。
ハッハ…俺はお前さんの粘りに負けたんだよ。
毎日漁協へ通って金目鯛と向き合って。
顔の違いなんてそう簡単にわかるわけねぇよ。
それをお前さんはちゃ〜んと見分けやがった。
いや〜大したもんだよ。
なあ安さん。
ああ…。
ほら。
客を感動させたいってあんたの心意気俺も随分勉強させてもらった。
ズッパ・ディ・ペッシェ。
…はい。
掛け値なしにうまかったよ。
親方…。
田崎様の創立記念の宴をきっかけにあさひなにはお客様が戻ってきました
これからはきっとあさひなのスタッフ自らの力によってより素晴らしい旅館へと変貌を遂げるはずです
働く人たちみんながあさひなを愛している
ここまでくれば旅館コンサルタントの仕事は終わりです
いらっしゃいませ城之内さん。
お待ち申し上げておりました。
お久しぶりです。
昔のあさひなを思い出すわ…。
香子さんご苦労様でした。
おめでと!本当に…ありがとうございました。
(咳払い)あなた方…。
見事な手腕でしたね。
フフッ…。
一時はねえどうなる事かって心配でしたけどねえ…さすがでした。
ああ…。
じゃ行きましょうか。
(3人)はい!
(一同)ありがとうございました!
(一同)またあさひなへどうぞお越しくださいませ。
何よみんな!見送りなんかしないでって言ったのに!さあみんな!持ち場に帰って。
お客様は待ってくれないのよ!
(一同)はい!フフフ…やるじゃない。
さっ行きましょ。
はい。
さあ皆さん!次の旅館は別府ですよ。
(3人)別府!名物はなんですかね?魚だと城下カレイあと関サバ関アジ。
あ〜。
そうそう。
温泉が人を癒し人が集まる。
そしてそこに旅館がある。
これ即ち旅館業の真髄なり。
フフッ…。
東京に戻ってる暇ないわねえ。
ここから直行してください。
あっそれってもしかしてお休みなしって事ですか?旅館は悲鳴をあげてあなた方を待ってるんですよ?あ…はは…。
フフ…よろしく!2015/04/24(金) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
温泉(秘)大作戦!星野さつきの事件簿[再][字]
伊豆稲取で海の宝石ギンデイをゲットせよ
詳細情報
◇番組内容
不振にあえぐ温泉旅館に現れた謎のスペシャリストたち。彼らは改革案を次々と提案し、実行に移す。しかし、彼らの依頼人である女将が殺人容疑で取り調べを受けピンチに。
◇出演者
森口瑤子、東幹久、野際陽子、村田雄浩、剣幸、夏木陽介、鹿内孝、芳本美代子、星野有香 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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