(無線)「本部から追2現在地を報告せよ」。
(無線)「追2伊勢崎町に向かって…」。
(無線)「本部了解。
引き続き周辺の動向を注意せよ」。
(無線)「追2了解」。
(三上)国道は捕捉1班が待機中です。
この県道はどうなってる?邀撃班が巡回してます。
(テレビ)「天皇陛下は昨日から血圧の低い状態が続いておりまして今日夕方今ご覧頂きましたように上の値が68と更に低くなっております。
少量の出血ありという今宮内庁からの報告がありました」。
・入電!入電!逆探要請。
・ではご案内致します。
どうぞ。
あ〜よかったよかった。
あ〜ちょっと心配しましたね。
入水自殺ですよ。
あの近くに沼がありましてね。
まあこんな寒くて遠い所まで。
しかしこればっかりは…ね…。
無駄足でよかった。
ね。
ハハハ…。
署長わざわざご連絡頂きありがとうございました。
よしましょう水くさい。
さあさあ乗って下さい。
乗って。
ほらほらねえ。
我々にとっても身内同然じゃないか。
ね!あっ奥さん奥さん大丈夫ですよ。
お嬢さん元気でいますよ。
全国26万人の仲間が24時間気にかけてますから。
必ず見つかります。
どうぞ。
(美那子)あの…。
どうぞ…よろしくお願い致します。
はい。
どうぞ。
恐れ入ります。
はい。
美那子!
(電話のボタンを押す音)・
(呼び出し音)
(電話が切れる音)・
(不通音)おはよう。
(一同)おはようございます。
おはよう。
おはようございます。
おはよう。
おはようございます。
広報官。
ん?あの昨日は…?ああ。
人違いだった。
心配かけてすまなかった。
諏訪。
はい。
隣はもう集まってるのか?
(諏訪)はい。
全社そろっています。
かなり熱が上がっているようか?広報官をつるし上げると言っています。
今月の幹事は東洋だったな?はいそうです。
秋川さんですのでお気を付け下さい。
(諏訪)ちょっちょっ…どうしたどうした?どうしたどうした…?おはようございます。
昨日の続きです。
大糸市内における重傷交通事故について伺います。
なぜ脇見運転してた主婦が匿名なんですか?ちゃんと実名で発表すべきでしょう。
回想
(鼻歌)
(ブレーキ音)
(衝突音)
(荒い息遣い)この主婦は妊娠8か月でありショックで母胎がどうなるか分からない。
だから匿名にしたと昨日説明したとおりだ。
だから説明になってませんよ。
「32歳の主婦A子さん」。
これじゃあ実在する人物かどうかも分からない。
なぜ警察がそこまで気を回す必要があるんですか?過剰な配慮なんですよ。
主婦の過失も問われて当然なんですよ。
だから新聞に名前を出して断罪する訳か。
ああ。
そういう言い方はないでしょう。
警察が勝手に判断して名前や住所を隠すのがおかしいと言ってるんですよ。
実名で書くか書かないかそれは我々が公益性に照らして判断する事です。
なぜこっちが判断するんじゃ駄目なんだ?事実関係が曖昧になるからですよ。
それじゃこっちは検証のしようがない。
警察が匿名と判断していいなら極端な話それを隠れみのにして隠蔽する事だって起こりえるじゃないですか!隠蔽だと!?そうでしょう。
ちょっちょっ…。
いやいやまあですからねそうやって必死こいて隠されるとひょっとしてとか思う訳ですよ。
お偉いさんの娘だから名前を伏せたんじゃないかとかね。
ふざけた事を言うな!
(どよめき)妊婦だったら誰でも匿名にしたんですか?違うでしょ?主婦の名前は発表しない。
これは決定事項だ。
変わりましたね三上さん。
我々はあなたに期待してたのに。
今度の広報官はこっちの顔色をうかがわない代わりに上に対してもはっきりものを言う。
東京から来てるキャリアの部長にももの申す姿勢には正直驚きましたよ。
なのに変節した。
木で鼻をくくったように県警の方針をこっちに押しつけるだけになった。
なぜです?広報室は窓だと言ったのは三上さんですよ。
その広報官がほかの警察官と同じように組織べったりじゃ困ります!
(諏訪)ちょっと何言いだすの秋川ちゃん。
個人攻撃じゃないの。
(秋川)こっちは個人と話してるつもりだ!窓はある。
そっちが考えてるほど大きくないだけだ。
この際聞かせて下さいよ。
何をだ?あなた個人の考えで匿名で発表したのかどうかそこをはっきりさせて下さいよ。
個人も組織もない。
答えは一つだ。
それ本心ですか?警察官としての本心だ。
よく分かりました。
では広報官にではなく県警に対して記者クラブの総意として申し入れます。
この妊婦の実名を明らかにして下さい!回答済みだ。
実名で発表すれば必ず実名で書かれる。
つまり県警は我々を全く信用してない。
そういう事でいいんですね?かなり熱くなってますね。
よっ!おはよう。
おはようございます。
あっ三上君。
おはようございます。
失礼致します。
失礼します。
昨日は大変でしたね。
いえ私事で職務に支障を来し申し訳ございませんでした。
新潟はどうでした?よくしてくれましたか?はい。
署長をはじめ皆さんに大変よくして頂きました。
では僕の方からも新潟県警の本部長に礼を言っときますよ。
あの部長お呼びの用件は何でしょう?まあ座って。
実はね…長官が視察でお見えになるっていうんだよ。
警察庁長官が?
(石井)急な連絡が入ってね来週の今日だっていうからこっちも忙しいよ。
来週の木曜日…。
何の視察でしょう?
(赤間)ロクヨンですよ。
・ロクヨンですよ。
ロクヨン?
(赤間)14年前昭和64年にこの県警で初めて起きた本格的な誘拐事件。
まっ本格的な未解決事件と言うべきか。
三上広報官はその当時刑事として捜査に加わってたんですよ。
もちろん知ってますよ。
時効を意識した視察という事でしょうか?
(赤間)今回の視察は長官自身の発案のようですがまっ国民に対するアピールというよりはむしろ部内向けでしょうからね。
部内向け?という事は東京の警察庁の事情という事でしょうか?
(赤間)それ以上はあなたの知る必要のない事です。
(石井)それでね広報官線香をあげたあと被害者宅を出て車まで歩く間にねぶら下がりで記者会見をする事になったんだ。
まず記者クラブに事前に質問事項を書かせ提出させなさい。
時間は10分程度。
質問者は幹事社の記者一人に限定します。
あの…それが…。
記者との関係がかなりこじれてまして…。
匿名問題をはねつけましたので。
(赤間)それでいいんです。
決して緩めてはいけません。
隙を見せたら図に乗ってつけ込んできますから。
力で押さえつけるんです。
それから時間がありませんので一両日中に遺族の了解を取り付けなさい。
どうしました?何か問題でもありますか?いえ…分かりました。
それではロクヨン専従班に遺族の様子を聞いてみます。
その必要はないでしょう。
あなたは遺族と面識があるはずじゃありませんか。
刑事部には持っていかずあなたが直接交渉しなさい。
いや〜それでは…。
刑事部長にはセッティングが終わったら僕の方から話します。
それまでは内々に話を進めなさい。
分かったらもういいですよ。
失礼します。
それにしてもよく似てますね。
かわいくてしょうがないでしょう。
(石井)ああ家出してもうみつきもたつのか。
心配だね。
(赤間)そろそろ指紋や歯のカルテを出すよう奥さんと話し合ってみたらどうです?そうすれば時間のロスもわざわざ現地に出向く心労も減りますよ。
ご心配ありがとうございます。
回想あなた!あなた!ねえ2度もあったんだから間違い電話でもただのイタズラでもないわよね?2度目はこっちから名乗ってないんだな?名乗ってないの!ほら。
ねっあゆみの名前を呼んだら切れたのよ。
あゆみ…迷ってる…何か言いたいのに帰りたいのに迷ってる。
ねえそうでしょ?また…またあるかもしれない。
・・…あゆみか?あゆみ。
あゆみなんだろ?どこにいる?あゆみ帰ってこい。
何も心配するな。
今すぐ帰ってこい。
帰ってきてくれ!
(電話が切れる音)・
(不通音)あゆみ!あゆみ!もしもし?あゆみ?もしもし?もし…。
・
(不通音)
(ため息)生きてる…。
生きてた…。
・
(不通音)
(諏訪)それにしても来週とはまずい時期に来ますね。
匿名問題でもめてる時に。
質問内容を上が見たいと言ってる。
週明けまでによこすように言ってくれ。
やってみますけど…さっきも記者室追い出されたばっかりですからね。
なんとかうまく隣に伝えてくれ。
当時の資料です。
俺はちょっと出る。
(諏訪)どちらへ?被害者宅だ。
慰問の段取りをつけてくる。
ここで待て。
(美雲)はい。
(ブザー)三上です。
女房も6年前に脳梗塞で倒れて…とうとう去年他界しました。
私も…捜査に関わった者として…いや…一警察官として…深くおわび申し上げます。
しかし警察はまだ諦めていません。
警察庁長官がお宅を訪ねたとなれば新聞は大きく記事にしてくれます。
テレビもニュースで流し多くの人がまたこの事件を目にします。
新たな情報が寄せられる可能性があるんです。
視察は1週間後の木曜を予定していましてこちらで翔子ちゃんのお参りをさせて頂きたいと考えております。
遠慮します。
雨宮さん…。
ありがたいお話ですがその件はご遠慮します。
わざわざ偉い方にいらして頂く必要はありません。
理由は…特にありません。
せっかくのお話ですが…お断りします。
雨宮さん…またお邪魔させて頂く事になると思います。
失礼します。
回想
(無線)「本部から邀撃班現在地を報告せよ」。
(無線)「邀6伊勢崎町に向かって片山3丁目交差点を通過」。
(無線)「本部了解。
引き続き周辺の動向を注意せよ」。
(無線)「邀6了解」。
このピンマイクであなたの声をとってます。
落ち着いて下さい。
できるだけなるべく…要求は繰り返し聞いて下さい。
話に詰まったらこれを出しますのでざっと見ておいて下さい。
国道は捕捉1班が待機中です。
この県道はどうなってる?邀撃班が巡回中です。
玄武市内は?はい。
この辺りは工事中なのでここを通ります。
(無線)「捕捉班より本部間もなく葵町交差点」。
(無線)「本部了解。
捕捉班途中の交通事故に注意せよ」。
(無線の音)
(無線の音)
(無線の音)
(無線の音)
(美雲)広報官は14年前にもあのお宅にいらしたんですか?そうだ。
直近追尾班だった。
身代金の受け渡しをする雨宮さんを追う役目だ。
あの公園だ。
あの公園に遊びに行き雨宮翔子ちゃんは誘拐された。
サトウと名乗る犯人から身代金2,000万円について指示されていた。
我々は受け渡しに関する3度目の電話を待っていた。
(美雲)もし2度目の電話が逆探知できていたら犯人の声が録音できていたらその後の捜査は違っていたといわれてますよね?そうだ。
そして3度目の電話は翌日の午後4時意外な形で来た。
回想・社長?社長?サトウさんという方から電話ありました。
(漆原)くっそ〜!工場にか!4時半。
葵町喫茶あおい。
え?あと30分もねえじゃねえか!雨宮さん行きましょう。
(雨宮)はい。
奥さんこちらへ。
さあ。
追1から本部現在県道1号線を葵町方向に進行中。
(無線)「本部了解。
追2藤崎町で待機せよ」。
(無線)「追2了解」。
(雨宮)遅いなこの人。
雨宮さん周りは守ってます。
落ち着いて運転して下さい。
(無線)「マル害車両は片山3丁目交差点を通過。
間もなく葵町交差点」。
(無線)「本部了解」。
(無線)「捕捉班より本部店内配置完了」。
(無線)「本部了解。
喫茶店内の状況を知らせろ」。
(無線)「店内には店員男性1名一般客5〜6名のもよう」。
あおいあおい…あおい。
追1から本部。
喫茶あおい到着。
あおい…。
(小声で)焦らないで。
はい。
(無線)「マル害スーツケースを持って店内に入ります」。
・はいもしもし。
喫茶あおいです。
はい…。
はい…。
少々お待ち下さい。
はい。
雨宮様?雨宮様いらっしゃいませんか?はい。
はいはい私…私です。
もしもし?雨宮です。
え?四季遊園地…。
そこ行ったら会えるんですか?…はい。
(無線・松岡)「マル害車両から各局ホシからの指示は四季遊園地だ」。
追1了解。
(無線)「本部から邀撃班。
四季遊園地に転進せよ。
繰り返す。
四季遊園地に急行せよ」。
(アナウンス)「ご来園のお客様のお呼び出しを申し上げます。
雨宮様雨宮様…」。
はい!もしもし?雨宮です。
はい。
え?どこ?そこに?そこにいるんですね?
(無線・松岡)「追1車間距離を十分に取れ。
単独犯とは限らんぞ」。
追1了解。
翔子…。
翔子…。
・あ…あ…あ…ごめんなさい。
もしもし?む…娘はどこにいるんですか?お願いです。
声を聞かせて下さい。
お願いします!え?あっ…。
(小声で)もしもし?サトウさん!サトウさん!言ってません。
言ってません。
(無線)「マル害スーツケースを持って出てきました」。
(無線)「本部了解」。
(望月)おいおいおい!三上どうする?これ。
(望月)どうする?行くよ!よし!追1から本部。
間もなく喫茶チェリーに到着。
・もしもし?チェリーです。
もしもし?あっ…。
もしもし?あああ…雨宮です。
…え?
(クラクション)追1から本部。
店に入ります。
(無線)「本部了解。
追2と連携をとれ」。
(無線)「追2了解」。
いらっしゃいませ。
小学校1年生…。
・あっ。
あっ私…。
えっ…直売所野菜…。
3号線の山!
(松岡)マル害車両から各局。
県道3号線を根雪山方向だ。
根雪山方向。
追1から本部。
現在県道3号線を根雪山方面へ進行中。
(無線)「本部了解。
本部から邀撃班県北方面の配置を強化しろ」。
(無線)「邀撃班了解」。
・はいもしもし?はいすいません!もしもし?雨宮です。
はい。
あいえここじゃない…。
ど…え?あっ…はい分かりました。
そそそ…そこならいるんですね?はい。
翔…翔子を助けて下さい!お願いします!助けて下さい!お願いします!はい!す…すぐ行きます!はい!
(電話を切る音)入った入った。
(雨宮)はい…。
(テレビ)「これまでも陛下のご容体は気の抜けない状態だとしてきました。
しかしここ数日の陛下の精神状態のご衰弱ぶりから見ましても…」。
(松岡)雨宮さん…。
(雨宮)翔…翔…。
翔子〜!
(水に落ちる音)翔子〜!翔子〜!翔子〜!翔子!翔子〜!翔子〜!翔子!翔子〜!翔子〜!翔…翔子!翔子〜!翔…。
(泣き声)
(雨宮)翔子!翔子〜!
(犬の鳴き声)
(無線)「八杉市の線路沿い側溝で発見された死体は雨宮翔子ちゃんと確認。
繰り返す。
発見された死体は雨宮翔子ちゃんと確認」。
スーツケース確保!空です!
(テレビ)「第1回臨時閣議後に申しましたとおり本日中に公布される予定であります。
新しい元号は『平成』であります」。
昭和が終わった。
たった7日間の昭和64年に起きた事件だった。
犯人は命と現金を奪ったまま今も平成の世に紛れ込んでいる
(松岡)昭和64年は終わってない。
必ずホシを引きずり戻す!はい!望月俺だ!美那ちゃんどうしてる?ん?まあ相変わらずだ。
相変わらずベッピンか。
畜生。
実はな今日ロクヨンの関係で雨宮の家に行ったんだ。
やっぱりか。
何だ?「やっぱり」って。
で?俺に何が聞きたい?うちと雨宮の間に何かあったのか?雨宮がうちを嫌うようになる事が。
おいおいうちって俺はもうとっくに辞めた人間なんだぞ。
だから来たんだ。
少しはしゃべれるだろ?はっきり言ったらどうだ?幸田メモの事が知りたいんだろ?幸田メモ?二渡を追い返したからお前が来た。
雨宮が警察を毛嫌いする理由も分からないよ。
ちょっと待て。
なぜ二渡がロクヨンの事を調べてるんだ…。
その幸田メモというのは何だ?幸田というのは幸田一樹の事だろうがな。
ロクヨンの自宅班にいたやつか。
(望月)そうだ。
事件のあと辞職した幸田一樹だ。
幸田はなぜ辞めた?表向きは俺と同じ一身上の都合ってやつだろう。
本当のところは…知らん。
やつは今何してる?行方知れずだ。
行方知れず…?すまん。
はい。
どうした?
(諏訪)広報官すぐに戻れますか?隣が匿名の件で本部長宛てに抗議文を出すと通告してきました。
分かった。
すぐ戻る。
う〜ん…。
ここまで載っけちゃうんだもんな。
時代が違うよ。
美雲さんこれ覚えてる?この事件。
(諏訪)美雲。
はい。
ここの駐車場は?広かった?
(美雲)大丈夫だと思います。
(諏訪)秋川ちゃんここでいいじゃんここで。
ぶら下がり。
随分ととんがった事をするんだな。
そっちの対応がまずいからです。
いきなり県警本部長に抗議文ってのは乱暴すぎるだろ!明日の夕方までに例の主婦の名前を発表すれば抗議は引っ込めます。
譲れない事もあるんだ警察には。
(秋川)それはこっちにもですよ。
誰に渡す?「誰に」?抗議文だ。
もちろん本部長に直接手渡します。
格を下げるって訳にはいかないのか?どういう意味です?抗議文の宛名を俺か秘書課長に変えてくれ。
できませんよ。
総会で決まってしまった事なんで。
だったら…本部長宛てでも俺の預かりにしてくれ。
それじゃ意味がないじゃないですか!本部長に渡らずに握り潰される!本部長宛てに抗議文を出したという事実は残るだろ。
はあ?フッ…。
本当にどうかしちゃったんじゃないですか三上さん。
そんな政治っぽい事考えるのやめましょうよ。
そうなった理由は一体何なんですか?
(諏訪)まあまあまあ。
秋川ちゃん…。
(秋川)教えて下さいよ。
そんな事にエネルギーを使うな。
それより長官視察の方はどうなってる?質問事項は大丈夫なんだろうな?それは匿名の件が済んでから話し合いますよ。
急いでるんだ!明日の4時までに回答を下さい。
それを聞いた上で再度クラブ総会を開きます。
では。
じゃ。
主婦の名前は公表できません。
どうしてもです。
今回の匿名発表は部長判断だったと伺いました。
そうですよ。
ご再考願えませんでしょうか?このままでは記者たちが収まりません。
部長。
妊婦である事以外に何か名前を発表できない理由でもあるんでしょうか?ありますよ。
いいでしょう。
そこまで言うのなら話してあげます。
その妊婦は加藤卓蔵さんのお嬢さんなんです。
回想
(ブレーキ音)
(衝突音)県警公安委員の加藤卓蔵さんでしょうか?
(石井)失礼します。
キングセメントの会長さんです。
圧力がかかったんでしょうか?いいえ。
こっちが気を遣ってあげたんです。
なぜその事をおっしゃって下さらなかったんです!言ってどうなります?あなたは記者と直接交渉する訳ですから知っていれば顔や態度に出ないとは限りませんでしょう。
知らない方が堂々と対応できるじゃありませんか。
何も知らなければ何も話せない。
違いますか?それよりロクヨンの遺族宅のセッティングはどうなりました?どうしました?答えなさい。
(手をたたく音)こっちを見なさい!勘違いしてるといけないので言っときますが広報官をお払い箱になっても刑事部に戻れるとは思わない事です。
それから参考にまで話しておきますが加藤委員の娘がはねた老人ですが1時間ほど前に亡くなりました。
これもまた記者から聞かれなければ話す必要はないと所轄の方には伝えてあります。
もちろんあなたもそのつもりで。
二渡警務調査官。
赤間警務部長に言われて動いてるのか?何の事だ?いやいい。
聞いても言わないだろうからな。
昨日石井課長から聞いたよ。
娘さんじゃなくてよかったな。
何かできる事があれば言ってくれ。
同期のよしみだ。
お前も同期だとは忘れてた。
てっきりキャリア側の人間かと思ったぞ。
そんな事言うな。
しょせんは飼い犬だ。
お前と同じだよ。
よくやってるそうだな。
上は本当によく人を見ているもんだ。
お前を広報官にしたのは正解だった。
その上ってのはお前の事なんじゃねえのか?よしてくれよ。
まあせいぜい頑張って階段を上がってくれ。
お前も頑張れ。
刑事より似合ってるぞ。
広報官。
諏訪係長が秋川さんをアミーゴに誘ったそうです。
分かった。
私も飲みに行かせて下さい。
駄目だ。
やめておけ。
大丈夫です。
行くな。
今後一切だ。
交通事故の老人が先ほど死亡した。
蔵前事実関係を押さえておけ。
はい。
それから隣にはクラブ総会が終わるまで気取られないようにしろ。
何としても抗議文は広報室で食い止める。
いいな?
(諏訪蔵前)はい。
ただいま!今日な。
ん?翔子ちゃん事件のおやじさんに会ってきたよ。
え?雨宮さんに?うん。
お前も会ってるんだよな雨宮さんに。
ああ見かけたってだけよ。
喫茶店の客として駆り出されて。
顔まで覚えてるか?忘れようがない…。
交通課にいたらあんな凶悪事件に関わる事めったにないもん。
雨宮さん奥さんを去年亡くしてすっかり老け込んでたよ。
まあ時効まであと1年。
捜査が底なし沼にはまっちまってるんで警察に失望してるんだろうな。
犯人の声聞いてるの…雨宮さんだけなのよね。
「同じ声を聞けば絶対に分かる」って言ってたよ。
本当に聞きたかったの…そんな声じゃなかったのにね。
(テレビ)「アゴヒゲアザラシのタマちゃんは今朝早く横浜市内の繁華街を流れる帷子川に姿を見せました」。
(テレビ・歌声)回想本当に聞きたいのは…そんな声じゃなかったのにね。
(雨宮)む…娘はどこにいるんですか?お願いです。
声を聞かせて下さい。
翔子を助けて下さい。
お願いします!翔子を助けて下さい。
お願いします!翔子を助けて下さい!お願いします!助けて下さい!お願いします!お願いします!お願いします!翔子〜!
(水に落ちる音)醜形恐怖症という病気はご存じですか?お嬢さんは身体醜形障害だと思います。
この病気は顔だちの整った方に多い病気なんです。
外見に対するこだわりが強いために自分の容姿に不満を感じます。
まあ小さい時からお父さんに似てらっしゃるとかお母さんに似てるとかそういう周りからの声を気にしてず〜っときたものがまあ蓄積されて…。
あゆみ?やっと部屋を出る気になったか。
整形するから。
え?私のためてたお年玉全部下ろして。
あと同意書にサインして。
親の同意が必要なの。
どこを整形するんだ?待ちなさい!あゆみ!ちょっとあなた待って…。
待て!あなた待って待って。
こっちを向くんだ!お前の顔は醜くなんかない。
誰にでも聞いてみろ。
触んないで!あなた!普通の顔だ!やめて…!あんたはいいわよ!醜くたって男なんだから!こんな顔私に押しつけやがって!
(頬をひっぱたく音)ちょっとあなた何すんのよ!この子に罪がある訳じゃないのよ!ねえあゆみ…。
…やめてよ!その顔で私を見ないでよ!・
(あゆみの叫び声と割れる音)あゆみ!あゆみ!?嫌〜!あゆみ!来ないで!あゆみ落ち着きなさい!こんな顔もういらない!死にたい〜!
(叫び声)何でこんな顔…!梓さん秋川記者には談合事件に専念するように言ってくれませんかね?はい?捜査二課はここ数日来八角建設の専務を任意で呼んでいます。
不正入札の黒幕として早ければ近日中に逮捕の運びとなるでしょう。
お勘定。
頂きます。
はいお待たせしました。
お待たせしました。
はいお待たせしました。
お待たせしました。
各社そろってますか?はい。
え〜それではじゃあこれよりえ〜昨日記者クラブより申し入れのありました大糸署管内における重傷交通事故の第一当事者氏名公表要求の件に関して広報官から回答致します。
では回答致します。
本件に関しては第一当事者の主婦が妊娠中であった事を勘案し氏名の発表は差し控えます。
ただし今後また同様の問題が生じた際にはそのつど記者クラブと誠実に話し合う事と致します。
以上。
県警の考えはよく分かりました。
これからクラブ総会を開いて対応を協議します。
ご退席下さい。
じゃあ皆さん総会やりますか。
(一同)はい。
おい!どうなった?まだです。
4時からだろ。
随分かかってんな。
大丈夫なのか?ああご苦労さんね。
全会一致で決定しました。
(諏訪)はあ?全会一致…?
(秋川)これから本部長に抗議文を手渡しに行きます。
梓デスクが肝臓を壊して来週東京に戻ります。
何かせん別を頂いたそうで。
回想頂きます。
さすが刑事部出身だと三上さんに感謝してましたよ。
行くぞ!行こう!おいみんな行こうぜ。
おい!どけ!何をやってる!?
(美雲)広報官!
(諏訪)ちょっとそんな大勢で行く事ないだろう。
やめろ!止めろ!止めるんだ!止めろ!どけ!どくんだ!どいて下さい!止めろ!止めろ!
(秋川)どいて下さい!何をしてる!待て!正式な抗議なのでどいて下さい!お前だけでいいだろ!全会一致ですから全員で抗議します!代表だけでいいだろ!クラブの代表が抗議したら代表だけが報復を受ける可能性がある!信用できないんですよ!警察は!大声を出すな!とにかく代表だけだ!入ろうぜ!
(秋川)失礼します!本部長抗議しに来た。
何をしてる!戻れ!待て!失礼します!本部長!おい!正当な抗議だぞおい!あっ…。
おい!あっ…。
わざとだろ!そこまでやるんですか!?わざとじゃない!三上さんあんた醜いよ!我々は今後一切県警に協力しない。
来週の長官視察の取材はボイコットする!
(波音)2015/04/25(土) 00:10〜01:10
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ 64(ロクヨン)(1)[新]<全5回>「窓」[解][字][再]
地方県警で広報官を務める三上(ピエール瀧)は、警察庁長官視察を取り仕切るよう命じられる。昭和64年の未解決少女誘拐事件「ロクヨン」が、時効直前によみがえる。
詳細情報
番組内容
地方県警の広報官・三上(ピエール瀧)は、高校生の娘が失踪し、妻・美那子(木村佳乃)と共に苦悩の日々を送っている。三上は、突然行われることになった警察庁長官視察を取り仕切るよう命じられる。7日間しかなかった昭和64年に発生し未解決の少女誘拐殺人事件「ロクヨン」が、14年の歳月を経てよみがえる。長官による遺族の雨宮(段田安則)宅への慰問を実現しようと三上は奔走するが、雨宮はなぜかかたくなに拒否する。
出演者
【出演】ピエール瀧,木村佳乃,新井浩文,永山絢斗,山本美月,萩原聖人,高橋和也,村上淳,平岳大,きたろう,入山杏奈,吉田栄作,段田安則,柴田恭兵
原作・脚本
【原作】横山秀夫,【脚本】大森寿美男
音楽
【音楽】大友良英
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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