辺野古移設:「国の審査請求、不適法」沖縄県が弁明書
毎日新聞 2015年04月22日 21時10分(最終更新 04月22日 22時43分)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設を巡り、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は22日、県の移設作業停止指示を不服として沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき林芳正農相に申し立てた審査請求について「不適法で速やかに却下されるべきだ」との弁明書を農林水産省に発送した。
県庁で記者会見した翁長知事は「公正公平に早めに判断してほしい。防衛局の請求を棄却する裁決を期待している」と語った。
県は弁明書で、沖縄防衛局が同じ国である農水省に審査を求めたのは公平性が疑問視されるなどとして「審査請求自体が成立し得ない」と主張。そのうえで防衛局による最大45トンものコンクリート製ブロックの投下を「(県の許可区域外での)岩礁破砕に該当し得ることは明白」として県の作業停止指示は適法と主張した。
農相は今後、県と防衛局から意見を聴くなど審理を進め、知事の指示を取り消すかどうかの裁決を出す。審査期間に期限はなく、数カ月かかるとの見方もある。しかし、農相が知事の指示の効力の一時停止を決めた際「移設工事が中止されれば移設が大幅に遅れ、日米間の外交・防衛上の回復困難で重大な影響が生じる」と日米関係への影響を重視した経緯などから、防衛局の訴えを認めて知事の指示を無効とする裁決を出す公算が大きい。
翁長知事は3月23日、防衛局が県の岩礁破砕の許可区域外に大型コンクリート製ブロックを投下し、サンゴ礁を損傷した可能性が高いとして、辺野古沖での移設作業を1週間以内に停止するよう指示。防衛局が従わない場合は、移設作業の前提となる岩礁破砕許可を取り消す考えも示した。翁長知事はこの日の会見でも「(許可の取り消しは)可能性から言うと十二分にありうる」と話した。
これに対し、防衛局は翌24日、行政不服審査法に基づき農相に審査請求し、指示の効力を止める執行停止も申し立てた。農相は30日に知事による指示の効力を一時的に停止する執行停止を決定し、防衛局は現在も海底ボーリング調査などの移設作業を続けている。【佐藤敬一、江刺正嘉】