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国が滅びる‥ -呪術 犬神-

国が滅びるとまで恐れられ‥ 村人もろとも焼き殺そうとまでした‥ 犬神の呪術…


四国地方を中心に、西日本の一部で今も伝わる呪術「 犬神 」
数百年にわたり密かに受け継がれてきた犬神の術とは… 




● 途絶えたと思われた口外無用の犬神の術 ●

四国地方を中心にした西日本の一部に、今も伝わる「 犬神 」という呪術があります。

以前にも紹介したんですが…

犬神様




◆◆ 犬神 ◆◆

いわゆる憑物の一種です。


犬神は、犬神持ちの家の納戸の箪笥、床の下、水甕(みずがめ)の中に飼われているそうです。

犬神を持った人が他の土地へ行き他人の財宝や道具、美しい娘など何であれ欲しいという欲望を抱くと、
たちまち犬神がその所有者にとり憑いて祟りをなします。

犬神にとり憑かれた者は、高熱を発して悶え苦しみ、
全身を刀や錐で突き刺されるような激しい痛みに襲われます。

この祟りを鎮めるためには、その犬神の持ち主を探し出して、
その者が欲しがっている物や娘を与える以外に手立てはありません。

さもないと‥ 
犬神にとり憑かれた者は、久しく病み臥せった末に、ついには死に至ることになるといわれています…




かつて、その呪いの凄まじさを伝え聞いた土佐の国王が

「 このまま野放しにしておけば国が滅びる 」として、

当時、犬神を信仰していた村々の周囲をことごとく垣根で取り囲み、
火をかけて村人もろとも焼き殺してしまったのです…

それにより、犬神の術は絶えたと思われていたのですが…




言い伝えによれば、
異変を事前に察知していた集落があり、襲撃を受ける直前に一部の者たちが村から脱出しました。
秘伝とされた巻き物を密かに外部へ持ち出すことに成功したというのです。




ある郷土資料研究家によると、

当時、最も犬神信仰が厚かったのは、土佐の国の幡多(はた)という集落だったと言われています。

現在、その集落がどこに位置していたのかは、記録が散逸してしまっているため不明とされているのですが、
長宗我部氏の弾圧を免れた幡多の人々の手により、
犬神の術が西日本の各地方に伝えられることになったと見て、間違いないということです。




その後...
四国だけでなく、山陰、山陽両道の一部地方で盛んに信仰されるようになったと言われる犬神の術。
口外無用とされたその祀り方について、いにしえの書物には以下のように記述されています。




◆◆ 犬神を祀る方法 ◆◆

犬を頭のみ出して土中に埋め、そのまま久しく食を与えず捨て置き、
やがて餓死せんとする時を見計らって、美食をあつらえて、犬の頭より少し離れたところに置けば、
犬は如何にかしてそれを食わんものと悶え苦しんで、その精神は頭に凝り集まる。

その時、不意に後ろから刀を以って犬の頭を打ち落とすと、頭は飛んで食物に喰らいつく。

それを離し取って焼いて骨とし、箱の中に納め人の往来する市街の土中に埋めて、
往来の人にその土を踏ましめ、のちに取り出して携え帰り、その霊に酒饌(しゅせん)を供えて祀る。




こうすれば、その犬の霊は永久にその人に憑いて、その人の欲することを遂げしむるという。

然るに一旦その人にとり憑いたが最後、その人が死すればその子に、
その子が死すればその孫に、或いは他の家族に、その血統のあらん限りは伝わるという。




目の前に置かれた食物を食えずに死んだ犬の怨念を利用するところなどは、
まさにおどろおどろしい限りなんですが、犬神の見た目はほんの米粒ほどの大きさで、
姿形などは普通の犬と何ら変わらないのだといいます。

犬神の持ち主が臨終を迎えると、犬神は主人の体から飛び出して、
その家の後継者に乗り移るのですが、どのような方法をもってしてもそれを防ぐことは不可能であり、
新たに犬神持ちとなった者は、
それを“ 持病 ”として受け入れて生きていくしかないというのがもっぱらだということです。




ちなみに犬神が後継者に乗り移る瞬間を目撃した人々の記録によると、犬神には

○白  ○黒  ○斑  などの種類があり

驚くほどのスピードで後継者の懐目がけて飛び込んでいったと言われています。




□□ 犬神の起源 □□

昔、讃岐の東麦と云う所に某氏がありけり。
仇を報はぬと思うが、其の機会がないので日夜嘆いていた。
ある時、飼犬を首ばかり出して地に埋め、犬の好物の肉を与えて

「 汝の魂を我に与えよ 」と刀を抜いて犬の首を討落した。

犬の首を得た某氏は、仇である人を咬殺して年来の念を遂げた。

それより彼が家に伝わって犬神というものになり、婚をするとその家に伝わり、
土佐国へは境隣の者が波国より婚姻したので入り来ったのである。


ある女が犬神に憑かれて病気になった。兄が犬神持ちの家に行くと、
庭に箕(み)が伏せてある臼があり、その中に犬が11匹いた。
湯をかけて犬を殺すと、病気は徐々に平癒した。




犬神の起源として、
源頼政がヌエ(頭は猿、胴は犬、尾は蛇、手足は虎、声はトラツグミに似た妖怪)を退治したとき、
体が4つに切れて全国に飛び、胴体が土佐に落ちて犬神になったといわれています。




● 犬神の効果 ●

ネット上のあるサイトには、犬神に実際にとり憑かれた人の観察メモが掲載されています。

1998年1月
Aさんは突然、38度後半〜39度台の高熱に襲われます。

そして、何日間も発熱が続きます…

○激しい悪寒  ○息苦しい  ○身動きできない  ○胸や腹に激痛が走り、苦しむ

このような状態が4、5日続いたあとに、夜金縛りになって、
黒いモノが身体から出たり入ったりする感覚を得たようです。




5日目から室内に悪臭が漂い始めます。
生臭くすえたような臭いがする。

生ゴミの悪臭かと思い、部屋の中をくまなく探したのですが悪臭源を特定することはできませんでした。
この時点でAさんは呪詛をかけられたと確信します。

身体が衰弱していき、起き上がることも困難になっていきました。

しかし、このまま放置していても確実になぶり殺しになるだけなので、
自力でこの窮地から脱出するためには、ひたすら拝み返すしかないということで、
身体を起こして拝み返したようです。




拝み始めると、奇怪なビジョンが現れます。
自分の腹から犬の首が出てきたのです。

種類は犬とオオカミの中間に見え、黒に近いまだら模様のある犬の首。
口を開け、牙をむいて、よだれを垂らしているような形相。
腹から顔と顔が向き合う格好でニョキッと出てきたようです。

これを見て恐怖に駆られたAさんは、
自力での回復が困難であると判断し、拝み屋の所へ行って祓ってもらうことにしました。




7日目のことです。
拝み屋はAさんの様子を見て、即座に

「 これは犬神に食いつかれておる。命を取りに来ている 」と述べて、

早速祓いに入った。
祓ってもらって約10分後、体温を計ると熱も下がり、通常の体温に戻ったそうです。

これがもし事実であれば、本当に凄まじいですよね・・




犬神を持っている者たちは、あまりにもその呪いが強烈だったために、

「 犬神使い 」として崇め奉られる一方で、その家の者たちは

「 犬神筋 」として “ 村八分 ” にされるという差別を受けていたのです…




実際、縁談が持ち上がると媒酌人が系図調べと称して、まず第一に犬神の有無を詮議します。

直系の犬神筋はもちろんのこと、親戚に犬神使いがいた場合には、
絶対に婚姻を認めなかったと言われています。




● 犬神の祟りを国も恐れたきっかけとなる事件 ●

数百年にわたって密かに受け継がれてきた犬神の術…

本来なら、日陰の存在だったはずの同術が、
国主から激しい弾圧を受けることになった背景には、こんな事件の影響があったのです。

ある時、土佐国内の某村で、村人たちが集団で発狂します。

夜な夜な、
錯乱状態の男たちが踊りわめきながら、次々と裕福な家ばかりを襲撃するという怪事件が発生しました。




すぐに庄屋の要請を受けた役人が乗り出し、
暴れまくる男たちを手当り次第に捕まえていったのですが・・

正気に戻った男たちの証言により、彼らが犬神の術に操られていたことが明らかになります。

事件の一部始終を聞き及んだ国主の長宗我部氏は、
いつの日か同様の災いが自分の身に降りかかってくることを恐れるあまり、国中の家臣たちに

『 犬神下知状 』なる文書を通達します。

村ごと焼き払ってでも、犬神の術を根絶するよう命じたのです…




しかし...




それでも犬神使いたちは、歴史の闇を生き延びたのです。
こうしている今も、あなたのすぐ近くで、彼らの生き残りがじっと息を潜めているのかも知れません…



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