新井 光雄 ジャーナリスト | |
元読売新聞・編集委員。 エネルギー問題を専門的に担当。 現在、地球産業文化研究所・理事 日本エネルギー経済研究所・特別研究員、総合資源エネルギー調査会・臨時委員、原子力委員会・専門委員 大正大学非常勤講師(エネルギー論)。 著書に 「エネルギーが危ない」(中央公論新社)など。 東大文卒。栃木県日光市生まれ。 |
エネルギー政策論議はしばし凍結を (2011/04/04) | |
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しかし、大綱、それにエネルギー基本計画の見直しといった課題は今、議論すべき問題ではない。なぜなら、理由は簡単だ。結論が感情的に出てしまうからである。今、テレビ、新聞、ラジオには反原発ムードがにじみ出てきている。明確に出ているものも少なくない。 NHKですら、反原発論者に時間を提供している。しかし、必要とする立場の論者はほぼ皆無。せいぜい事故の解説に終始している。 確かにこの状況下で、反は言えても賛成・支持は口にし難い。ある意味で日本的な心情なのだろうと思う。多くの退避者の存在を思えば、是認の発言は抑制されて当然なのかもしれない。 いずれにしても、目下は政策論議をする段階にはないということだ。今、議論すれば、冷静な将来を見据えた議論にはならず、将来に禍根を残してしまう。反原発への傾斜は理解するが政策は冷静に議論されていかなければならないものだ。 これについては責任論も同様だろう。はやくも東電の責任論がまことしやかに流れ出したり、経済産業省、保安院、原子力安全委員会などについても、責任を求める声が出だしている。これも心情的には当然なのだが、性急に決めるべきものではないはず。肝心なことは目下、事態が進行中という認識である。沈静化しても、問題解決には相当の時間がかかる。要するにそんなことをしている暇はないということだ。 従って今はエネルギー政策論議は当面凍結、責任追及も棚あげし、すべての力を福島一の沈静化に集中すべきだ。エネ政策では第一次石油ショック後に「ガソリンの独歩高」という政策が禍根を残したことがある。非常時にやむなし、とした政策が社会をゆがめてしまうこともある。原子力に関する政策は長期的な時間の問題もからむだけに慎重なうえにも慎重に進めるべきであり、目下の流動的な状況で、あれこれの安易な議論は慎むべきではないだろうか。 |
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