小学生は週100球まで…少年の故障防止へ 1万人調査で見えてきた投球基準
デイリースポーツ 3月24日(火)11時0分配信
球春到来を告げる選抜高校野球大会が21日に開幕した。2年前の大会では、済美・安楽智大(現楽天)が5試合772球を投じ“投げ過ぎ論争”が巻き起こったことは記憶に新しい。日本高野連は、選手の健康を守るためのタイブレーク制採用に関する特別規則の改定も20日に発表した。
投手が故障した時、球数制限の議論が必ず持ち上がる。若年層の健康管理の重要性が叫ばれる中、今月4日、興味深い実態調査報告が上がった。アマチュア野球を統括する全日本野球協会が中心となって昨年7月から今年1月にかけて実施した、少年野球チーム(軟式、硬式)に所属する小学生が対象のアンケートで、回答者は1万228人。これだけの規模の調査は、世界的にも初めてだという。
調査では、全体の57・5%に当たる5880人が「これまでに何らかの痛みを感じたことがある」と回答。投手で肩、肘の痛みを経験したのは、ほぼ2人に1人となる49・3%にのぼった。また、捕手も39・9%、投手兼捕手(投手も捕手も経験した選手)は56・4%という数字が出た。
20年前にも子供のケガ予防に関して投球制限などの提言がなされている。だが、それが守られず、大会の優勝投手がのちに故障で投手を断念したなどの事例が複数確認されたことが、今回の調査のきっかけとなった。
調査を担当した、日本整形外科スポーツ医学会理事長で群馬大医学部の高岸憲二教授は「日本人は精神面を重視する傾向がある。論理的な材料を提示する必要があった」と説明。米国に比べると練習のベースが高過ぎ、骨軟骨障害の頻度は高いという。群馬の高校監督からは「高校に来た時には(選手が)つぶれている」という残念な言葉を何度も耳にしたそうだ。
選手と同時に行った指導者へのアンケートでは、練習後のクーリングダウンを実施している割合は85・4%と、意識は高まっている。一方で、投手の投球数に関して何の指示もしていなかったり、オフシーズンを設けていない指導者がともに3割にのぼっており、改善が求められる。
調査によって、新たな傾向も具体的なデータとして、明らかになってきた。肩、肘に関しては、野手、捕手、投手、投手兼捕手の順で、痛みを訴える選手が多くなっている。また、投手の全力投球の投球数がこれまでの指針である週200球ではなく、週100球を境に故障の可能性が上がっている。
これを受けた考察では−
・捕手も投手の次に肩肘痛が多く、この2つのポジションの兼任はさけるべき
・投手と同様に、捕手の投球(送球)制限も設ける必要があるのでは
・1週間の全力投球数は、100球未満と100球以上で傾向に差が出るため、投球制限について真剣に考える必要がある
・野手も週2日間は休むべき
といった新たな提言がなされている。
調査は同じチームに来年度も継続して行われる。2年間追跡することで、データの有効性はより高まり、少年の故障予防につながるだろう。
昨年の田中将大(ヤンキース)、そして今春のダルビッシュ(レンジャーズ)と、日本を代表する投手が肘の故障に見舞われ、米国でも日本の少年期の育成に問題点があるのではという報道があった。
日本は高校野球には世間一般からも高い興味が寄せられる。一方、小中学生の選手の体調管理については、あまり取り上げられることがないのが現状だ。個人的には、高校生よりもさらに体ができていない小中学生の方が、より綿密なケアが求められると感じる。今回の調査が、少年野球を取り巻く環境に一石を投じ、1人でも多くの選手の健康が守られるようになることを願っている。
(デイリースポーツ・藤田昌央)
最終更新:3月24日(火)15時16分
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