藤田俊哉さんの送別試合に駆け付けた。僕は体が悪くてプレーできないのが残念だったが、清水商、筑波大の先輩でもある俊哉さんの新しい出発をみんなと一緒にお祝いしたかった。
俊哉さんらしいなと思ったのは、引退試合という言葉を使わなかったこと。選手を辞めても、サッカー人生は続く。終わりというイメージにしたくなかったんだと思う。そう言えば去年、札幌を退団した中山さんも、引退という言葉を避けていた。体さえ戻ればピッチに戻りたいという思いがにじみ出ていた。サッカー界を引っ張ってきた先輩たちの、サッカーへのこだわりや愛着は、きっと次の世代に受け継がれていく。
もう一つ素晴らしいと思ったのは、送別試合が磐田の仕切りで開催されたこと。俊哉さんは05年の途中まで磐田に在籍した後、グランパス、熊本、千葉でプレーしている。磐田で黄金時代を支えたのは10年ほど前のことだが、その功労者のために盛大なイベントを用意した。OBに敬意を払う姿勢には、クラブとしての伝統を感じる。クラブと選手の本当の信頼関係は、チームを離れてから分かるのかもしれない。 (Jリーグコメンテーター、元名古屋グランパスMF・望月重良)
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