特集
【十勝活性化の処方箋】■2
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
リスクを取らずしてリターンなし _____
_____ 米系大手証券会社ディレクター・柏尾哲哉氏
変化見通し社会資本整備を
−どんな環境で育ちましたか。
父の教育方針は「褒めて育てる」でした。小学生のころから2人でよく世相について議論しましたが、物事を秩序立てて考える力はこの過程で養われたのかもしれません。実家は帯広で眼鏡店を営んでいましたが時代の流れと共にかつての勢いがなくなり、その反動もあって大学に入るまでは安定的収益が得られる手段として、学歴信仰がありました。
−それが就職されてから変化していったわけですね。
最初に就職した証券会社は後に破綻(はたん)しましたが、個々の従業員はよい人ばかりでした。善意で行動していても、組織としての主体性を失うと簡単に破綻してしまう恐ろしさを知りました。転職した法律事務所では出向でIT企業の上場準備や上場断念、身売りの後始末を主導し、次に移った外資系法律事務所では事務所自体が日本から撤退するなど、まさに天国と地獄を味わいました。
結局、学歴主義に楽園はなく、人と同じ事をしていては駄目。リスクを取らずしてリターンはないと悟りました。現在、専門にしているコンプライアンスも日本ではまだ誰も本格的に取り組んでいなかったのがきっかけです。
−そのような経験から現在の十勝はどう見えますか。
昔に比べて特に駅前に活気がありません。老齢化が進み地元商店街の衰退も著しい。“井の中の蛙”でやっていけるのであればそれでよいのでしょうが、現実には行き詰まっている。
−何から手を付ければよいのでしょうか。
変化を見通して将来像を描くことです。政権が代わり地方へ財源・権限委譲される局面にある今、中心部の景観をそろえて集客できる環境を整えるとか、お年寄りに優しい街づくりをするとか、社会資本整備には千載一遇のチャンスです。
主要産業である農業も品質やブランド維持のために経営手法は法令順守を含め最先端であるべきです。教育面では現在の国から与えられたカリキュラムから脱却し、自分の住んでいる社会に何ができるのかを学ぶことを重視するべきです。
−その改革は誰が主導するべきだと思いますか。
自治体や地元リーディング企業が先導するのでしょうが、歴史的にクラーク博士や依田勉三が外部からやって来て大きな役割を果たした経緯があるように、地元に根付くことを条件に、人材は外部調達するのが現実的です。
------------------------------
柏尾哲哉 米系大手証券 法務・コンプライアンス本部エグゼクティブ・ディレクター(弁護士)。帯広市出身。帯広柏葉高、京大卒。国内証券会社を経て96年に弁護士登録。2004年から内閣府法令遵守対応室室長を務める。43歳。
- 【十勝活性化の処方箋】■3(2009/11/03)
- 【十勝活性化の処方箋】■1(2009/10/20)
- 【十勝活性化の処方箋】 一覧