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 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働について、福井地裁は先週、運転を禁じる仮処分を出した。一方、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の再稼働について、今度は鹿児島地裁が22日に運転差し止めを求めた住民の仮処分の申し立てを却下した。

 福井地裁は原子力規制委員会の新規制基準を「緩やかにすぎ、合理性を欠く」と指摘。一方、鹿児島地裁は「不合理な点は認められない」という判断を示した。国民には原発への疑問や不信感が根強くある。対照的な二つの司法判断をどう受け止めて良いか困惑するだろう。

 今回の決定は、原発の安全をどこまで高めればよいか私たちに再考を促すものとなった。今後も議論を尽くすべきだが、政府もリスクゼロを前提にした「安全神話」を否定するからには、事故後の備えにもっと力を入れるべきだ。原発から30キロ圏内にある小中高のうち、避難訓練を実施しているのは3割にとどまるという文部科学省調査が最近発表された。