外交部の関係者はこの日「安倍首相の発言だけをもって『安倍談話』の内容を先に断定するのは困難なため、まずは見守ろう」と話した。国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授も「安倍首相も国内外の反応を見るためにあのような発言をした可能性がある。謝罪や反省のレベルがどの程度になるのか、『侵略戦争』や『植民地支配』という文言が入るのかといった点がカギになるが、まだ具体的な内容を推し量るのは早い」と指摘した。
外交筋は「安倍首相がインドネシアのバンドンで行われるアジア・アフリカ会議(22日)や、米国議会の上下両院合同会議(29日)で行う演説が、『安倍談話』の内容やレベルを推し量るリトマス試験紙になるだろう」と語った。政府はとりわけ、米国議会での安倍首相の演説に注目している。外交部のある元官僚は「もし、安倍首相が米国議会の演説で、歴史問題についてあいまいにし、米国側もこれを問題にしなかったとすれば、これは韓国外交の失敗ということになる。政府にとっては、1週間後に対米外交の成否が明らかになる状況だ」と話した。
外交部の関係者たちはこれまで「歴史問題に関する限り、日本よりも韓国の方が道徳的に優位に立っている」として、日本との対米外交戦で自信を見せてきた。だが最近、米国の高官たちが安倍首相をかばうような発言を繰り返すなど、現地の状況は韓国政府の期待とは違う方向に変化しているとの見方が出ている。安倍首相が韓国など周辺国家の目を意識していないかのような言動を繰り返していることも、米国での友好的なムードを察知したためだというわけだ。
もし、安倍首相が米国議会の演説で歴史問題についての謝罪を省き、米国政界もこれを問題にしなかった場合、韓国政府の日本に対する「ツートラック・アプローチ」は危機に直面せざるを得ない。
ある外交筋は「ツートラック・アプローチが失敗に終わった場合、韓日関係の改善が困難になるのはもとより、韓米関係にも悪影響を与えかねない」と懸念を示した。