辞意を表明した李完九(イ・ワング)首相が4月9日に緊急記者懇談まで開いて語った内容も、まさに“崔南善史観”なのだ。李首相は、日本という国をつくってやったのは新羅ではなく百済としたが、これは彼が忠清道(チュンチョンド=旧百済地域)出身だからだろう。一国の首相まで“崔南善史観”に染まり切っているのだ。
実際のところと言えば、日本列島には、朝鮮半島よりずっと前から土器があったし、稲作もあった。が、そうした考古学的事実など、彼の国の「アンチ知性主義」には立ち入れない。
ここはひとつ、彼の国の人間になり切ったつもりで、「昔の倭は未開の地であり、半島の人間が、そこに渡り、あらゆることを教えてやったのだ」と大脳に刷り込んでみよう。
その大脳をもって、今日の日本を見たら、どうか。日本に昔から伝わる“良い物”はすべて、わが半島の人間が教えてやったことであるはずだ−としか思えまい。
かくて、彼らは日本で“良い物”を見るたびに「ウリジナル」を発するのだ。根拠を問われたら…それは、後で考えて貨車に積む。これぞ、次から次へ出てくる「ウリジナル」の根源的なメカニズムなのだ。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。