「ウリジナル」と言えば、「良い物、何でも韓国起源論」のことだ。ウィキペディアで「韓国起源論」を見れば、無数に出てくる。このシリーズでも、何度も「ウリジナル」に触れたが、今回は「ウリジナル」が次々と発生してくるメカニズムについて説明する。
《日本列島は、未開の民が住む地だった。朝鮮半島から渡った人間が、あらゆることを教えてやり、彼らはようやく文化・文明を知った。そういう経緯もあり、新羅は日本列島に多数の植民地を持っていた》
崔南善(チェ・ナムソン)氏という朝鮮の歴史家が戦後4カ月で書き上げた歴史書『国民朝鮮歴史』(日本語版は山田昌治訳「物語朝鮮の歴史」1988年、三一書房)には、こんなことが書いてある。
崔氏は三・一独立宣言文の起草者だったが、いつしか転向して、朝鮮総督府の朝鮮史編集委員、総督府中枢院参議、満州・建国大学教授と、親日派の道を歩む。彼が終戦から4カ月後に上梓したのが『国民朝鮮歴史』だ。
日本にもあったではないか。「皇国史観の徒」だった歴史学者、家永三郎氏が、いつしか左翼に転向したばかりか、国を相手取った歴史教科書裁判の原告ヒーローになった面妖なる事実が。
崔氏の場合も同様だ。「私は、本当は反日だったのです」とばかり、『国民朝鮮歴史』で「未開の民が住む倭に朝鮮半島の人間があらゆることを…」と書いたのだ。
崔氏自身は「親日派」の汚名を免れなかったが、その対日史観は独り歩きして、韓国中に広まった。多くの韓国人は、そんな転向者が4カ月で書き上げた史観とは全く知らずに“崔南善史観”を語るのだ。