トヨタ:世界販売、VWに抜かれる 14年度
毎日新聞 2015年04月23日 20時48分(最終更新 04月24日 00時13分)
トヨタ自動車は23日、グループのダイハツ工業と日野自動車を含む2014年度の世界販売実績が前年度比0.3%増の1016万8000台だったと発表した。3年連続で過去最高を更新し、2年連続で1000万台の大台に乗せた。一方、独フォルクスワーゲン(VW)は、速報値をもとに計算すると、同年度にグループで約3%増の約1019万台を販売し、トヨタを上回って初めて世界首位に立った。
トヨタ単体の海外販売は、ガソリン安や景気回復が続く北米で8.5%増の263万2000台、世界最大の市場の中国も7.4%増の103万2000台と好調だった。だが、消費増税後の需要減が長引いた日本国内の販売は、11%減の146万6302台と4年ぶりに前年度を下回った。
一方、VWは中国で13年8〜10月に三つの新工場を稼働させるなど積極的な投資で生産・販売を拡大。トヨタとの世界販売台数の差は、13年度に27万台に縮まっていた。
トヨタはかつての拡大路線を転換し、13年度から3年間を目安に工場新設を凍結。台数よりも生産性や収益力の向上に徹してきた。そのため「首位が入れ替わることは織り込みずみ」(幹部)としている。
今月15日には、需要が変動しても利益が出せる生産技術を確立したとして、メキシコと中国に工場や生産ラインを新設する方針を発表するなど攻勢に転じている。世界販売を巡る競争は1000万台を超える規模でさらに激化しそうだ。
自動車アナリストの中西孝樹さんは「一時的に首位に立っても永続的に繁栄できないのは米ゼネラル・モーターズ(GM)の破綻が証明している。単純に規模が強みとは言い切れず、市場の変化に対応しながら成長し続ける企業が勝者だ」と指摘する。【和田憲二】