2015-04-23 Thu
2013年制作 仏/英
監督:スティーヴン・フリアーズ
≪キャッチコピー≫
『それは、人生を取り戻す旅』
≪ストーリー≫
1952年アイルランド、未婚の母フィロミナは強引に修道院に入れられた上に、息子の行方を追わないことを誓約させられてしまう。その後、息子をアメリカに養子に出されてしまった。それから50年、イギリスで娘と暮らしながら常に手離した息子のことを案じ、ひそかにその消息を捜していたフィロミナ(ジュディ・デンチ)は、娘の知り合いのジャーナリスト、マーティン(スティーヴ・クーガン)と共にアメリカに旅出つが……。
≪感想≫
実話を基にしたお話。
「事実は小説より奇なり」
なんて言葉がありますがまさしくその通りなストーリー。
1950年代アイルランド。
フィロミナは親から強制的に修道院に入れられる。
ある日、外出先で出会った男を結ばれ子どもを授かるがカトリックでは、
婚前外の性交渉は罪とされ、産まれた子どもを奪われてしまう。
3歳になった息子は、強制的に養子にされそれ以後、フィロミナは息子に会えずに
過ごしていた。
50年後、フィロミナは意を決し離れ離れになった息子を探す事にするが・・・。
ここからが大変。
息子はアメリカに養子に出されていた事実。
息子はレーガン大統領やブッシュ大統領の主要顧問だったという事。
そして彼はゲイだったという事。
そして彼もまた母親を探していたという事・・・。
めくるめく展開。
浮き彫りになっていく事実。
映画として、とても見応えがありました。
次々と解き明かされていく謎は、極上のサスペンスドラマを観ているよう。
お話の展開や作りがまず上手いなと。
物語が放つ空気感も良かったです。
正直、お話だけ聞いていると、メチャクチャ腹立たしくて重苦しいんです。
ただ、主役の二人(特にフィロミナ)の少しユーモラスな掛けあいを観ていると、
少し軽やかささえ感じたんですよね。
演じた役者さんも素晴らしかったです。
フィロミナ役のジュディ・デンチ。
彼女は本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたそうです。
流石です。
もう一人の主役、スティーヴ・クーガンも良かったです。
少しやぼったくてインテリ風の記者を見事に演じていました。
ここからは映画とは別のお話。
本作で起こっている事は事実なわけで。
ここで描かれているのは信仰心とはなんぞやというお話。
フィロミナは自由を奪われ、子どもを奪われ、それでも神を信じ、信仰心を失う事は無い。
息子を奪った修道院のシスターに対しても彼女は
「あなたを赦す。」
と・・・。
むむむ・・・。
確かに起こった事を受入れそれを赦す事は、次なるステップへの方法の一つだとは思うし、
それで、フィロミナが救われ生きていけると言う事はとても素晴らしいと思うんです。
ただ、個人的にはやっぱりこの修道院やそこで教えられている事は、
どうにも納得いかないんですよね。
あるべき姿が失われているようで・・・。
とまぁ、鑑賞後はもやもやっとしていたのですが、よくよく、考えると、フィロミナも赦したとはいえ、
記事にしてくれとも言った。
それによって、この事実が世間にさらされこういう事が二度と起こらないような仕組みづくりの
一旦にはなったから良いのかなとも感じたり。
宗教とは何ぞや。
この映画でも語られていましたが近年、カトリック教会で行われてきた「性的虐待」が
明らかになってきているんですって。
こういう事件って被害者も、被害者と感じている事もなく、一種の洗脳や催眠と
通ずるものがあるのでは。
個人間では成り立っている関係だから、良いのかと過りつつも、やっぱりそれは
間違っていると強く憤ったり。
個人的には信仰することで盲目的になるのではなく、あくまでも信仰は幸せに生きるための、
バランスアイテムなのではないのかなとも思ったり。
なんて事をつらつらと書きつつも正解は見つからず。
ただやっぱり、本作で描かれている事は絶対に間違っていると思うし、
その真実を知った衝撃はすさまじい。
それでも先に書いたとおりそんな重いお話を軽やかに、ユーモラスに描いた本作は
やっぱり素晴らしいと言わざるを得ない。
お勧めですよ。
≪点数≫
9点
(15.03.27鑑賞)
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