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 【午後3時】両対局者におやつが出された。羽生名人はイチゴとホットコーヒー。イチゴは地元特産の「濃姫(のうひめ)」というブランドで、甘みと酸味のバランスが絶妙という。

 一方の挑戦者は、かなりお気に入りだったか、1日目と同じイチゴ大福2個とよもぎ餅1個。あわせて「4時にホットコーヒーを追加で」注文しているとのこと。(深松真司)

■午後の戦いに

 【午後1時30分】対局が再開した。羽生名人はすぐに▲7六銀。前線へと銀を進出させた。その時点では行方八段はまだ不在だったが、ほどなくして登場。数分考えて△2三金と指した。互いにもう少し陣形整備が続きそうだ。(村瀬信也)

■昼食休憩に

 【午後0時30分】正午ごろ、1時間以上考えた行方八段は△2四歩を着手。羽生名人が37手目を考慮中に昼食休憩に入った。午後1時30分に再開する。

 昼食の注文は行方八段が、古い街並みの中にあるうなぎ屋「うな信」の「うな丼」。羽生名人は洋食屋「アリス」の飛驒牛黒カレー。2人ともしっかりご飯もののメニューで、いずれも出前で取り寄せた。食後に行方八段はホットコーヒー、羽生名人はホットレモンティーも追加した。(村瀬信也)

■穏やかな流れに

 【午前11時30分】羽生名人の封じ手▲3六飛は相手の出方を見た一手。激しい展開になることも予想されたが、行方八段がおとなしく△3三金と3四の歩を守ったため、穏やかな流れになった。互いに小考を繰り返しており、35手目▲7七銀に対しては行方八段が1時間以上考えている。

 解説の杉本昌隆七段は「これから互いに陣形の整備を進めそうです。先手の陣形の方がまとめづらく、構想力が問われます」と話す。

 夕刊の記事向けに棋譜を1枚取りに行った記者が対局室に戻しに行くと、立ったまま中庭を眺めている羽生名人とすれ違った。頭と目を休めていたのだろう。名人戦ならではの長丁場の戦いが佳境を迎えるのは、まだこれからだ。(村瀬信也)

■歴史ある対局場、高山陣屋

 国史跡「高山陣屋」は、江戸時代に代官や郡代が政治を行った場所。裁判などが行われた他、役人たちの住居でもあった。明治維新後も主要な建物がそのまま地方官庁として使われた。徳川幕府の郡代役所としては唯一現存している建物で、現在は岐阜県が管理している。

 対局室となった「嵐山之間(らんざんのま)」は郡代が生活した部屋で、1996年に復元された。冷暖房の装置がないため、室内にはホットカーペットが敷かれ、ストーブが置かれた。

 床の間には、南宋の政治家、文天祥がしたためた「忠孝」という書の複製が掲げられている。陳舜臣の「チンギス・ハーンの一族」にも描かれた文は、忠臣の鑑(かがみ)として日本でも親しまれてきた。

 高山陣屋管理事務所の宇津宮清和所長(54)は「天候に恵まれて良かった。このまま無事に終えられれば」と話している。(村瀬信也)

■封じ手は▲3六飛、2日目始まる

 羽生善治名人(44)が挑戦者の行方尚史八段(41)に先勝して迎えた第73期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局は23日、岐阜県高山市の国史跡「高山陣屋」で再開され、2日目に入った。

 1日目の指し手が並べ直され、午前9時、立会人の森雞二(けいじ)九段が封じ手を開封。前日夕に羽生名人が封じていた27手目は▲3六飛。行方八段が直前に指した△3四歩に狙いをつけた一着。昨日の段階ではあまり候補に挙がっていない手だった。

 持ち時間は各9時間で、1日目の消費時間は羽生名人が4時間20分、行方挑戦者が3時間52分。本日夜までに終局の見込み。(深松真司)