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2015-04-22 映画『トレマーズ』シリーズ/ネタバレ感想/解説

本日、午後のロードショーで『トレマーズ』が放映される。「おお!あのB級モンスター・パニック映画か。懐かしいなあ」と思ったら、『新トレマーズ -モンゴリアン・デス・ワームの巣窟』という全く関係ないパチモンであった。紛らわしい!
ちなみに、本家『トレマーズ』とは、1990年に製作されたロン・アンダーウッド監督の作品で、プロデューサーは当時『エイリアン2』や『ターミネーター2』などの大ヒット作を次々と世に送り出していたゲイル・アン・ハード。主演はケヴィン・ベーコンとフレッド・ウォード。『ジュラシック・パーク』のアリアナ・リチャーズがサブキャラで出ている。
■あらすじ「人口わずか10数人のアメリカ西部の町パーフェクションで、最近小規模な地震が頻発していた。何でも屋のバレンタイン(ケヴィン・ベーコン)とアール(フレッド・ウォード)は、地質学者のロンダ(フィン・カーター)と謎をさぐるうち、この荒野の地下を猛スピードで動き回る巨大生物がいることを知る。”グラボイズ”と名付けられたこの怪獣は、10メートル近い体の先端に巨大なアゴを備え、地中を掘り進んで生き物を喰い尽す恐ろしいバケモノだった!通信手段を断たれ、陸の孤島と化したパーフェクションを舞台に、人類と地底怪獣との壮絶な戦いが始まる…!」
まず、地面の下にデカい怪物が潜んでいて、そいつがいきなり「グワーッ!」と姿を現し、人間に襲い掛かってくるというアイデアが抜群に面白い。地表スレスレを進むグラボイズが地面をボコボコとめくり上げながら迫って来る映像はまさに”陸上のジョーズ”と呼ぶに相応しいインパクトで、怪獣映画ファンを狂喜させた。
だが本作は、単に海のサメを陸に置き換えただけではない。「人が喰い殺される」という状況自体は非常に恐ろしいのに、映画の雰囲気は『ジョーズ』と違ってかなりユーモラスなのだ。それは、ケヴィン・ベーコンとフレッド・ウォードのドタバタコンビが繰り広げるアクションが想定外に面白く、他のキャラクターもヘンな人たちばかりが集まっているせいだろう。
中でも、重度のガンマニアとして自宅の地下に大量の銃火器をコレクションしているバート(マイケル・グロス)の活躍ぶりは凄まじく、自慢の銃を駆使してグラボイズに立ち向かう場面は痛快だ。しかも、旦那だけでなく奥さんも同じく銃オタクで、夫婦揃って巨大モンスターを退治するシーンは圧巻と言えよう。
また、「グラボイズは目が見えず、音や振動をキャッチして襲い掛かる」という設定も秀逸だ。これにより、どうやって音を立てずに地面を歩くか?とか、家の屋根に避難した人がどうやって隣の家に移動するか?など、工夫を凝らしてピンチを切り抜ける展開が緊張感を盛り上げ、同時にコメディ要素を増幅させている。
さらに、グラボイズ本体の造形もユニークで、鉤状の口をガパッと開くと、中から数本の触手のようなものが飛び出し、これが人間に絡み付いて地面に引きずり込むという、何とも醜悪な仕組みなのだ。体表は固いが、銃で撃たれると絶命する。体液は鮮やかなオレンジ色で、爆裂すると周囲に内蔵が飛び散り、物凄い悪臭を放つなど、存在感も抜群である。
日本では『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』と同時上映で公開され、低予算B級ムービーとしては一部で絶大な人気を得たらしい。その後、続編の『トレマーズ2 グライボイズの逆襲』が作られ、アールとバートが主人公に昇格。舞台をメキシコに移し、再びグライボイズとの戦いを繰り広げる…という具合にシリーズ化されていった。
しかも、シリーズを重ねる毎にグライボイズが進化し、『トレマーズ2』では”シュリーカー”という新種が誕生。巨大なアゴがついたダチョウのような姿に変わり、2本の足で地上を走り回るのだ!さらにこの新怪獣、旧グライボイズと違って、獲物の熱源を感知して襲い掛かる!前作は”音”だったが今度は”熱”。毎回、色んなアイデアで楽しませてくれるよなあ(笑)。
そして『トレマーズ3』に登場する”エル・ブランコ”という新種は、”電波”を探知できるようになった。さらに”アスブラスター”という新種に至っては、翼竜のような姿に進化し、とうとう空を飛べるようになってしまう!このまま進化が進めば無敵の生物が誕生するぞ!ちなみに本作の舞台は再び1作目のパーフェクションへ戻り、主人公は銃オタクのバートになった。
前作でシリーズは終了したかに思われたが、さらに続編の『トレマーズ4』が作られてビックリ。しかも、1作目の100年前が舞台!主人公はバートのご先祖さま!つまり、この『トレマーズ』シリーズは、銃オタクのバート一族とグライボイズとの100年以上に渡る戦いを描いた壮大なサーガだったのだ!「西部劇プラス怪獣映画」という他に類を見ない異色のコラボが素晴らしい(^.^)