スズキ:187万台リコール…過去最多 9車種、火災恐れ

毎日新聞 2015年04月22日 20時52分(最終更新 04月22日 22時06分)

 スズキは22日、エンジン始動スイッチに不具合があるとして、「ワゴンR」など乗用車9車種計187万2903台(1998年8月〜2009年8月生産)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。1回の届け出台数としては、リコール制度ができた69年以来、過去最多。同社は先月にも同じ不具合で3車種をリコールしており、総計は199万8658台に達する。

 国交省によると、9車種は「アルト」「Kei」「ワゴンR」「ツイン」「スイフト」と、提携生産したマツダの「キャロル」「ラピュタ」「AZ−ワゴン」、シボレー「クルーズ」。エンジン起動時にキーをひねると作動するスイッチ内の、潤滑剤の成分が不適切なため、使用を続けると接点の摩耗などで電気が流れ続ける状態となり、発熱して異臭を発したり、発煙、火災が起きたりする恐れがある。

 国交省は22日、不具合情報の収集や重要案件の社内での情報共有体制に不備があったとして、スズキに対してリコール関連業務での改善措置を検討するよう文書で指導。1カ月後の報告を求めた。

 今回のリコール対象となった車種では、04年12月〜昨年10月に計89件の不具合が確認され、うち67件で発煙事故が発生。対象車には「スイフト」1221台を含む計1290台のパトカーが含まれているが、不具合は確認されていない。

 スズキは3月、今回と同じ不具合が原因で火災などが起きたとして、「ソリオ」など3車種計12万5755台(99年5月〜10年8月生産)をリコール。この対象には全国のパトカー計2103台が含まれ、7道県でパトカーからの発煙が17件、パトカー以外でも12件の発煙が確認された。けが人はなかった。

 国交省は3月30、31日の2日間で、スズキに対して道路運送車両法に基づく立ち入り監査を実施。リコール関連業務での同社の対応を調査した。【佐藤賢二郎】

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