なお収集している情報は主に食品中化学物質に関するもので、食の安全にとって最も問題である微生物関連情報は扱っておりません。
参考食品安全情報ナビbyましゅうさん
2015-04-20
■[EU]RASFF Week16-2015
警報通知(Alert Notifications)
該当なし
注意喚起情報(information for attention)
イタリア産レタスのラムダ-シハロトリン(0.81 mg/kg)、ヨルダン産ピスタチオ穀粒のアフラトキシン(B1 = 29.9; Tot. = 39.9 µg/kg)、アイルランド産生のムラサキイガイの下痢性貝毒(DSP)-オカダ酸(230.1 µg/kg)、エクアドル産缶入りマグロのヒスタミン(1648 mg/kg)、
フォローアップ用情報(information for follow-up)
タイ産乾燥ヒコイワシの未承認照射、ラトビア経由米国産食品サプリメントの未承認物質亜鉛アミノ酸キレート(3 mg/品目)・セレンアミノ酸キレート(0.025 mg/品目)・銅アミノ酸キレート(0.025 mg/品目)・マンガンアミノ酸キレート(0.5 mg/品目)・クロムジニコチネートグリシン酸塩(20 mg/品目)及びナイアシンアミド(10 mg/品目)、ポルトガル産ケーキ用赤い砂糖衣細工の着色料ポンソー4R/コチニールレッドA(E124)高含有(3332 mg/kg)及び着色料アマランス(E123)の未承認使用(14.9 mg/kg )、ギリシャ産乾燥アプリコットの亜硫酸塩高含有(2550 mg/kg)、
通関拒否通知(Border Rejections)
イラン産殻付きピスタチオのアフラトキシン(B1 = 76.2; Tot. = 83.4 µg/kg)、イラン産冷凍ヤリイカのカドミウム(1.30 mg/kg)、中国産殻むきピーナッツのアフラトキシン(B1 = 72.4; Tot. = 77.2 µg/kg)、中国産台所用品からの一級芳香族アミンの溶出(0.0616 mg/kg)、中国原料セルビア産緑茶のアセタミプリド(0.5 mg/kg)、アルゼンチン産冷凍アンチョビのヒスタミン(734.9 mg/kg)、中国産冷凍アメリカオオアカイカのカドミウム(1.6 mg/kg)、ナイジェリア産乾燥豆の未承認物質トリクロルホン(0.097 mg/kg)及びジクロルボス(0.26 mg/kg)、中国産オイル入りガーリックのガラス瓶の蓋からのフタル酸ビス(2-エチルヘキシル) (DOTP)の溶出 (410 mg/kg)、マダガスカル産豆のマラチオン(0.16 mg/kg)、トルコ産ペッパーの未承認物質モノクロトホス(0.038 mg/kg)、ドミニカ共和国産トウガラシの未承認物質フルピラジフロン(0.031 mg/kg)、香港産緑茶のアセタミプリド(0.08 mg/kg)、エジプト産塩漬け豚腸の禁止物質ニトロフラン(代謝物質)フラルタドン(AMOZ) (2 µg/kg)、食品と接触する材料としての使用にふさわしくない中国産金枠、その他アフラトキシン等多数
■[EU]「内分泌撹乱物質:同定のための基準と関連影響」会議
Conference "Endocrine disruptors: criteria for identification and related impacts"
Brussels, 01 June 2015
http://ec.europa.eu/health/endocrine_disruptors/events/ev_20150416_en.htm
2015年6月1日の会議の予告。事前登録は5月19日まで。
■[ヘルスカナダ]ヘルスカナダは新しい抗生物質耐性対策を提案
Health Canada proposes new measures to address antimicrobial resistance
April 17, 2015 -
http://news.gc.ca/web/article-en.do?nid=965249&tp=1
食品生産用動物への賢明な使用を薦めるための規制と対策を提案する
■[ヘルスカナダ]ヘルスカナダはオシダの重大なリスクのためホメオパシー製品の認可を停止
Health Canada suspends licence of homeopathic product due to potential serious risks of male fern
April 17, 2015
http://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2015/52985a-eng.php
ヘルスカナダは成分としてオシダDryopteris filix-maxを含むためホメオパシー製品Filix Masの認可を停止する。4月2日にヘルスカナダはオシダを含む2つのナチュラルヘルス製品の認可を停止している
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20150403#p4
(製品はホメオパシー大手Boironのもの。同社が販売中止とリコールに同意した、とあるがホメオパシーって実質何も入ってないんじゃなかったか?もとのものが有害だからという理由で回収するならほとんどのホメオパシーはダメなのでは?こういう基本原理にかかわることで回収に合意するということは顧客はそんなこと気にしないだろうと読んでいるということでもともと詐欺だとわかっているってことだよね?)
■[HK]レーズンのバッチ回収
Batch of raisins recalled
April 17, 2015
http://www.news.gov.hk/en/categories/health/html/2015/04/20150417_182913.shtml
食品安全センターは二酸化硫黄を2900ppm(基準値1500 ppm)含むNature's Choice Raisins Golden Jumboを食べないように警告する
■[RIVM]母乳を与えることの健康影響:更新
Health effects of breastfeeding : an update
2015-04-17
母乳を与えることは母子両方の健康にとってミルクより利益がある。母乳を与えられている乳児はある種の感染症のリスクが低いことには信頼できる根拠がある。この利益は母乳が中止された後でも続く。母乳は子どもの肥満・喘息・喘鳴及び母親の糖尿病・関節リューマチ・高血圧発症リスクを下げるかもしれない。
約10年前のレビューの更新。概ね変わらないが幾分根拠の確からしさに変更がある。新しい知見は母親の高血圧に関するものである。子どものアトピー性皮膚炎予防作用の可能性があることについては確認できなかった
■[ProMED]原因不明の病気−ナイジェリア: (ON) 致死、盲目、情報求む
Undiagnosed illness - Nigeria: (ON) fatal, blindness, RFI
2015-04-18
http://www.promedmail.org/direct.php?id=3306299
[1]Date: Thu 16 Apr 2015 Source: Sahara Reporters [edited]
Ondo州Irele地方政府地域のOde Ireleに住む25人以上が奇妙な病気になった。コミュニティのリーダーAyodele Omoleへの電話インタビューによると、この奇病は2015年4月15日の水曜日の朝におこり住民はパニックになっている。州の保健当局はアウトブレイクを確認しているがエボラではないとしている。原因は不明だが多くの住人が悪霊の仕業だと言っている。水曜日に何人かが目が見えなくなってまもなく死亡した。16日木曜日の麻までに25人以上が死んだ。多くの人が感染を恐れて死体をそのままにしている。目が見えなくなるだけでなく犠牲者の舌が異常に膨らみ話ができなくなって2-3時間で死亡する。住人は悪霊が原因なので祈祷師が来ることを希望している。最近祭壇の一部が壊され聖なるものの一部が盗まれたので村の神が怒っているのだという。死者に下痢や嘔吐はなく頭痛や目が見えないなどの神経症状が出ている。原因は調査中。
[2]Date: Thu 16 Apr 2015 Source: Daily Post [edited]
Ondo州のIkaleコミュニティで謎の病気が少なくとも14人を殺した。
先住民のTaiwo Erukusi氏によるとコミュニティの人たちは感染を恐れて死者に触れず混乱している。死者の数は14だったり19だったりする。
[3]Date: Fri 17 Apr 2015 Source: Sahara Reporters [edited]
病院の医療チームによるとこの症状の原因は犠牲者が食べた(特定できていない)種子の中毒ではないかと疑っている。病院での活動を指導している医師のDr Sanniによると、5人の患者が頭痛と軟便と突然の失明と話したり聞いたりしにくくなるといった症状で、検査では全ての患者が高血圧で頭蓋内圧が高い兆候がある。患者は全て男性中年で同時期に発症した。2人は死亡、のこり3人は医師の助言に逆らって退院したがそのうち1人は自宅で死亡したという未確認情報がある。現在実際の被害者数を確認中。被害者の血液と脳脊髄液は分析のためラゴス大学教育病院に送られた。
(編集者の注ではメタノールも疑われている。キニーネ中毒による失明という報告もある)
■[ProMED]薬物濫用、合成薬物−米国: (NY)
Drug abuse, synthetic drugs - USA: (NY)
2015-04-19
http://www.promedmail.org/direct.php?id=3308552
Date: 18 Apr 2015 Source: Forbes [edited]
ニューヨーク市保健省によると先週合成大麻の使用後の有害影響または反応により120人以上が救急病院に搬送された。合成大麻は、しばしば正体不明の強力な化合物をハーブにスプレーしたもので、公式には禁止されているが、いろいろなところで違法販売されている。ニューヨーク市保健省によると有害反応の多くは2015年4月8-15日の間にEast Harlemでおこっている。新しい合成カンナビノイドが販売されたのかどうか明らかではない。
■[Codex]世界保健デービデオ ペルー
World Health Day Video - Peru
19/04/2015
http://www.codexalimentarius.org/roster/detail/en//c/284137/
#safefoodの紙を掲げたたくさんの人を写すことで全ての人が協力して初めて安全になるというメッセージを伝える
(コーデックス最近ニュースをまめに発信するようになった)
■その他ニュース
- 米国議会は化学物質規制改定案を審議する
ScienceInsider
U.S. House weighs in with its version of chemical regulation reform
By Puneet Kollipara 17 April 2015
http://news.sciencemag.org/chemistry/2015/04/u-s-house-weighs-its-version-chemical-regulation-reform
米国下院が今週有害化学物質の規制システムのオーバーホールを巡る戦いの新しい局面を迎えた。EPAが管轄している有害物質管理法Toxic Substances Control Act (TSCA)改定案が議論されている。
- 孤立しているアマゾンの部族から抗生物質耐性が発見される
Scienceニュース
Resistance to antibiotics found in isolated Amazonian tribe
By Ann Gibbons 17 April 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/04/resistance-antibiotics-found-isolated-amazonian-tribe
Science Advancesに発表されたヤノマミ族の腸内細菌の研究。多様性が大きく、工業化社会に住むヒトにはいないあるいは少ない細菌が検出されているが多様な抗生物質耐性ももっている。寄生虫も多い。ヤノマミ族に医薬品や抗生物質を含む水や食品への暴露歴はない。この研究は抗生物質耐性は昔からあり、多様で驚くほど自然界では広範に存在することを示唆する
Natureニュースでも
アマゾンの遠い村で細菌の宝庫が発見される
Bacteria bonanza found in remote Amazon village
Boer Deng 17 April 2015
http://www.nature.com/news/bacteria-bonanza-found-in-remote-amazon-village-1.17348
- 保健大臣Jillian SkinnerがパレオPete Evansの反フッ素メッセージに狙いを定める
Health Minister Jillian Skinner takes aim at Paleo Pete Evans for his anti-fluoride message
BEN PIKE The Sunday Telegraph April 19, 2015
セレブシェフPete Evansが水道水のフッ素添加に反対して公衆衛生上の大きな脅威となっていることを保健大臣Jillian Skinnerが厳しく批判する
「我々はフッ素添加や予防接種などについて大きなエネルギーと努力で教育を行ってきたが、専門的知見のかけらもないセレブシェフがそれを台無しにする」と大臣は言う
- 裁判官は母親の意志に反して10才の少女にはしかの予防接種を命令
Judge orders 10-year-old girl be vaccinated for measles against mom’s wishes
By: Jacques Gallant Staff Reporter, Published on Sat Apr 18 2015
Brantford高等裁判所判事R. John Harperは「ワクチンと重大な副作用の間には間違いなく関係がある」というものも含めて母親のワクチン反対の主張に何一つ同意しなかった。
親権を共有する離婚した父親が少女に予防接種を求めて訴えていた。判事は父親を支持した。母親はホメオパシーで健康が守れるとして自称専門家2人の意見を根拠にワクチンは有害だと主張していた。
- 「偽物で詐欺師」:医師らがDr. Ozをいわゆるインチキ科学のためコロンビア大学の外科を解雇することを求める
'A fake and a charlatan': Doctors call for Dr. Oz to be dismissed from Columbia surgery faculty over alleged quack science
Thursday, April 16, 2015
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20150417#p9の手紙の件
(大学の対応は芳しくはなかったものの、これまで一部でしか報道されてこなかったDr. Ozへの批判が主流メディアで一斉に報道されている
一方Dr. Ozは反論準備中とのこと
Dr. Oz responds after prominent physicians call for his firing from Columbia University
番組持ってるので反論番組を作るらしい。それに騙されるのは専門知識のない人たちだろう
散々持ち上げたことへの反省はなく賞賛と批判で二度美味しいメディアが一番酷い。日本も同じ。胡散臭いヒトほどメディアに出る)
- ジャーナリストはDr. OzやFood Babeのようなインチキをどう報道すべきなのか?
How should journalists cover quacks like Dr. Oz or the Food Babe?
Julia Belluz on April 13, 2015
http://www.vox.com/2015/4/13/8385295/science-reporting-ethics
Vani Hariの新しい本が数ヶ月前に私のデスクに届けられたとき、数ページ見て投げ出した。「あなたの食品のなかの隠された毒を避けよう、たった21日で体重を減らし何年も若返り健康になる」とThe Food Babe Wayは豪語する。あらゆる疑似科学の臭いがする。私はHariのナンセンスにつきあうエネルギーはない。その2ヶ月後、私は間違っていたのかと訝しく思った。Food BabeがNYTやAtlanticで取り上げられ、今や彼女のオーディエンスは数百万人にもなる。彼女をDr. Ozの後継者と呼ぶ人もいる。Food Babeは今は無視することはできなくなったため私は彼女の言うことに根拠がないことを指摘する短い記事を書いた。しかし私はそれが正しいやりかたなのかどうか自信がない。もっとたくさんの時間を使って嘘を指摘すべきなのか全く無視すべきなのか?
サイエンスライターKeith Kloorも最近同様の疑問を提示していた。「人気のある、間違ったメッセージを伝えるDr. OzやVani Hariのようなメッセンジャーとどうコミュニケーションをとるのか?」
私は多くの研究者やサイエンスコミュニケーターに話を聞いた。多くが合意したのは、非主流の理論は主流メディアが取り上げない場合には無視するのがベストだろう、ということである。彼らが望むのは注目されることだから。しかし既にある程度拡大し公衆衛生に危害を与えるようになった場合は問題は難しい。批判は重要であるが問題はバランスである。詐欺師を殉教者にしないよう注意が必要である。存在しない科学的議論があるかのように思わせてはならない。
以下インタビューによるいくつかの指摘
(インチキを報道するメディアの問題はどこでも一緒だが日本の場合サイエンスライターやコミュニケーターの層の薄さが気になる)
- くる病増加は日焼け止めの過剰使用に関連
Increase in rickets linked to overuse of sunscreen
Monday 20th April 2015
http://www.scotsman.com/news/health/increase-in-rickets-linked-to-overuse-of-sunscreen-1-3747234
University College Londonの子ども健康研究所のAlastair Sutcliffe教授は、あまりにも高すぎるSPFの日焼け止めを使っている赤ちゃんや子どもはビタミンDを作るのに十分な日光を浴びていない、という。「30年前に大学を卒業したときにはくる病はビクトリア時代の病気だと思っていた。今や残念ながらそうではない」一つの理由は肌の色の濃い人たちの割合が増えたこと。
(皮膚の色の濃さとイスラム教と英国の天候の組み合わせだと白人向けのアドバイスは適切ではない)