22日の株式市場で日経平均株価は大幅に上昇し、終値で2万円を回復した。IT(情報技術)バブル期の2000年4月14日以来となる。主要国の金融緩和で生まれた潤沢な投資マネーが日本に流れ込んでいる。この15年で株式市場の新陳代謝が進み、主役企業の顔ぶれは一変した。株価2万円は、日本経済がデフレで長期停滞した「失われた15年」を脱し、再成長のスタート地点に立ったことを意味する。
日経平均の終値は前日比224円(1%)高い2万0133円。今月10日の取引時間中に2万0006円まで上げた後に伸び悩んだが、中国の金融緩和で勢いが戻った。
株高の底流には、日欧を含めた緩和マネー増大がある。見逃せないのは、肝心の企業が構造改革やM&A(合併・買収)などで成長力を取り戻し、世界の投資資金を引き寄せている点だ。
同じ日経平均2万円でも、担い手がかつての「規制産業」から「革新企業」に変わってきたという特徴がある。
日経平均が初めて2万円に乗せたのは1987年1月30日。時価総額で上位を独占していたのは東京電力と都市銀行だった。00年4月は通信関連がはやされ、利益成長の裏付けがないまま株価が上昇してPER(株価収益率)で100倍を超える企業が相次いだ。
2度のバブル、金融危機や震災、超円高などを経て、いま存在感を示しているのは、自らの努力で価値を高めた企業だ。
トヨタ自動車は販売台数が伸びなくても利益が出るようコスト構造を抜本的に見直し、15年3月期に2兆円超の純利益を見込む。工作機械で圧倒的な世界シェアを握るファナック、製造小売りの事業モデルで海外市場を開拓したファーストリテイリングなども時価総額を増やした。
00年に上場した楽天をはじめ、「ネット関連など成長性が高い投資先が増えてきた」(英運用会社ベイリー・ギフォードのドナルド・ファーカソン氏)のも大きい。14年の新規上場はリクルートホールディングスなど80社近くで、7年ぶりの多さだった。
東証全体の時価総額は600兆円強で89年末のピーク(611兆円)に迫る。足元では、トヨタやファストリのほか、三菱電機やブリヂストンなど最高益を更新して株価も今年に入ってから上場来高値をつける企業が続出している。株高が利益成長を伴ったものとなり、日経平均のPERは18倍台と国際水準に近づいた。株式市場が正常化してきたといえる。
経営規律を奪う要因だった金融機関と企業の株式持ち合いは劇的に減り、効率経営に目を光らせる外国人株主の比率が3割に高まった。株式保有の構造変化など市場の規律を生む「舞台措置」が徐々に整い、企業の変革努力と相まって株高につながるという構図だ。
日経平均はこの2年半で2.3倍に上昇し、短期的な過熱への警戒が出ている。米国の景気・利上げや欧州問題など波乱要因も多い。
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