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 過激派組織「イスラム国」(IS)による邦人人質事件で、解放に向けた協力を依頼されたヨルダン政府が自国軍パイロットの解放を最優先とすることを日本政府に伝え、理解を得ていたことがわかった。ヨルダン政府高官が22日までにアンマンで、匿名を条件に朝日新聞の取材に明らかにした。

 ISは1月24日、会社経営者の湯川遥菜(はるな)さんが殺害されたとみられる画像とともに、フリージャーナリスト後藤健二さんとヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚との交換を求める映像を公開。同月27日の映像では「1対1の交換だ」と明言した。ヨルダン政府は、昨年12月下旬に同国軍パイロット、ムアーズ・カサースベ中尉がISに拘束され、リシャウィ死刑囚との交換を求めていた。

 交渉過程を知るヨルダン政府高官は「我々にとってパイロットが最優先事項だった。パイロットは大変重要だと日本に伝え、日本も理解し、尊重した」と述べた。一方で、後藤さんと中尉の2人の解放を目指したとして「両方が(交渉の)テーブルにあった」とも指摘した。自国の人質が捕らわれている中で日本人の解放交渉を引き受けた理由として、日本との友好関係などを挙げた。