冨名腰隆、倉重奈苗=ジャカルタ、松井望美
2015年4月23日01時13分
安倍晋三首相と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が22日、5カ月ぶりに会談した。昨年の首脳会談以降、日中の政府間協議や議員交流が相次いで再開した中でトップが再び相まみえた。ただ、首相の歴史認識などを巡り、なお溝は残る。戦後70年の「安倍談話」を前に、日中の微妙な駆け引きが続く。
「大変有意義な首脳会談だった。今後、さまざまなレベルでの対話と交流を進め、両国関係の改善の流れを確かなものとしていきたい」。安倍首相は会談後、そう成果を強調した。
昨年11月の首脳会談をきっかけに、日中の外務・防衛当局幹部の協議や議員交流が相次ぎ再開。日本では中国人観光客による消費の経済効果も目立ってきた。
日本はこうした流れを確実にしようと、日中首脳の対話に積極的だった。安倍首相は「自然な形で機会があれば(会う)」と繰り返した。政府関係者によると、首相自身から会談実現へ強い指示はなかったが、アジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年首脳会議での対話を呼びかけたのは日本からだった。
ただ、中国が応じるかどうかは直前まで測りかねていた。中国が、今夏発表される戦後70年の「安倍談話」を注視しているためだ。外務省幹部は3月末「あいさつはするかもしれないが、首脳会談をする雰囲気ではない」。官邸幹部は4月中旬、「バンドン会議での首脳会談はありえない」と断言。実現しなかった時に備え、楽観論を牽制(けんせい)する狙いもあったようだ。
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