各地から
2015年4月22日
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自分の最期を見つめ、どう豊かに過ごすかを考えるために、個人の情報や希望などを書き込む「メッセージノート」。それをきっかけに生と死について考える勉強会が21日、紀の川市の貴志川生涯学習センターであった。同市や岩出市を中心に約20人が参加した。
ノートはA4判カラー約20ページで、那賀地域の医療・福祉関係者、保健所などが協力して制作し、昨年3月から配布。自分らしく生き、最期について身近な人と話す機会にしてもらう狙いで作られた。胃ろうや心肺蘇生といった終末期の医療措置や葬儀の希望から、写真を貼ったり、自分史や大事な人へのメッセージなどを書き込んだりできる。在宅医療の情報も掲載。病院、保健所などで希望者に渡してきた。
関係団体が昨年度に初めてノートの「活用塾」を開催。紀の川市で在宅医療などに取り組む坂口健太郎医師(66)や僧侶、医療関係者、葬儀関係者らが在宅医療や延命措置、住まいの問題について講義した。参加者は50~70代が多く、毎回40人ほどが集まった。より多くの人に知ってもらうため、今年も引き続き開催した。
この日は末期がんの男性の最期を追ったドキュメンタリー映画「エンディングノート」(砂田麻美監督)を鑑賞。死を見つめ、準備をする姿をユーモアを交えて描いた作品に笑い声やすすり泣きが起きた。
紀の川市の横山明美さん(69)は「(映画を観て)心に残ることがいっぱいあった。主人公が年賀状と喪中はがきをどちらも書いたことに冷静さを感じた。自分もよい形で逝けたら」と晴れやかな表情で話した。
講師の坂口さんは「介護など(身近な人の)二人称の死を考えて参加する人も多い。それをいかに(自身のものとして)一人称の死に展開して考えていくか。思想の幅を持つことが大切。生きやすさにもつながるはず」と話す。「どう生かされるか、死ぬまでの過程をどう生きていくかは科学では解決できないこと。市民が自分自身で考えていくことは大切。だが『生と死』のテーマはなかなか定着しづらい」
勉強会「メッセージノート」活用塾・プラスは3カ月に1回開催。次回は「安楽死」がテーマで7月7日。問い合わせは坂口さん(0736・64・7801)。ノートの問い合わせは岩出保健所(0736・63・0100)へ。
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