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【私説・論説室から】

正しい「評論家」が必要だ

 航空会社の社員がボヤいた。空の事故が相次ぎ、会社の機長OBが航空評論家の肩書でメディアに登場するが、誤ったコメントを散見するという。機長経験者とはいえ航空問題全般にまで精通しているわけでもなく、知識はすぐに時代遅れとなる。ドイツの格安航空機墜落事故でも「格安航空だから安全投資が少ない」など、とんでもない発言もあった。

 しかし、素人は専門家の解説だからと信じる。解説が正しいのかの判断はつかない。結果、玉石混交の評論家が世に存在する。

 ならば航空評論家の評論が正しいのか評論する「航空評論家」評論家がほしい。国債の信用度を格付けしている格付け機関の信用度はどうなのかを格付けする「格付け機関」格付け機関などもあってしかるべきだ。

 では政治評論家や経済評論家、さらにエコノミストや学者らはどうか。政府の審議会や有識者会議に入っている方々は要注意である。政権の意向を忖度(そんたく)し、無批判・無抵抗でお墨付きを与え、政権にとってありがたい「御用達」派かもしれないからだ。

 異論を許さず、気にくわないと放送免許や酒販免許を振りかざす政府・与党である。そうやって沖縄の民意も、原発再稼働差し止めの司法判断も、突っぱねるのではないか。言論をも封殺しかねない暴走政権に抗(あらが)い、その愚かさを正す「強権政治」評論家や「統制経済」評論家らが今こそ必要だ。 (久原穏)

 

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