怒る女性誌:政権批判、読者に押され 改憲…本当に必要?

毎日新聞 2015年04月22日 20時03分

見出しで読む、女性誌の政権への目線
見出しで読む、女性誌の政権への目線

 「私たちが大切にしているのは現場で聞いた生の言葉。それが結果的に、厳しい政権批判になっている」と言うのは「女性自身」の田辺さん。昨年5月27日号で、歴史教科書の採択で揺れる沖縄県竹富町を取材したルポ記事のタイトル「中国より、安倍さんがこわいです」は町民が語った言葉から取った。「人権を踏みにじるような表現でない限り、現実に上がっている声を無視したり、それを曲げて書いたりするのは、週刊誌としてはやってはいけないことだと思っています」

 女性誌を巡っては昨年、月刊ファッション誌「VERY」(光文社)が「お母さんこそ、改憲の前に知憲!」と題し、憲法改正や特定秘密保護法を取り上げた記事を掲載。発売前に内閣広報室が「秘密保護法を取り上げるなら、我々にも取材を」と編集部に電話していた事実が明らかになり、「言論への過剰な口出しではないか」と問題になった。今月にもNHKのやらせ疑惑やテレビ朝日の「報道ステーション」でのコメンテーターの発言について、自民党が両局幹部を呼び事情を聴くなどメディアへの介入や圧力ともとれる動きは強まるばかりだ。

 2人の子の母親でもあるタレントでエッセイストの小島慶子さん(42)は「女性誌はファッションやゴシップなど『見たい、知りたい』という読者の素直な欲求に応えるメディア。政権批判の記事は、異論を許さず、なし崩し的に変わろうとしている世の中への異議申し立てとも言える。批判を恐れて口をつぐむ人が増える中、生活実感を基に『他人がどう言おうと、私はおかしいと思う』と言える、血の通った言論をなくしてはいけない」とエールを送る。

 女性週刊誌に噴出する怒りのマグマを無視すれば、やがて地殻変動につながるかもしれない。

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