【ジャカルタ=秋山裕之】安倍晋三首相は22日夕、アジア・アフリカ会議(バンドン会議)の60周年記念首脳会議が開かれているインドネシアで、中国の習近平国家主席と会談した。両首脳の会談は5カ月ぶり。習氏は「日本との対話を強化し、信頼を増加して相互の疑念を解いていきたい」と強調。首相は「さまざまなレベルでの対話と交流を深めて関係を発展させる」と語った。
両首脳の会談は約30分間。2014年11月に北京で開いたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた初会談から5カ月ぶり、2回目の会談となる。
習氏は「両国民共同の努力の下で中日関係はある程度改善できた」と述べた。首相も「日中関係は改善しつつあると評価している」と応えた。両首脳は戦略的互恵関係を推進していく方針で一致した。日中の関係改善がアジア太平洋地域や世界の安定と繁栄に貢献するとの認識も共有した。
首相は「なるべく率直に2人で会う機会をつくりたい」と述べ、首脳交流の継続を呼びかけた。
中国国営中央テレビなどによると、習氏は中国主導で設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)について「すでに国際社会から普遍的に歓迎されている」と述べ、日本の参加を呼びかけた。
首相は「アジアに高いインフラ需要があり、設立した認識は共有する」と述べた。一方で「ガバナンスの問題、借り入れ国の債務持続性の問題を提起している」と運営のあり方に懸念を示した。
習氏は「歴史問題は政治の基礎の重要な問題だ。歴史を直視するという積極的な姿勢を発信するよう望む」と語った。
首相は戦後50年の村山談話や同60年の小泉談話など過去の内閣の歴史認識について「全体として引き継いでおり、今後も引き継ぐ」と伝えた。「先の大戦の深い反省のうえに平和国家として歩んできた。その姿勢は不変だ」とも語った。
首相は、東シナ海での自衛隊と中国軍による不測の衝突を回避する「海空連絡メカニズム」について早期の運用開始を求めた。外交・防衛当局幹部による日中安全保障対話の4年ぶり再開を歓迎した。
安倍晋三、習近平