安倍首相:習主席と会談 「関係改善進む」で一致
毎日新聞 2015年04月22日 19時44分(最終更新 04月23日 01時12分)
◇首相「歴史認識引き継ぐ」
【ジャカルタ木下訓明、石原聖】インドネシアを訪問中の安倍晋三首相は22日午後(日本時間同)、中国の習近平国家主席とジャカルタで約25分間会談し、両国の関係改善が進んでいるとの認識で一致した。首相は今夏に発表する戦後70年談話を念頭に、1995年の村山富市首相談話、2005年の小泉純一郎首相談話を含めて「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。平和国家としての歩みは今後も不変だ」と述べ、中国側の理解を求めた。会談後、首相は今後も国際会議などの機会に習氏と会談する意向を記者団に表明した。
両首脳の会談は昨年11月10日に北京で行われて以来、約5カ月ぶり。
習氏は冒頭で「最近、(政府)双方と両国民の共同努力のもとで中日関係はある程度、改善できた」と述べ、首相も「昨年11月の首脳会談以降、日中関係が改善しつつあることを評価したい」と応じた。そのうえで「日中関係の発展は両国国民の利益だ。戦略的互恵関係を推進し、地域や世界の安定と繁栄に貢献していくことはわれわれの責務だ」と述べ、青少年交流などさまざまなレベルでの両国の交流促進を呼びかけた。
一方、中国中央テレビによると、習氏は「歴史問題は中日関係の政治的な基礎に関わる重大な原則問題だ。日本側がアジアの隣国の懸念に真剣に対応し、歴史を直視した積極的なシグナルを発信してほしい」と述べ、首相の戦後70年談話の内容を注視していることを伝えた。
中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡っては、習氏が「国際社会から広く歓迎を受けた」と述べたのに対し、首相は「アジア地域に高い需要があるとの認識は共有している」と一定の理解を示しつつ、組織運営や融資基準の透明性確保を改めて求めた。
両首脳は東シナ海情勢に関しても意見交換した。首相は、沖縄県・尖閣諸島周辺などでの偶発的な衝突を回避する「海上連絡メカニズム」の早期運用開始を提起するとともに、先月4年ぶりに再開した両政府間の安全保障対話をさらに進める必要があると指摘した。