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リニア新幹線が走行試験で時速 603キロを記録した。
→ NHKニュース 2015-04-21 (動画あり)
これを見て、過去と比較して、喜んでいる人が多い。しかし、もっと未来を見据えるべきだ。
リニア新幹線の抵抗のほとんどは、空気抵抗である。とすれば、空気抵抗をなくすように、真空チューブ内を走らせれば、さらに高速化できるはずだ。(真空でなくて低圧でもいい。)
このような概念はすでに知られている。
→ 真空チューブ列車 - Wikipedia
→ 時速2300キロの中国真空リニア
→ マッハで走るチューブ列車構想 米テスラ
→ 「真空チューブリニア」開発に取り組む「中国」「米国」の“本気”
→ “リニアなんてもう古い”これからは
→ 真空チューブ式リニア(中国)って
実用化はまだまだだが、アイデア自体はすでにある。そして、将来的には、実用化も視野に入っている。
とすれば、リニア新幹線も、将来の真空化を念頭に置くべきだろう。次のような手順で。
・ トンネルの外側に壁を作って、密閉する。
・ 線路みたいにある電磁石も超高速化に対応する。
・ 駅も真空化に備えて、密閉扉などを設置する。
これらによって、将来、リニア新幹線を真空化することができるようにするべきだ。
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ただし、である。現状のままでは、リニア新幹線を真空化することは、原理的に不可能である。なぜか? 最小曲線半径が小さいからだ。その値は 8000メートル。
→ 中央新幹線 - Wikipedia
一方、次の値もある。
ちなみに原則として東海道新幹線では 、山陽新幹線では 4000mで建設されています。
( → 知恵袋 )
東海道新幹線では、この値が 2500m しかないせいで、こう最高速度が制限されている。列車は 300km/h 以上で走れるのに、実際にはもっと遅い速度でしか走れない。小さすぎるからだ。
リニア新幹線は、最小曲線半径が 8000メートル だから、2500m の 8/2.5 倍となる。最高速度は、その平方根( → Wikipedia )になるはずだから、 √(8/2.5)= 1.79 倍。現行の新幹線の最高速度は 285km/h だから、その 1.79 倍 で、510km/h となる。
( 参考:東海道新幹線、最高時速285キロ )
実際、リニア新幹線の最高設計速度は 505km/h である。
→ 中央新幹線 - Wikipedia
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要するに、技術がどれほど発達しても、リニア新幹線は 510km/h ぐらいまでしか出せない。なぜなら、線路の最小曲線半径が小さいからだ。
とすれば、将来の真空化や高速化を念頭に、最小曲線半径をもっと大きくするべきなのだ。
不幸なことに、東海道新幹線は、開業当時の速度を念頭に、最小曲線半径を小さめにしておいた。時速 200km/h。そのせいで、数十年後の高速化された機械には、対応が不可能となった。先を見通せなかったせいだ。
リニア新幹線は、その愚を繰り返すべきではない。将来の高速化を念頭に、最小曲線半径をもっと大きくするべきなのだ。
人は、現在の技術ばかりでなく、将来を見据えた展望が必要なのだ。「この最先端技術は素晴らしいぞ」と自惚れている人には、無理なのかもしれないが。
[ 付記 ]
ちなみに、鉄道の最高速度は 574.8km だ。
→ Wikipedia
リニア新幹線と大差がない。将来の高速化の可能性が閉ざされているのであれば、いちいちリニアモーターカーなんかを使わなくとも、普通の鉄道でも間に合うわけだ。
( ※ トンネル・チューブにして、風雨の対策をすれば、鉄道のままでも 600キロまでは行くだろう。リニアにする必要性はまったくない。というか、現行の最小曲線半径では、最高速度が 510km/h なのだから、 510km/h まで出せれば、それで十分だ。)
鉄道の場合は車輪とレールが物理的に接触しているため、摩耗が激しく350?km/h以上で営業運転するのは難しいとの話があったような気がします。あくまで瞬間最高記録でしょうか。
あと、リニア用の超伝導磁石の耐久性も不明ですね。