ジャカルタ=冨名腰隆、倉重奈苗
2015年4月22日23時35分
アジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年首脳会議に出席するためジャカルタを訪問中の安倍晋三首相は22日夕(日本時間同日夜)、中国の習近平(シーチンピン)国家主席と約25分間会談した。両者とも、持続的に関係改善を図ることで一致。また、緊張が続く東シナ海や歴史認識問題、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)などについて幅広く意見を交わした。
日中首脳会談は昨年11月に北京で開催されて以来、5カ月ぶり。日本政府の説明や中国国営新華社通信の報道などによると、首相は東シナ海について「平和、協力、友好の海としていくことは両国の共通の目標であり、利益でもある」と述べた。日中双方の海空連絡メカニズムの早期運用開始を呼びかけた。
歴史問題について、習氏は「中日関係の政治基礎の重大原則だ。日本が真剣にアジアの隣国の懸念に対応し、歴史を直視して積極的なメッセージを発信するよう希望する」と指摘した。首相は「私自身も私の内閣も、村山談話、小泉談話を含む歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく。何度も述べている」と応じたという。
AIIBについては、習氏が「国際社会の普遍的な歓迎を受けている」と理解を求めた。これに対し、首相は「アジアのインフラ需要の認識は共有する」とする一方、「ガバナンスや債務の持続可能性の課題について問題提起をしている」との考えも伝えた。
会談後、首相は記者団に「戦略的互恵関係を推進させ、地域や世界の安定と繁栄に貢献する。その必要性について一致できたのではないか」と成果を語った。
首相は日中首脳会談に先立ち、バンドン会議で演説した。60年前に採択された「国際紛争は平和的手段で解決する」という原則について、「日本は先の大戦の深い反省と共に、いかなる時でも守り抜く国であろうと誓った」などと表明。ただ、戦後50年の「村山談話」にある「植民地支配」「おわび」といった文言には触れなかった。(ジャカルタ=冨名腰隆、倉重奈苗)
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!