教員採用試験:共通化を 教育再生実行会議が提言
毎日新聞 2015年04月22日 20時24分(最終更新 04月22日 23時37分)
政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)は22日の分科会で、各都道府県・政令市が実施している教員採用試験の共通化を求める提言案を示した。国と希望する教育委員会が共同で作問した「共通1次試験」とすることを想定している。共通化により、教委の負担軽減や試験問題の質向上を狙う。また、教員歴に応じて習得すべき資質能力の指標を策定することも提案した。5月中旬に提言をまとめ、安倍晋三首相に提出する。
教員採用試験に関しては、現在、都道府県や政令市の教委がそれぞれ実施している。提言した共通試験化は、国と、希望する教委が共同で問題を作り、各教委はそれを1次試験として使い、2次試験では独自に面接や論文で評価することが想定される。共通化することで、各教委の作問負担を軽減できるほか、国や複数の教委が関与することで試験問題の質の向上にもつながるとしている。
このほか、教員の資質向上策にも言及。今後、教員には児童・生徒が課題を自ら見つけ討論しながら解決策を探る授業方法「アクティブ・ラーニング(課題解決型学習)」や、ICT(情報通信技術)教育など新たな指導力が必要とされている。
そこで、教員歴10年目、20年目など一定の勤続年数時点で身につけておくことが必要とされる資質能力について、国などが統一的な指標を策定。自治体の教委が実施する教員研修や教員評価に生かすことを求めている。教員研修を充実させるため、教委と教職大学院との連携の重要性も指摘した。
さらに、児童・生徒の個に応じた教育を充実させるために「英才教育」の推進の必要性を提起し、学習指導要領の弾力化などを求めている。【三木陽介】
◇教育再生実行会議の提言案の骨子◇
・教員採用試験(1次試験)の共通化
・教員歴に応じた資質能力の指標策定
・教員研修で教委と教職大学院が連携・協力
・優れた才能を伸ばす「英才教育」の推進
・ICT教育の推進