2012年06月30日

2012 男子団体選手権レポート④ 水俣高校

2012  男子団体選手権レポート④ 水俣高校

インターハイ出場が決定したチームの中で、少しばかりの驚きをともないつつ、熱く歓迎されているのが熊本県の水俣高校ではないだろうか。

水俣高校といえば、男子新体操では名門校である。平成8~11年にはインターハイ団体4連覇、平成13~14年も連覇している。(つまり12年に負けていなければ、7連覇していた!!!)

それほどの名門校でありながら、昨年は団体が組めないという苦境に立たされていた。それが、今年になって、「なんとか団体が組めるらしい」という話だった。昨年の全日本ジュニアに出場していた選手も入学したと聞いていたので、とりあえず今年が水俣高校復活の年、になるのかなとは思っていたが、なにしろ昨年は団体が組めなかったというブランクがある。おまけに、去年からいた部員は、たしか…高校から新体操を始めた子達だったはずだ。

じつは、去年の3月、九州取材の際、私は水俣高校にも行っている。福岡大学が水俣高校で合宿していたからなのだが、もちろん、高校生もいるなら取材するつもりで行ったのだ。
しかし、その日、練習していた高校生は2人だけ。それも、まだタンブリング初心者といった様子で、福大の学生や監督から手ほどきを受けていたのだ。

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あの状態から、わずか1年だ。
ジュニア育ちの選手が多少入ってきたにしても、今年になってやっと組めた団体、が果たしてどの程度まで仕上げてこれたのか? そんな不安も抱きつつ、団体選手権での水俣高校の演技を見た。

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そして、正直驚いた。 「今年になってやっと団体が組めた」チームには見えなかった。 いや、もちろん、ミスもあったし、粗さは随所にあった。 しかし、おそらくまだキャリアの浅いメンバーもいるだろうに、じつに正統派な演技に、水俣高校は挑んでいた。
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復活の年だから、再出発の年だから。 とりあえずは、このくらいで…という妥協が見られない。 タンブリングもまだそんなに強くはなさそうな選手もいるが、それでもガンガン交差もやってくる。その勇気。根性には圧倒された。 そして、2010年のインターハイでの水俣高校の演技に感じた、あの「シュッ」とした動きは、今年も健在だった。 そう。 水俣高校は、伝統校でありながら、動きにセンスが感じられるのだ。 新しいチームでも、その良さは存分に感じさせてくれた。
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団体選手権での得点は、15.450。 決して満足のいく結果ではなかっただろう。 それでも、「水俣高校、復活!」を印象づけることはできたし、 選手たちにもいい経験になったはずだ。
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じつは、この団体選手権、水俣高校の試技順は、5番目の予定だった。が、いざ本番になると、最初に登場してきたのが水俣高校だった。帰りの飛行機の時間の関係で変更してもらったのだという。 たしかに、九州からこの時期の東京の大会に出てくるのはかなり大変なのだ。それでも、水俣高校は今年、出場してきた。 それだけ、新チームに懸ける思いが強かったのだろう。 九州大会前の大事な時期ではあっても、だからこそ、経験を積ませることを水俣高校の清本監督は選択したのだろう。 結果的に、九州大会では16.500をマークして4位に入り、インターハイ出場を決めた。 それは、勝負のかかった九州大会の前に、団体選手権という大舞台を選手たちに経験させた清本監督の英断があったからこそ、ではないかと思う。 今年から水俣高校の監督になった清本大介は、平成13年に水俣高校がインターハイ優勝したときの監督だ。団体メンバーがそろい、かつての優勝監督が戻ってきた今年の水俣高校には、注目しておいたほうがよさそうだ。                                            <撮影:小林隆子>


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