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和歌山毒物カレー事件16年 「支援に終わりない」交番相談員、思い新たに

産経新聞 産経新聞 2014/07/24 産経新聞
和歌山毒物カレー事件16年 「支援に終わりない」交番相談員、思い新たに: 交番相談員として住民たちに寄り添い地域を見守る丸山勝さん=24日、和歌山市 © 産経新聞 提供 交番相談員として住民たちに寄り添い地域を見守る丸山勝さん=24日、和歌山市

 平成10年に和歌山市園部で起きた毒物カレー事件で、現場近くの和歌山県警和歌山東署の有功(いさお)交番で長年、遺族や被害者支援に取り組んできた県警OBで非常勤の交番相談員、丸山勝さん(65)が来年3月で相談員を引退する。「支えを必要とする人の役に立てたならうれしい。でも支援は終わりではない」。住民の心に寄り添いながら歩んだ日々。事件は25日で16年を迎える。  事件当時は同署の刑事として捜査に関わり、翌11年2月から県警捜査1課で被害者支援に約3年間携わった。「裁判が終わったら、警察は私たちを見捨てるんやろ」。支援業務が終わりに近づいた際、住民からの言葉が胸に響いた。「少しでも住民の不安を和らげたい」との思いから、同交番での勤務を希望した。その願いがかない、14年春から定年退職までこの交番で勤務。退職してからも、22年4月から相談員として地域を見守り続けている。  長年、事件の被害者支援に携わってきたが、「警察官としてできること、できないことの線引きで自問自答することが多かった」と振り返る。相談員という立場になったが、地域や被害者に向けるまなざしは何ら変わらない。「日々の巡回活動など、まずできることを地道に取り組んでいる」と話す。  「ちょっと寄ってくれへんか」「うちの犬がねぇ」「家族が最近ねぇ」…。遺族や被害者たちも、交番に顔をみせては何げない会話を交わす。  それでも“あの日”が近づくと、心の不調を訴える住民も多いという。事件発生からまもなく16年。丸山さんは「住民たちにも少しずつ笑顔が増えてきたが、悲しみや怒りが消えることはない」と声を落とす。「被害者支援はこれで終わりではない。これから若手の警察官も支援にあたることになるだろうが、悩みながらもできることを考えて取り組んでほしい」と話した。

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