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学力テスト 大阪では学校別結果を内申に反映4月21日 18時13分
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すべての小学6年生と中学3年生を対象にした「全国学力テスト」が行われました。大阪府教育委員会は学校別の結果を中学3年生の内申点の評価に反映することを決め、文部科学省は「テスト本来の趣旨を逸脱するおそれがある」として懸念を示しています。
反映の仕組みは
大阪府教育委員会が全国学力テストの結果を内申点の評価に反映させることを決めたのは、今月10日でした。生徒一人一人のテスト結果を直接、内申点に反映させるのではなく、学校別の成績を内申点をつける際の目安に活用するとしています。
具体的な仕組みは次のとおりです。
まず、大阪府教育委員会が中学3年生の府全体の内申点の平均の目安を決めます。
全国学力テストの学校別の結果を反映させるのはこのあとです。
学校の平均正答率が府全体の平均を上回った中学校には、その分を内申点の平均の目安に上乗せします。逆に下回った中学校は、その分、下げることになります。
例えば、府全体の内申点の平均の目安が「3」で、学力テストの府の平均正答率が50%だったとします。平均正答率が55%の中学校は、府の平均正答率50%を「1」とすると1.1倍の正答率ということになります。この場合、内申点の目安の「3」の1.1倍、「3.3」が、その学校の内申点の平均の目安になります。
ただ、それぞれの学校には、決められた平均にプラス・マイナス0.3の幅を持たせるということです。全国学力テストが行われるのは4月で、その後、学校全体の学力が変化する可能性や、テスト教科が2教科または3教科に限られていることなどを考慮するためだとしています。
大阪府教育委員会は全国学力テストの学校別の結果を内申点の評価に活用することで、学校ごとの学力の差を反映でき内申点の公平性を担保できるとしています。大阪府の松井知事は記者団に対し、「子どもたちにとっては同じテストの点数が高校入試のときに評価される、非常に公平な制度になったと思う。この制度によって、点数が低い学校は高い学校を見習って全体が底上げされる」と述べました。
具体的な仕組みは次のとおりです。
まず、大阪府教育委員会が中学3年生の府全体の内申点の平均の目安を決めます。
全国学力テストの学校別の結果を反映させるのはこのあとです。
学校の平均正答率が府全体の平均を上回った中学校には、その分を内申点の平均の目安に上乗せします。逆に下回った中学校は、その分、下げることになります。
例えば、府全体の内申点の平均の目安が「3」で、学力テストの府の平均正答率が50%だったとします。平均正答率が55%の中学校は、府の平均正答率50%を「1」とすると1.1倍の正答率ということになります。この場合、内申点の目安の「3」の1.1倍、「3.3」が、その学校の内申点の平均の目安になります。
ただ、それぞれの学校には、決められた平均にプラス・マイナス0.3の幅を持たせるということです。全国学力テストが行われるのは4月で、その後、学校全体の学力が変化する可能性や、テスト教科が2教科または3教科に限られていることなどを考慮するためだとしています。
大阪府教育委員会は全国学力テストの学校別の結果を内申点の評価に活用することで、学校ごとの学力の差を反映でき内申点の公平性を担保できるとしています。大阪府の松井知事は記者団に対し、「子どもたちにとっては同じテストの点数が高校入試のときに評価される、非常に公平な制度になったと思う。この制度によって、点数が低い学校は高い学校を見習って全体が底上げされる」と述べました。
市町村教委の反応は
NHKは先週、大阪府内の43の市町村教育委員会を対象にアンケート調査を行い、40の教育委員会から回答を得ました。
府教育委員会の決定について賛否を聞いたところ、▽大阪市など3つの教育委員会が「賛成」と答え、▽千早赤阪村が「反対」、▽「どちらとも言えない」が34の教育委員会、▽2つの教育委員会はこの質問には「無回答」でした。
「賛成」する理由については、「学校間の公平性を担保する共通の基準ができた」ことなどが挙げられました。
「反対」と答えた教育委員会は「テストの目的に外れている」としています。
また、「どちらとも言えない」と答えた教育委員会からは、「学力テストの趣旨からは逸脱しているように感じるが評価の妥当性を担保するためには致し方ない部分も感じる」という意見のほか、「学力テストの実施間際の決定で困惑している。公平性を担保する1つの方法ではあるが学力テストの趣旨にそぐわず望ましくはない」という意見が出されました。
今回の決定を受けて教育委員会としてどのように対応するか尋ねたところ、「生徒や保護者に混乱が生じないよう情報の周知徹底を図る」という答えが相次いだほか、箕面市はすべての中学校に学力テストの過去問題を演習するよう指示したと回答しました。
府教育委員会の決定について賛否を聞いたところ、▽大阪市など3つの教育委員会が「賛成」と答え、▽千早赤阪村が「反対」、▽「どちらとも言えない」が34の教育委員会、▽2つの教育委員会はこの質問には「無回答」でした。
「賛成」する理由については、「学校間の公平性を担保する共通の基準ができた」ことなどが挙げられました。
「反対」と答えた教育委員会は「テストの目的に外れている」としています。
また、「どちらとも言えない」と答えた教育委員会からは、「学力テストの趣旨からは逸脱しているように感じるが評価の妥当性を担保するためには致し方ない部分も感じる」という意見のほか、「学力テストの実施間際の決定で困惑している。公平性を担保する1つの方法ではあるが学力テストの趣旨にそぐわず望ましくはない」という意見が出されました。
今回の決定を受けて教育委員会としてどのように対応するか尋ねたところ、「生徒や保護者に混乱が生じないよう情報の周知徹底を図る」という答えが相次いだほか、箕面市はすべての中学校に学力テストの過去問題を演習するよう指示したと回答しました。
文部科学省「想定外の利用方法」
大阪府教育委員会の方針について、文部科学省は「想定外の利用方法だ」として懸念を示しています。
全国学力テストの目的は子どもたちの学力を把握して教育施策の成果と課題を検証し、授業など指導の充実や改善に役立てることと実施要領に明記されています。
学力テストの教科は国語と算数・数学、そして3年に一度行う理科だけであること、テストが行われるのは新年度が始まってすぐのこの時期で、小学5年生まで、中学2年生までの学習の定着状況を見ていることから、文部科学省は「あくまでも学力の一側面を見るものだ」としています。
こうしたテストの結果を高校入試の内申点の評価に反映させることは、テスト本来の趣旨を逸脱するおそれがあるうえ、成績の低い生徒を欠席させる不正が起きるおそれもあるとして、文部科学省は先週、大阪府教委の担当者に説明を求めました。
大阪府教委は、テストの趣旨は逸脱しておらず不正が行われないよう市町村教育委員会を指導すると答えたということですが、文部科学省は懸念はぬぐいきれないとして、21日の学力テストで混乱や不正がなかったか検証したうえで、改めて報告するよう求めています。
全国学力テストの目的は子どもたちの学力を把握して教育施策の成果と課題を検証し、授業など指導の充実や改善に役立てることと実施要領に明記されています。
学力テストの教科は国語と算数・数学、そして3年に一度行う理科だけであること、テストが行われるのは新年度が始まってすぐのこの時期で、小学5年生まで、中学2年生までの学習の定着状況を見ていることから、文部科学省は「あくまでも学力の一側面を見るものだ」としています。
こうしたテストの結果を高校入試の内申点の評価に反映させることは、テスト本来の趣旨を逸脱するおそれがあるうえ、成績の低い生徒を欠席させる不正が起きるおそれもあるとして、文部科学省は先週、大阪府教委の担当者に説明を求めました。
大阪府教委は、テストの趣旨は逸脱しておらず不正が行われないよう市町村教育委員会を指導すると答えたということですが、文部科学省は懸念はぬぐいきれないとして、21日の学力テストで混乱や不正がなかったか検証したうえで、改めて報告するよう求めています。
専門家「過剰な対策生まれかねない」
大阪府教育委員会の方針について、全国学力テストの専門家会議で委員を務めてきた早稲田大学大学院教職研究科の田中博之教授は、「学校間の学力差を考慮して公正な評価を行いたいという大阪府教委の目指すところは理解できるが、学力テストの本来の目的は日々の教育活動の成果や課題を把握し、教育委員会や学校の取り組みの改善につなげることだ。入試に使われるとなれば過剰なテスト対策のための教育が生まれかねず、テストの目的外使用であり、方針を撤回すべきだ」と話しています。
そのうえで、「学力テストは入試のような厳密な環境で行われるわけではなく、2、3の限られた教科しか対象となっていない。公正な評価を目指すなら、入試のペーパーテストで客観的に評価しつつ、調査書や内申書では部活動や生徒会活動など点数ではかれない一人一人の頑張りを多面的に見てほしい」と話しています。
そのうえで、「学力テストは入試のような厳密な環境で行われるわけではなく、2、3の限られた教科しか対象となっていない。公正な評価を目指すなら、入試のペーパーテストで客観的に評価しつつ、調査書や内申書では部活動や生徒会活動など点数ではかれない一人一人の頑張りを多面的に見てほしい」と話しています。