イスタンブール=春日芳晃
2015年4月21日10時48分
トルコのダウトオール首相は20日、1915年のオスマン帝国統治下の強制移住で、多くのアルメニア人が犠牲になった事件から100年になるのを前に声明を発表し、犠牲者への哀悼の意を示した。24日にトルコの最大都市イスタンブールで、アルメニア正教会総主教による追悼式が開かれることも発表し、アルメニアへの配慮を見せた。
声明は「オスマン帝国下のアルメニア人の記憶、アルメニア人の文化遺産を守ることは、トルコの人道的かつ歴史的義務」などと事件に言及。一方で、「責任はトルコ側だけにあるとして、ヘイトスピーチと関連づけることは道徳的、法律的に問題がある」と従来の主張も展開した。
そのうえで、同事件はオスマン帝国によるアルメニア人の「ジェノサイド(集団虐殺)」とする見解を示したローマ・カトリック教会のフランシスコ法王や、欧州議会を改めて批判した。
トルコは「戦乱の中で起きた不幸」として、ジェノサイドがあったことを認めていない。ただ昨年4月、当時のエルドアン首相が事件は「(トルコ人とアルメニア人の)共有の痛み」として、トルコ政府として初めて事件の被害者に哀悼の意を示す声明を出し、国内外から注目された。(イスタンブール=春日芳晃)
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