forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<4> 6/6

〜 ララ・クロフト以上の旋風を巻き起こせるか!?
「ゲームをプレイした後に,驚くような体験をしてきたばかりのような余韻を感じていただければ本望です」−Toby Gard

4GN:
 Galleonを見ていて気付くのは,欧米のゲームにありがちな暗さが感じられないことですね。色彩が明るくしてあって,見るからに楽しい。

ガード:
 うん。ヨーロッパの肩を持つわけじゃないけど,とくにアメリカではゲームが3D化してからというもの,出てくるゲームが全部暗い雰囲気になってしまいましたね。黒と茶色とグレイしかない,みたいな。

4GN:
 日本でも受け入れられそうな雰囲気がありますが。

ガード:
 (ちょっと嬉しそうに)そう思う? 成功すればイイよね,ホント。実は,(販売元の)Interplayから日本人の翻訳者がオフィスに送られてきていて,すでに移植は始まっているんです。日本での正式な発売に関する情報はないけれど,こっちと同時期に発売できるくらいに進行していますよ。

4GN:
 プレイヤーとして,我々はGalleonに何を期待するべきでしょうか?

ガード:
 そうですねえ。個人的には,我々が何をやろうとしているか,ほかのソフトとどう違うのかが分かってほしいし,プレイヤーには期待以上のものを提供できればいいですね。ゲームをプレイした後に,驚くような体験してきたばかりのような余韻を感じていただければ本望です。

4GN:
 Galleonも,トゥームレイダーと同じくシングルプレイヤー専用ゲームですが,オンラインゲームへの興味はお持ちですか?

ガード:
 ここしばらくはGalleonにかかりっきりなんで,今すぐどうこうしようというのはないですけど,開発者の1人として,もちろんオンラインゲームには興味がありますよ。とくに,現在進行形でオンラインゲームを作っている人たちが,どういう形でストーリーをゲームに取り込んでいこうとしているかには注目しています。

4GN:
 やはり,Galleonのようなアドベンチャーゲームを,マルチプレイヤーゲーム化させるのは難しいですしね。

ガード:
 ええ。トゥームレイダーのときにも,よくファンからマルチプレイヤーモードの要望がありましたけど,アドベンチャーゲームで面白くプレイできるようなやり方を知っている人がいれば,ぜひ教えてほしいです(笑)。
 でも,僕だっていつまでも同じゲームを作ってばかりいるつもりはないですし,いずれは別ジャンルに挑戦してオンラインに対応したゲームを作ることになるかもしれません。Galleonっていうのが,元々トゥームレイダーで追求しようとしていたことが本当にゲーマーに受け入れられることだったのか,自分で納得のいかなかった部分を,どういう形で進化させていくことができるのか,ということの確認ですからね。自分の考えていることが間違っていなかったというのを確かめてみたかったのです。
 だから,Galleonでそこから卒業できれば,自分自身もデザイナーとしての自信を持って,新しいゲームの制作に挑戦することになるのではないでしょうか。

 Galleonは以前から開発の遅延が指摘されており,現在では2002年の秋を目標に制作が進行している。「Republic:The Revolution」のデミス・ハサビス(Demis Hassabis)氏とともに,イギリスの新世代の開発者として注目株な人材だけに,今後どのようにGalleonがまとまっていくのかが楽しみだ。
 今回のインタビューは,トゥームレイダーを生み出したことから派生した名声とプレッシャーの間で新境地を開こうとするガード氏の心が読み取れたのではないだろうか。Confounding Factors社のあるブリストルから,大航海時代には多くの船乗りたちが新大陸に向けて旅立っていったことと,ここで現在船乗りが主人公のゲームが作られているという事実には,奇妙な一致を感じずにはいられない。ガード氏の目も,案外"海の果ての国・日本"を見ているような気がした。

ローマ兵のイデタチの門番がいる聖堂のような場所。これまで公開されていたシーンとは違い,非常に異なる雰囲気を持っている ラマが,何かパズルを解いているシーンのようだ。Galleonの謎解きは,トゥームレイダーのものと比べれば格段に進歩しており,短調なストーリー進行にならない工夫がなされているのだ 映画のように大胆なカメラポイントが設置できるのも,3Dアドベンチャーゲームならではの魅力の一つだろう。プレイヤーが堪能できるような,壮大なストーリーに期待したい