forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<4> 5/6

キャラクターのコントロールに気を使って制作
「プレイヤーは,好きなときに好きな場所を散策できるようになっています」−Toby Gard氏

4GN:
 大航海時代って非常にゲーム的な素材なのに,これまでゲームにされることは少なかったですよね。

ガード:
 ええと,きちんと説明しておきたいのは,Galleonは大航海時代をゲーム化したものではないし,パイレーツのゲームでもありません。それらからアイデアは取っていても,歴史的に再現してみようという意図はないんです
 そんな前置きをしておきながら,ビジュアル面でディズニーのパイレーツが出てくるような映画(「ピーター・パン」などか?)に影響を受けているのは事実ですし,あの時代の持つロマンチックな雰囲気は生かすようにしています。

4GN:
 それで海戦とか航海のシーンがないんですね。

ガード:
 ええ。海洋でのクエストはなく,すべて島の上が舞台になっています。ラマ(Galleonの主人公)はもちろん泳げますが,しばらくすると波に押し戻されてくるような設定に落ち着くでしょう。

4GN:
 その島の構造は,どのようになっていますか?

ガード:
 六つある島は環境も大きさも異なったものになっています。よくある展開でそれぞれが"レベル"になっているというわけではなく,単なる場所でしかありません。ストーリーとは関係なく,プレイヤーはどこにでも行けるからです。この「どこにでも行ける」というのは,キャラクターの操作についても同じことで,特定のイベントをこなしてからでないと進めない場所があるにせよ,プレイヤーは,好きなときに好きな場所を散策できるようになっています

4GN:
 ゲーム序盤の展開は?

ガード:
 ストーリーについては,現時点では余り語らないことにしておきますが,ラマが友人でアクバーの港町でヒーラーをしている老人を尋ねてくるところからゲームが始まります。このヒーラーは名前をアレリアーノといい,彼の元に辿りついた不思議な難破船の調査をラマに依頼するのです。船の外観も未知の国から来たようなものなのですが,それよりもアレリアーノが興味を持ったのは,この船が積んでいたハーブで,強力な魔力を備えているものだったんですね。間もなく,この船が最近別の島の船大工によって修理されていたということを突き止め,ヒーラーの娘であるフェイスと共に旅が始まることになります。

4GN:
 プレイヤーキャラクターであるラマと,2人の女性キャラクターについてもお話下さい。

ガード:
 ラマは,元々は貿易商のボディーガードとして,パイレーツや海軍の中では定評のあった人物で,その後自分の船となるエンデバー号を持つにいたり,新しい貿易ルートを探し出すような冒険者になっていきました。とくに,未知の領域だった西方の海域を開拓したことで名を馳せ,その名を知らない者はいないほどの海の男へと成長していったのです。ただ,彼は何かを求めているのですが,それが自分でも分かっていない,というような不安定な心境でもあります。
 オレンジ色の髪をしたキャラクターはフェイスで,彼女は父アレリアーノの血を受け継いで治癒能力に長けており,命を救うことは終わらせることよりも重要だと考えています。理想主義なのですけど,時折怒りが押さえられなくなるような性格でもあるんですけどね。もう1人の女性キャラクターがミホコで,敏速で戦士としても一級の人物です。西方の海域の果ての国からさらわれて来たという設定なのですけど,正義感が強くて目の前で起こったことを避けることが出来ません。それで,ラマとも重要に関わってくることになるのです。

4GN:
 プレイヤーは,ストーリーを通して3人の関係を目撃していくようになるのでしょうか?

ガード:
 そうですね。わざわざ言うことでもないけど,ラマとフェイス,ラマとミホコには感情的なものが芽生えてきます。これも言い過ぎちゃうと楽しみが半減するから,ここまでにしておきましょう。

4GN:
 コンバットシステムは,「ゼルダ」のように敵にロックオンできるシステムですね。

ガード:
 そうです。このほうが,プレイヤーに負担なく3D世界でのコンバットを楽しんでもらえますからね。多くの敵に囲まれたときも,映画のようにスムースなアニメーションで描写できますし。ラマは,ゲーム開始時点では素手で戦うことになりますが,ゲームを通して15種類くらいの剣が登場します。中には,魔法の属性のついたものだってでてきますよ。

4GN:
 敵は人間ばかりですか?

ガード:
 そうでもないですよ。詳しくは言えませんが,ラマの300倍くらいはあるような巨大なモンスターキャラも登場するので期待していて下さい。とにかく,トゥームレイダーのように希少生物ばかりと戦うのではありません(笑)。

4GN:
 操作性については,すでにかなりの部分をお聞きしてますけど,実際先ほど遊ばせてもらったデモでも,非常に馴染みやすいものでした。

ガード:
 こればっかりは,画面写真では判断できないものですからね。Galleonでプレイヤーに一番注目してほしい部分がキャラクターコントロールですし,今も僕自身が操作性に関するシステムの微調整を行っています
 ちょっと細かい部分もお話すると,例えば濡れた地面では,よりキャラクターが滑りやすくなっているため,ジャンプや走行に影響を及ぼすようになっています。トゥームレイダーでは,コントロールを学習するためのトレーニングミッションがありましたよね。あれを,もっとゲームの進行に取り入れる形式にして,すでにストーリーが始まっている段階でゲームの操作も学んでいけるように工夫をしているつもりです。

4GN:
 第3人称視点のアクションゲームでは,カメラコントロールも重要ですよね。

ガード:
 その通りです。カメラはラマのスピードに付いていけるように調整していますし,とくに戦闘シーンではプレイヤーが方向感覚を無くすことのないよう,カメラが敵キャラクターにロックされるように工夫しているんです。

 

膝をついて愛を語っているのではない。良く見ると,ラマは両手を組んでフェイスを持ち上げようとしているのだ 手を取り合って求愛しているのではない。良く見ると,前の画面写真と同じ場所であるのが分かるだろうか。力強いラマは,身軽なミホコを"投げ上げて"やることだってできるのだ。ミホコの頭に割り箸が刺さっているのは残念
強奪愛,ではない。この男こそラマの宿敵である。長い間ヒーラーの老人に接近し,彼の信頼を得て古代財宝の秘密を握ろうとしていたのだ。ヤツを止めなければ,この世界は崩壊の危機に晒されることになる 先ほどはラマがフェイスを担ぎ上げるシーンが合ったが,これは高所から落ちてくるフェイスを受け止めたところだ。これらの一連の動作にしろ,スカートの揺れ具合にしろ,細やかなアニメーションがGalleonのウリだといえよう

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