JAXA:次の次は「小惑星探査」や「火星の衛星探査」
毎日新聞 2015年04月20日 21時08分
◇今後の宇宙探査計画で18年度の月面「SLIM」の後は
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、文部科学省科学技術・学術審議会の小委員会で、今後10年の宇宙探査計画の検討状況を報告した。月面着陸を目指す無人探査機「SLIM」の後は、薄膜を広げて太陽の光の圧力を受けながらヨットのように進む「ソーラー電力セイル」による小惑星探査や、火星の衛星から物質を持ち帰る計画などを候補に挙げた。
政府の宇宙基本計画には、今後10年で、小型探査計画を5回、小惑星探査機「はやぶさ2」のような世界最先端の成果を目指す中型計画を3回実施することが盛り込まれている。JAXAは同計画に基づき、研究者らからプロジェクト案を公募。小型探査の最初の候補としてSLIMを選定、2018年度打ち上げを目指し検討を進めている。
中型計画では、ソーラー電力セイルによる小惑星探査が最初の選考を通過。木星圏の小惑星の観測を目指す計画で、太陽系が形成された歴史の解明につながると期待される。
個別の探査計画の積み重ねではなく、長期的な戦略に基づいてプロジェクトを推進する方針も導入。太陽系探査の戦略として、小惑星から試料を持ち帰った探査機「はやぶさ」の技術を生かし、火星の衛星フォボスとダイモスから物質を持ち帰る計画が候補の一つで、将来の火星有人探査につながる技術開発も検討しているという。
JAXAの稲谷芳文・宇宙科学研究所副所長は「実行するプロジェクトがその先の宇宙探査をどう切り開くかも考慮して検討したい」と話した。文科省の小委員会は、6月にも日本の宇宙探査の方向性に関する報告書をまとめる。【大場あい】